水面下での動き4
本日2話目です!
それからなぜか優子さん達も合流して一緒に水着を見ることになった。そして次々に試着室に入って行っては水着を見せてきて感想を聞いてくる。
…とてもじゃないが直視できないし、とても恥ずかしい。
それになんか距離が近い気がするし…
そして皆んなが水着を選び終わった頃にはすっかりと疲れ果ててしまった。
それなのに俺を囲んで次の買い物場所へと向かおうとしている。腕はいつのまにか薫さんに組まれていた。
薫さんもニコニコしているがどこか黒いオーラを出していて、それを感じているのか俺からも先程までよりは距離を取られていた。
そうしてそれからも様々なところを回った。とても疲れたがこれまで経験したことがなかったためとても新鮮だった。
「ごめんね、今日はいろんなところに連れ回して。」
「いえ、むしろ自分なんかが皆さんの中に入ってしまってすいません。」
あんなに大勢の人と話したのはいつ以来だろうか。そう考えるがもう思い出せない。
「そんなことない!誰一人として嫌そうな顔してなかったでしょ?だからユウは居てよかったんだよ。」
「そうでしょうか。…そうだと嬉しいです。今日はありがとうございました。」
「ううん!こっちこそありがとう!!また、一緒に出かけてくれるかな?」
「はい。自分なんかでよければ。」
「ううん、ユウだからいいの!」
「…そうですか、それではまた。」
「うん、またね!」
そうして別れた俺は仕事場へと帰って行った。
〜薫視点〜
遠ざかっていく背中を見つめる。本当ならユウの家は私の家の隣のはずだが、今ユウはここには住んでいない。それが今の私と彼との距離を表しているようで自分が嫌になる。
今日、ユウを遊びに誘えたのは偶然に近かった。ユウを直接誘っても今の仕事を理由に断られるのは目に見えていたのでまずは九条さんに話をするところからだった。
正直絶対に断られると思っていたのであっさりと「いいですよ。」と言われた時には拍子抜けした。何か裏があるのは目に見えていたが、これはチャンスだったのでそのことは後回しにした。
そうして遊びに行くことになったのだが、優子達と遭遇したのはもちろん偶然なんかではない。
今日、私も水着を買いに行くのに誘われていたのでここにくる事を知っていたのだ。
もちろんユウにアピールすることが第一だったのだが、ついでに外堀を埋めようと考えたのだ。
そうしてユウに大胆な水着で攻めたりしてアピールしながら優子達がくるのを待ったのである。
計画は順調に進んだ。…優子達が妙にユウにベタベタした以外は。でもその後は私に遠慮してベタベタしなくなったので私のユウへの愛が伝わったのだろう。
暫くはこうしてユウとイチャイチャしながら外堀を埋めていこうと考えている。
ユウとのつながりを失った私にはとれる手段はなんでも取るしかない。
必ずユウを奪い返して再びユウの隣に立って、幸せな日々を掴むのだ。
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