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むう、せっかくの極楽安眠ひざ枕なのに、何やら騒がしくて目が覚めてしまった。
悔しいので、このままタヌキ寝入り……
『シナギさん、気持ち良さそうにおねむさんしていますね』
『普段はあんなに大人アピールしているのに、この寝顔を見ちゃったら説得力無くなっちゃいますよね』
『でも、こう見えて私、すっごく感謝しているんですよ』
『なんてったって、ずっと頑張ってきたメネルカ脱出計画成功の立役者ですもの』
『子供の頃エルサニアを訪れてツァイシャ様にお会いしていなければ、国の外の世界のことも知らずに女王を目指すだけのつまらない人生になっていたと思います』
『それからずっと、子供ながらに考えたメネルカ脱出計画を頑張って、わがまま王女候補を演じる日々』
『それでもいつかは自分だって、幼い頃に憧れたツァイシャ様とライクァ様みたいな素敵なカップルになれるって信じて頑張ってきたんです』
『あの頃はまだ女王じゃなかったツァイシャ様は、ライクァ様とお似合いのあつあつカップルだったんですよ』
『えーと、そして成人の儀を迎えてからは計画の最終段階』
『書類の偽造もエルサニアからの皆さんの呼び出しも全て上手くいったけれど、心配ごとがひとつだけ』
『最後の難関ヴェルネッサさんを動かせるほどの人が現れるかどうか』
『シナギさんじゃなかったら、あそこまで上手くいかなかったと思います』
『初めてお会いした時、この人が自分の運命を変えてくれたんだって思ったら、身体が萎縮しちゃって』
『だからあの幌馬車の旅でのいろいろが、本当にすっごく嬉しかったんです』
『話せば話すほど、楽しくてやめられなくなっちゃって……』
『これからも、末永くよろしくお願いしますね、ミナモ先輩』
『私のことは、イヴって呼んでくださいね』
えーと、聞かなかった事にしよう、
今、俺の人生で大切なのは、
この至高のひざ枕……
zzz……
あとがき
リヴァイスという世界は、ひとりの少年がプレイしている仮想現実ゲームです。
彼は長い時間この世界を旅するうちに『鏡の賢者』と呼ばれる存在になりました。
お供のメイドさんは『伝説のメイド』と呼ばれております。
ここで暮らしている人々はいわゆるAIですが、それなりに大変なこの世界を楽しく生きているみたいです。
リヴァイスの物語は、そういう人々のあれやこれやを短編として紹介するものとなりそうです。
iPadのメモ帳につらつら溜め込んでいたショートストーリーや小ネタをひとつの世界にまとめようとしたら、こういう設定になりました。
整合性や何やらいろいろアレですが、お話しがまとまり次第投稿したいと思っております。
楽しんでいただけたら幸いです。