急展開4
そうして慌ただしく1日がすぎていったのだが、問題は夜に発生した。
寝室で明らか広いキングサイズのベットで3人並んで寝るらしい。
「すいません、やはり俺は他の所で寝ます。」
もう今日何回目かのことを伝えるが、
「諦めてください。これも雇い主としての命令です。」
とすげなく断られてしまう。しまいには両腕に抱きつかれてしまった。親と離れて寂しいのだろうか?
それならば俺は抱き枕に徹することにする。
そうして心を無にして同棲初日?は過ぎて行った。
同棲2日目?、俺は朝早くから起きて朝食の準備をしていた。
「それにしてもやはり広いなー」
キッチンに立ちながらひとりごちる。
広々としていて電化製品は全て最新のもの、更に大理石ときたら気後れしてしまうのも無理ないだろう。
「あら、侑士君、おはようございます。早いですね。」
そうこうしているうちに部長が起きてきた。
「おはようございます、部長。」
そう言うと、彼女は不満そうな顔をして、
「前から思っていたのだけれど部長じゃなくて雪って呼んで?」
と言われた。しかし、それは馴れ馴れしいだろうと思い、
「いえ、そう言うわけには…」
「ゆ・き!」
「で、でも」
「・・・」
「ゆ、雪さん」
「よし!」
やっぱり女性は強いと改めて感じた。
「手伝うわ。何を作っていたの?」
「いえ、手伝ってもら「昨日の話もう忘れたの?」
…目玉焼きお願いします。」
「わかったわ。それと侑士君、昨日1日過ごしてどうだった?」
「そうですね、俺なんかを本当にこんな所で住まわせて貰っていいのですかという疑問でいっぱいでした。本当に一緒に住んでもいいんですか?なんならそこら辺の庭で暮らしますが…」
「あら、私達と一緒に暮らすのは嫌?お姉さん悲しいわ」
「いえ、そんな事は決して。ただ俺なんかでいいのかなと。」
「ふふっ、侑士君はなんかじゃないわ。素敵な人よ。一生いてくれていいのよ。」
「俺なんかをそんなにも気にかけてくださってありがとうございます。」
雪さんはとてつもなく優しい。雪さんから御光(後光)が見えそうだ。まぁ、白黒にしか見えないので御光(後光)もなにもないのだが。
「わかっていたけれどこれは重症ね。けど大丈夫。これからは一生一緒なのだもの。ゆっくり心を癒していけばいいわ。(小声)」
そうして自宅よりもなぜか心安らぐ空間で朝食の準備をしながら過ごした。
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