水面下での動き5
短くてすいません汗
職場に戻ると既に晩御飯の準備ができていた。
「お帰りなさい、侑士さん。ご飯の準備はできてますよ。」
そう言われたがそれは本来俺の仕事のはずであり、とてもじゃないが顔向けできなかった。
「すいません、本来なら俺がやるべきことのはずなのに任せてしまって。次からは決してこんなことがないようにします。」
「いいのよ。私達は家族なんだから。侑士君も好きな事をやったらいいのよ。」
続けて雪さんがそう言った。
「いえ、大変ありがたい申し出ですが仕事である以上するのが当然のことなので。」
「何言ってるのよ。仕事は一緒に暮らす事でしょ。誰も家事のために雇ったなんて言ってないじゃない。」
飯塚さんにまでそう言われてしまったが、条件は執事だったはずである。
「…ですが。」
「ですがも何もないの。雇い主がそう言っているのだから従いなさい。」
確かに雇い主がそう言っている以上俺に否などない。だが出来るだけのことは住まわしてもらっている以上やろうと思った。
〜飯塚穂波視点〜
遊びに行っていた侑士君が帰ってきた。相手は裏切り者の北山さんだ。遊びに行っていいかと尋ねてきた時はどの口でそんな事を言うのかと思った。傷つけておいて元鞘狙いなのはわかっていたし虫が良すぎる。
ただ同時にいい機会なのかもしれないと思った。彼女は彼と接する度に自分のやったことの罪悪感に苛まれるだろう。そして侑士君が彼女の元に戻る確率なんて限りなく0に近い。それで心折れるくらいなら結局それまでなのである。
だから私は拒否しようとした真紀ちゃんと雪さんを説得して許可した。それに何をしてきても帰る場所はここであると強く認識できるようになるはずだ。
そうして久しぶりに侑士君がいない家に帰ってきた。雪さんと結奈ちゃんは買い物に行っている。その間に私はは家の掃除である。
彼はまだ私達と過ごすのを仕事だと思って家事などを全部一人でやろうとしてしまう。だから彼がいないうちにやってしまうことで少しずつでも仕事ではなくても私達と過ごすことが当たり前になるように意識づけていく。
時間はこれからいくらでもある。侑士君と家族になる日まで必ず彼を守ってみせる。
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