表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/57

(第020話)アーユーロイ・サドラー?

「それじゃ、とりあえずスケベジジイを呼び出します」


うん。相変わらず決断が早い。


矢吹やぶきさん、ラムダさんを怒らせたりしないでしょうか?」

「大丈夫ですよ。ラムダさんは日本語が分かりませんし、スケベジジイは()()()()()()()を知りませんから」


俺は、壁にもたれかかって腕を組んでいるラムダさんをちらりと見た。

地球、特に日本流の礼儀作法は、コルネリア族にとって失礼な行動になる。そのことを知らなかった俺は、初日に半殺しでも全殺しでもなく、全殺し数千回分のダメージを与えられたんだった。


「きっと大はしゃぎでコマネチしますよ」

「まあ、そういうの好きそうですね」


確かに、矢吹やぶきさんからボクシングをとったら、ただの礼儀知らずのスケベジジイだもんな。何て言ってるかも分からないだろうし、まあ、何とかなるか。


「というわけででよ! スケベジジイ!」

「ちょっ! さすがにざつすぎる!」




…………何か普通に出てきた。

凄いな。あんなのでも召喚しょうかんできてしまうんだ。


「おお! リザベルちゃんじゃないか! 相変わらず別嬪べっぴんさんじゃのお!」


そして第一声がこれである。

スケベジジイで呼び出せてしまう理由が何となく分かった。


「そ、そして……これはまた何とも可愛らしいお嬢さんじゃ!」


はいはい。ラムダさんのことね。分かりますよ。確かに、そうとしか見えませんし。

けど、言葉が通じてたら()()()()()になってますから。


「うむ。安産型のよい尻をしておる。五年後にはきっと、男どもをとろけさせる素敵な()()()になっとることじゃろう!」


ラムダさんはまったく反応しない。にも関わらず、思ったことを即言語化する。

それがスケベジジイ……もとい、好色老人の特徴だ。


「どうじゃ? ワシ、一番乗りで予約しておいてええかのう?」

「や、矢吹やぶきさん。危険ですから、すみの方に動いてもらえますか?」

「放っておいていいですよ。どうせ死にませんし」


うーん。やはりリザベルさんの様子がおかしい。

さっきの言葉……悪魔あくまの存在は()()()()()だとかなんとか。あれはどういう意味なんだろう。




でよ! ロイ・サドラー!」


けど、どんなに悩んでいても、決断(=召喚しょうかん)が早いのはいつも通りなんだよな。


「リザベルさん! ロイの言葉は分かるんですか?」

「マルグレッド星の言葉は分かります。けど、ロイには通じません」


「そ、それじゃコミュニケーションは?」

多良木たらきさん。認識を改めてください。悪魔あくま()()()()()()じゃないんですよ」




……出てきた。


え? ええ? 


ええええええ?


「こ……これが悪魔あくま?」


いや。悪魔あくまっぽいといえば悪魔あくまっぽいのか?

やせこけた体に、異常に長い手足。つるんとした緑色の肌。どんよりとにごった黄色い目。大きく裂けた口からはよだれが垂れ落ちている。体毛は一本も生えていないようだ。


前触れもなく登場した悪魔あくまは、突然起こった出来事に動じるでもなく、かといって周囲の様子を観察するわけでもなく、心ここにあらずといった様子で、どこか一点をぼんやりと見つめている。女性が出てくると思っていた矢吹やぶきさんも、これにはびっくりだろう。


「な……何で緑色?」

「食事なしでも生きられるよう、皮膚を葉緑体と同じ構造にしてるんです」


うえっ。気持ち悪い。

けど、俺がビビッてたんじゃ話にならない。リザベルさんは俺のために、嫌なのを我慢して呼び出してくれたんだから。


深呼吸して、覚悟を決めた。

よし! いくぞ! 




「な……ナイストゥミーチュゥ、アーユーロイ・サドラー?」

「英語は通じませんよ」


「ア、アイムタラキ・ノブ……って、っでええええええ!」

多良木たらきさん! だから言ったでしょ!」


速い! ロイは目にもとまらぬ動きで俺の背後に回り込むと、首元にかじりついてきた。右手を差し出して挨拶をしようとした俺を嘲笑あざわらうかのように。


すかさずラムダさんからのげきが飛ぶ。

ぴっぷるぽっぷる? コルネリア語? 何だそれ?


「壁に叩きつけろって言ってます!」


何で()()()()()()()()()()()()()()()になるんだよ? 

緊張感がなくなるだろ!


いや。ツッコみは後だ。確かにこの状態から脱出するにはそれしかない。

さすがは宇宙最強の女戦士。判断が早い。


「どりゃああ!」


一番近い壁に背中から突っ込み、張り付いた悪魔あくまを押し潰す。

ロイはうめき声をあげ、俺から離れた。

よし! この距離はボクシングが使える!




「おらあっ!」


顔面に右ストレート。壁とサンドイッチ状態になるロイ。後頭部をしたたかに打ち付けた。


「まだまだあっ!」


力なく倒れ込むロイを引き起こすように、右アッパーを決める。今度は天井に激突。


「おしまいっ!」


タイミングを合わせ、落下してくるロイの頭に横蹴り。ラムダさんの動きを参考に、密かに練習してたんだ。

腕の三倍といわれる脚の筋力。攻撃に使わないのはもったいないからね。


ロイは反対側の壁まで吹っ飛び、激突。よだれを垂らしながら、うつせになって倒れた。

うむ。自画自賛じがじさんになるが、初めての蹴りにしては、なかなかいい感じだったんではないだろうか。




さてと……当たり前だが、立ち上がってくる気配はない。

それもそのはず、地球人なら三回は死んでる攻撃を食らったんだ。


しかし、まさかここまで強くなっているとは。皇帝カイザーと戦ったときですら地球人最強クラスだったのに、そのときと今とでは雲泥うんでいの差がある。これが限界突破か。

ラムダさんの十パーセントに近付いてきてるって話だったし、これはもう転移先でも無双間違いなしだろう。


はっ! ということはもしかして……巨乳きょにゅうハーレムが実現する?

正面に巨乳きょにゅう。右を向いても巨乳きょにゅう。左を向いても巨乳きょにゅう

何故なぜそんな状況なのかって? それは俺が、巨乳きょにゅうの海で遭難してしまったからさ……


「@&$&¥★〇△▫■◆♀♂々〆※★!!」


ん? ラムダさんが何か言ってる。ぽこぺんぷぅ……何だ?


多良木たらきさん! まだ終わってないって言ってます!」


だから何で()()()()()()()()()()()()()()に……


って、終わってない? 嘘でしょ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ