不信感 〜麗華視点〜
昼休み、侑士の教室を訪ねてみると、彼はいなかった。
近くにいた生徒に尋ねてみると今日は来ていないらしい。
なんでも体調不良なのだそうだ。
今まで休まなかった侑士がいきなりこんなに休むのはおかしい。
そう思って九条さんのいる教室に向かおうと思った所で結奈に遭遇した。
「侑士は学校に来ていないらしいぞ。」
「そうなんですか…」
そして私は結奈と一緒に九条さんの教室に向かった。
「何?彼女も休み?」
「はい、なんでも体調不良なのだそうです。」
そして訪れた教室で私はまたしても同じことを聞いた。侑士の面倒を見てくれているのかと思うと納得もいくが、どちらにしろ侑士のことが心配だったので放課後に結奈と一緒に家へ訪ねることにした。
放課後、生徒会の活動を早めに引き上げて今侑士がお世話になっている九条さんの家に向かう。
結奈には活動が終わるまで待っていてもらっていた。
ピンポーン。
インターホンを鳴らすが反応がない。
ピンポーン。
もう一度鳴らしてみるが反応はなかった。
侑士は寝ていて、九条さん達は出かけているのかと思い、しばらく待っていたが彼女達が帰ってくる様子もない。
「お姉ちゃん、前来た時ここに車がなかった?」
そうして見ると、確かに前はあったはずの車はなかった。
「病院に行っているのかな?」
結奈がそう言う。確かにその可能性はありそうだ。
「今日の所は帰ろうか。」
私達は仕方なく家路に着いた。
侑士の携帯に連絡してみたが反応がなかったため、九条さんの所に連絡したがまたしてもこちらも反応がなかった。
これにはさすがに不信感を覚えたが、明日にでももう一度尋ねてみればいいと無理矢理納得することにした。
次の日、昼休みになって再び侑士の教室を訪ねてみたが侑士は今日も来ていなかった。
これにはさすがに私も昨日の不信感を強めるしかなかった。
真面目に学校に通っていた侑士が、ここ最近で3日も学校を休んでいるのである。
放課後、何はともかく侑士の話を聞かなくてはと一目散に九条さんの家に向かった。
本当に体調不良だったのならよくはないがいいが、それ以外なら大問題である。
そうして結奈とともに九条さんの家に到着した。
ピンポーン。
インターホンを鳴らすと今日は応答があった。
「はーい。」
そうして扉が開かれると中から柴田さんが姿を見せた。
「あら、侑士君のご家族さんじゃないですか。どうされました?」
「侑士が体調不良と聞いたのだが」
「あぁ、侑士君なら今は眠っているわよ?」
「そうか、見舞いをさせてもらっても?」
「いいですよ。静かにお願いしますね。」
そうして家の中に招いてもらったのだが確かに侑士は眠っていた。
この姿を見れば侑士が体調不良で休んでいるのも納得するしかなかった。
そうして起こすのも悪いだろうと、見舞いの品だけ置いて家に帰ることにしたが帰り道でも不信感をぬぐいきることはできなかった。
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