08 応報
これ以上、俺がアレのお守りをせずに済み、
お疲れロイさんの御手を煩わす事も無く、
御心痛ツァイシャ女王様の御気持ちにも配慮し、
必ずやアレの将来のためにもなるであろうという、
正に、一石四鳥の秘策!
イヴラシュカ元王女様は、
エルサニア城の城付きメイドとして、
住み込みの行儀見習いとなりましたよっ。
俺、頑張った!
何かやらかしてやいないかと時々様子を覗きに行くと、
御本人はメイド服をひらりひらりとひるがえしながら、
楽しそうにお城の中を闊歩しておられますよ。
って、楽しんでるのかよっ。
えーと、めでたしめでたし、でいいや。
それなのに、ようやく落ち着きを取り戻したはずなのに、
我が家の空気は、なぜか微妙。
「せっかくのお国の外での自由な暮らし、もう少し味わってほしかったなっ」
もしもし、アイネさんっ。
「ヴェルネッサさんへの定期報告、お城勤めメイドのアレコレって守秘義務やら制約やらで結構大変なんですよっ」
もしもし、リシェルさんっ。
なぜか乙女たちからの不満と非難の眼差しを一身に浴びる、俺。
これってどうよ、ミナモ。
ひと言、皆に言ってやってくれないか。
俺、頑張ったよなっ。
「うら若き乙女の大切な人生を舵取りした責任、しっかりと背負ってくださいませ」
……重過ぎるだろ、それ。