同居生活5
すいません、お待たせしました!
家の中に入ると、何事もなかったかのように夕食の準備へと戻った。
他愛無い雑談に花を咲かせながら彼女達が話している中で、自分も話しかけられれば相槌を打つ。
そこに今さっき尋ねてきたばかりの彼女達の話は不思議なほどに出てこなかった。
まるで彼女達のことなど取るに足らないとでも言うように。早く忘れろとでも言うように。
そうして食卓を囲んで彼女達と夕食を食べる。
そこでも彼女達のことは一言たりとも出てこなかった。
そうして夕食が終わると自由時間になった。
各々がやりたいことをしていると雪さんがいきなりこう言った。
「明日は皆んなでどこかに出かけない?」
普通に明日も学校があるので放課後の話をしているのだろうか?
「いいですね。せっかくですし遠出しましょうか?」
飯塚さんがそう言った。学校はどうするのだろうか?
「それならわたくしいきたいところがあるんですがいいでしょうか?」
九条さんがそう言った。
「明日は学校があるんですが放課後という意味でしょうか?」
気になっていたので聞いてしまった。俺なんかが疑問を呈して申し訳ないが学校は陽子さんがお金を払っているのだから休むわけにはいかない。今日は本当に特別である。
「?もちろんやすみますわよ。」
当たり前のように言われてしまった。
「…ああ!侑士さんは休むとお金を払ってもらっているお義母様に申し訳ないと思っていらっしゃるのですね。少々お待ちください。……「もしもし、ええ私よ。…ええ、……ええ、ではそのようにお願いしますわね。…ええ、それでは。」……これで大丈夫ですわ。侑士さんのご家族の学費を免除してもらうようにお願いいたしましたわ。これでお金の心配はなくなりましたわ。」
恐るべき強権を見た。電話一本で一家の学費が免除になってしまった。流石は九条のお嬢様である。
「…そ、そうですか。それでしたら俺に拒否する理由はありません。」
彼女達はいわば雇い主なのでダラダラと言い訳をするわけにもいかない。俺なんかは強いものには巻かれるしかないのである。
「…無理を言ってごめんなさい、侑士さん。明日は侑士さんも楽しんで下さい。侑士さんは心が疲れています。ですので少しでも心を空っぽにして何も考えず楽しんで下さい。」
彼女はそう言った。
心が疲れている?そうなのだろうか?俺にはわからないが彼女がそういうのならばそうなのだろう。
ならば彼女の言うようにどうにかしてもう気を遣わせなくても大丈夫と思ってもらえるように明日でしなければならない。
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