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ガラパゴス・ケータイ

作者: 花みかん

初投稿です(* .ˬ.)

5年前のこと、私は祖父と時々メールをやり取りしていた。内容は、「今日の夜ご飯はチャーハンだよ」みたいな、何気ないことだった。帰ってくる返信は「美味しそうだね(ニッコリ)」と、絵文字付きだった。祖父はもう病院で寝たきりだったのだが、メールの文面は元気そうで、メールを見る度に少し安心していた。


そんなある日の冬、私のスマホに、電話の呼出音が鳴った。表示を見ると、祖父からだった。祖父から電話がかかってくるなんて初めてだった。

「もしもし、おじいちゃん?」

「……」

電話の先で何も音がしなかった。

「もしもーし」

メールでも送ろうとして、間違えて電話をしてしまったのだろう。私は電話を切ろうとした。すると、

「あ、電話でた!」

母の声だった。なんだ、見舞いに来た母さんが、おじいちゃんの携帯で電話しているのか。

「なに?」

私は少し不機嫌に答える。

「なんか話してあげてよ」

いくらなんでも、話の振り方が適当すぎる。

「えー……おじいちゃん元気ー??」

「……」

返事はない。

「おじいちゃん、元気かって聞かれてるよ?」

今度は祖母の声だった。母さんとおばあちゃん、今日一緒にお見舞い行ってるんだ。

「……」

祖父からの返事の声はなかった。きっと、体調も良くなくて静かに寝ていたのだろう。最近の祖父は元気がなかった。今も病床で寝ているのだろう。祖父の姿を想像すると、なんだか涙が溢れてきた。返事はないけど、もう少し話してみよう。

「早く元気になってね」

「……」

やっぱり返事はなかった。


その日の夜、父に車に乗れと言われた。

「どこ行くの?」

父は、いつもより静かな感じで話した。

「おじいちゃん、亡くなったって」


あれが私にとって、祖父との最後のやり取りになった。祖父の声は聞けなかったが、あれが最後の会話だったのだ。と、そう思っていた。


お葬式も終わり、色々落ち着いてきた頃。私は母に、最後の電話のことを話した。すると母は、

「え?電話?してないよ」

母さんは忘れっぽいから、覚えてないんだ。後日、祖母も聞いてみた。

「電話…してないと思うわ」

私は、スマホの着信履歴をみた。祖父が亡くなった12月に、祖父からの着信履歴はなかった。

お楽しみ頂けたら幸いです。

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