表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/57

(第030話)わらわは語学が得意なのじゃ

さて、ロイとの再戦から一夜明けた今日。

前日、盛大にやらかしたリザベルさん。

その後の会話がどんなものだったかというと。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「そ……そうでしたか。()()()()()()だったんですね」

「リザベルさん?」


多良木たらきさん……私、もう分かっちゃいました」

「落ち着いて! リザベルさん!」


「もっと早く気付くべきだったんです。私みたいな貧乳ひんにゅう女を、多良木たらきさんが毎回妄想に使()()()()理由……」

「そんな! 自分で言うなんて!」


「私……多良木たらきさんが想像した通りの、ふしだらな女だったみたいですね」

「違います! リザベルさんはふしだらなんかじゃ……」


「ふふふ。これじゃ私も、スケベジジイと同類どうるいです……」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


んなわけないだろ! うっかり、勘違かんちがい、おっちょこちょいのどれかだよ! 

いつものことじゃないか!


しかし俺が、リザベルさん(サキュバスver.)を妄想リカバリに頻繁ひんぱんに登場させていたことはまぎれもない事実だ。そして、そのことが彼女を追いめてしまった原因の1つだということも。


あれからリザベルさんとは、事務的な会話を2、3度交わしただけ。怒ってるわけではないと思うが、確証かくしょうが持てない。こういうのって苦しい。


「リザベルさん。ちょっとお願いがあります」

「え? あ、はい。何でしょう?」


けど、話さないといけない。ロイとの再戦を、終了10日前に設定した理由。


「ラムダさんに伝えて欲しいことがあるんです」

「……何ですか?」


う……怖い。次の台詞セリフを口にしたら、リザベルさんはどんな顔をするんだろう。

けど、ちゃんと伝えないと。俺はこぶしを固くにぎり、覚悟を決めた。


「あと10日で、俺が1度もラムダさんにれることができなかったら……異世界には行かず、ここに残って修行を続けようと思ってます」


あ。やっぱり。

リザベルさんは一瞬ぽかんと口を開けて、すぐに怒りの表情に変わった。


「だ……駄目ですよ。そんなの」

「すいません。けど、考えて決めたんです」


「無理ですよ! ラムダさんは最強の戦士で――」

()()()です」


一呼吸おいて、俺は続けた。


「宇宙最強の女戦士に稽古をつけてもらってる俺が、弱いままでいいはずがないんです」


うう。気まずい沈黙。

しばらくして、リザベルさんは唐突とうとつに口を開いた。


多良木たらきさん、言いましたよね? 443.2574年は無理だって」

「は……はい」


「あれから私も、地球星人のことを調べました。この部屋で数百年という時間を1人で過ごすのは、地球星人には不可能です」

「ま、まあ……」


確かに、これから先の443.2574年はリザベルさんがいない。

それはきっと、俺にとって耐えがたい苦痛となる。


「考え直してください。私は多良木たらきさんをあく――」

「1人ではないぞ」


ん? 


多良木たらきさん、何か言いました?」

「いえ。何も」


「けど、『1人ではないぞ』って……」

「俺も聞こえました。けど、俺じゃないです」


「それは変ですね」

「はい。この部屋には俺たち以外にはラムダさんしかいません」


「でも、ラムダさんは日本語が――」

「話せませんね」

「話せるのじゃよ」


え? 


え? え?


ええええええええええっ?


「どうじゃ? わらわの日本語は。なかなか流暢りゅうちょうなもんじゃろう?」


ど……どういうことだ?

幻聴げんちょうじゃない。夢を見ているわけでもない。ラムダさんが日本語を話している。


「ど……どうして日本語を?」

多良木たらきよ。わらわをあなどるでないぞ。1500年の歳月で、きわめしはの道だけではないわ」


狼狽うろたえる俺とリザベルさんを他所よそに、ラムダさんは話し続けた。


「わらわは語学が得意なのじゃ。今回学んだ日本語以外にも、200以上の言語を習得しておる」


「ま、学んだって、いつからですか?」

「ここに呼ばれてすぐ、《《あの世》》で日本語を教えてくれる者を探し出しての。最初にロイと戦った頃には、お主らが何を話しとるか分かるようになっとったのじゃ」


つまりラムダさんは、《《あの世》》で日本語を、それもラムダさんのキャラにぴったりすぎる()()()()()()を誰かに教わったということか。

教えた奴、グッジョブ。


「た、確かに書いてあります。ヒッポロス語検定1級、クワマンテ語検定1級、カイルタン語検定1級……語学以外にも、漢方薬検定、野菜検定、ワイン検定、観光案内検定、習字検定、DJ検定、マッサージ検定……」


リザベルさんが袖口そでぐちから取り出した紙を読みあげている。まだまだ終わりそうにない。


つまり……宇宙最強の女戦士は、宇宙最強の資格コレクターでもあったんだ!


「じゃ……じゃあ! ラムダさん!」

「何じゃ? リザベル」


「日本語が分かることを、今になって明かした理由は何?」

「はて? ()()はもう言うたつもりじゃが」


「き……聞いてません!」

「まったく、相変わらずのうっかり者じゃな」


リザベルさんは目に涙をめて、唇を噛みめている。

間違いない。ラムダさんが何を考えてるか、もう分かってるんだ。


「聞いてないです!」

「ならばもう1度言ってやろう。わらわはお主と違って、多良木たらきを1人にはさせん」


「い……意味が……」

「とぼけるでない」


ラムダさんがクスクスと笑った。

いつもクールで、感情を表に出さなかったラムダさん。

まさか、こんな笑い方もできるとは。


「お主が用事とやらでこの部屋を離れる443.2574年、わらわはずっと多良木たらきそばにおってやる。多良木たらきの望み通り、みっちりと鍛えてやるつもりじゃ」


呆然ぼうぜんとしているリザベルさんに、ラムダさんがとどめの一言を放った。


「それにの……多良木たらきがわらわを()()()なら、わらわも多良木たらき()()()()()つもりじゃよ」


涙がほおを伝わり、リザベルさんは膝をついた。

ラムダさんはそんなリザベルさんを気にめることなく、俺にあやしい笑顔を向けた。


「聞いたかの。多良木たらきよ。お主はわらわと、ここで長い時をともにする」

「ラ、ラムダさん……」


言葉が続かない。舌なめずりをするラムダさんの全身からほとばしる凄まじいエロスが、俺を圧倒している。


「言っておくが、残り10日間。一切手は抜いてやらぬぞ」


守り抜いてきた純潔が今、風前の灯火となっている。

これぞまさに、蛇ににらまれた蛙……もとい、痴女ににらまれた童貞。


「1500年の歳月をり上げたわらわの()()。その身で受けてもらうぞ」


()()……だと?

これが、宇宙最強の女戦士のもう一つの姿……ロリサキュバスver.か!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ