07 因果
あれからも、イヴラシュカお嬢様から骨の髄までイジりまくられた出涸らし用心棒、
ようやく着いた合流地点にて『システマ』に拾ってもらい、
何とか無事に我が家へと帰還出来ました。
これにて一件落着。
って、そうは問屋が卸さないんですわ。
モノカ邸にて開催された歓迎会だか反省会だか分からんカオスな集まりで、
めっちゃ楽しげなイヴラシュカさんのお守りをしているのは何故か、俺。
新型『転送』装置『ゲートルーム』のおかげで、
こういう集まりには可能な限り全員集合するようになったのです。
つまりは、あまりの人の多さに人見知り用心棒の震えるハートも燃え尽きちゃったところへの、アレな元王女様からの無慈悲な追い打ち。
そして、へろへろになった俺に休む間も無く最重要イベント襲来。
エルサニア城へと、アレを引き連れての、
ツァイシャ女王様への御報告行脚。
女王様も俺たちも、もちろん騒ぎの原因のアレも、
その場に居る全ての人にとって気まずいであろう事この上無しの、
苦行な謁見となる事、間違い無し。
俺、もう逆さに振っても出汁の一滴もでない、なんて弱音は吐かないぜ。
実は、こんなアレな因果をまるっと断ち切る秘策あり。
たったひとつの冴えたやり方ってヤツだな。
楽しそうにエルサニア城内をきょろきょろしているアレを引っ張って、謁見の間へ。
「この度は皆さんにお詫びのしようもない程の不始末を……」
目の前には深々と腰を折って詫びるツァイシャ女王様が。
いけませんよ、あんなアレなんかのためにそんな事をなされては。
「それでも……」
フィルミオラ女王様からの書簡を手渡しながら、
もしよろしかったらと、お耳を拝借。
役得、ですね。
女王様の可愛らしいお耳へ、ひそひそと。
あの帰りの苦行道中、大人しくなすがままだったわけでは無いのだよ。
出涸らし用心棒にだって、追い詰められれば知恵も勇気も湧いてくるのさ。
ってなわけで、あの問題満載元王女様に、一泡吹かせた、俺。