閑話 幻のクリスマス
皆さんメリークリスマスです!!ということで本編とはちがう時系列のもしもの世界です!!
これはあり得たかもしれない、けれどもうありえないもしもの話。
「「「「「「メリークリスマス!!!!」」」」」」
そのリビングにはたくさんの人が集まっていた。
それぞれが楽しそうに話をしながらパーティーを楽しんでいる。
「ユウ、メリークリスマス!!」
そう話しかけてきたのは幼馴染の薫だった。
「うん、メリークリスマス!」
そうして2人で話していると
「ねぇ、ユウ、この後って空いてる?」
と唐突に聞いてきた。
「この後?そうだなー、一応帰るつもりではあるけど。」
「そっか、だったらパーティーのあと2人で出かけない?」
と聞かれた。そう言われると、今日がなんの日か急に意識してしまう。
「お、おう。いいぞ。」
そう答えると、
「そっか!」
と薫は嬉しそうに笑った。
「お二人さん、相変わらず仲良いねー」
2人で話していると友人Aが話しかけてきた。
「そりゃ幼馴染だからな。」
この手のからかいには慣れたものなので無難に返すと、
「そうだよ、侑士君!薫さんとばかり話してないで私達とも話そうよ!」
と、侑士の周りはすぐに人でいっぱいになった。
彼はその明るい性格と優しさからクラスの人気者だった。
「ははっ、侑士は相変わらずすごいね。」
そうして話していると親友の洋介が話しかけてきた。
「おう、洋介。からかうなって。そろそろやるか?」
「そうだね。そろそろいい時間だしね。」
「よし!それじゃあ皆んなでプレゼントこうかんするぞー!プレゼントもってこーい。」
そうして皆んなでプレゼント交換を行うことになった。
方法はプレゼントに番号を振ってくじ引きをすることになった。
「私これ欲しかったんだよねー。」
「うわっ、誰だこんなのプレゼントに買ったやつは!」
「「あははは!!」」
そうしてプレゼント交換も和やかにすんでいった。
帰り道、俺と薫はイルミネーションを見に行った。
「綺麗だねー。」
「ああ」
そうして2人で眺めたイルミネーションはとでも幻想的で言葉で言い表せないくらい綺麗だった。
そうして家に着くと再びのクリスマスパーティーが待っていた。
「侑士君、薫ちゃんおかえりなさい。」
もちろん隣の北山家と合同である。家族ぐるみの付き合いだから当然と言えば当然である。
「「ただいま。」」
2人して声を揃えて言った。
「侑士、こっちの飾り付け手伝ってくれ。」
奥から義姉さんの声がしたのでそっちに向かうと義姉さんと父さんが飾り付けをしていた。
「おかえり、侑士。ちょっと手伝ってくれ。」
そうして飾り付けを手伝うこととなった。薫は義妹に呼ばれて料理を手伝いに行ったようだ。
そうしてしばらくして作業が終わると、ちょうどあちらも料理ができたようだ。
「じゃあ、今年も皆んなでできて嬉しく思う!メリークリスマス!!」
「「「「「「「メリークリスマス!!」」」」」」」
父さんの音頭で家族内のクリスマス会が始まった。
「そうか。侑士君も薫ももう17歳になったかー!!」
暫くしてお酒が進んだおじさん(薫のお父さん)がいった。
「侑士君がうちの薫をもらってくれたらいいのにねー」
とおばさん(薫のお母さん)も酔っ払いながら言ってきた。
「もうお母さん!!」
と薫が顔を赤くしながら言う。
「「ははは!!」」
そうして家族と北山家の合同パーティーも楽しく過ぎていった。
そうして夜中になりパーティーは解散となった。
「楽しかったね。」
縁側にいると薫がそう声をかけてきた。
「そうだな。来年もこうやって楽しく過ごせるといいな。」
薫は顔を赤くしながら
「そうだね。でもユウ、私はね、来年はユ……とこ………にな……す……い…」
いきなり意識が遠ざかっていく。
薫は最後なんて言ったのだろうか。
目を覚ますと自分の部屋だった。
どうやら夢を見ていたようだ。
考えてみたら当然である。誰にも好かれない俺があんなに人に囲まれるなんてことはありえないのだから。
気がつくと一筋の涙が溢れていた。
幸せな夢だった。
父さんが生きていて。薫とも家族とも楽しく過ごせていて。あんなにも人に囲まれて過ごせていて。
今の俺にはひとつたりともないものである。
だから例え夢だと分かっていても願ってしまう。決してもう元に戻らないとしても。
それでも…
あんな未来がもしあったらと…
未だ人の温もりを求める俺は二度と手に入らない物を願ってしまう。
お読みいただきありがとうございます!これからもよろしくお願いします!!