異変 〜???視点〜
明日提出のレポートほったらかしてもう1話行きまーすー!!(現実逃避)
私は今日運命の人に出会ってしまった。
あれは放課後、私が帰り道を歩いている時だった。いつものようにスマホを見ながら歩いていると、いきなり後ろからドンッという衝撃が襲ってきた。地面に倒れ込んでしまい、何事かと顔を上げると、男の子が私に抱きついていた。
一瞬声をあげようかと思うも、すぐに事態を把握した。私達が倒れ込んでいる後ろを車が走っていたからだ。
私はその事を認識した瞬間血の気がひいた。もし彼が助けてくれなかったら私は車に轢かれて、最悪、命を失っていただろう。そう考えると!とてもではないが冷静ではいられなかった。
私が呆然としている間に彼は散らばった私と彼の荷物をまとめると、スタスタと歩いて行ってしまった。
その事を認識できないほどに先程の恐怖を噛み締めていると、男性に声をかけられてようやく我に返ることができた。
彼が、私を轢きかけた車の運転手だという。必死に謝られるが、赤信号にスマホを触っていて気づかなかった私が悪いのだ。急ハンドルを切ったのだろう、車の急ハンドルとブレーキの跡が道路に残っていた。むしろこちらこそ謝らなければならないと運転手に謝罪すると、彼は続いて助けてくれた少年の元へと向かおうとした。そこで、私も彼にお礼を言わなければならないと思い、彼の方を向いて絶句した。
彼は普通に歩いているが、彼のふくらはぎに、深々とガラスの破片が刺さっていたのだ。あまりの事態に、
いや!なんでそれで平然と歩いているのよ!!!
と場違いにも大声でツッコミそうになった。それくらい、彼からは怪我をしているというのに深刻さがかけていた。
一瞬でそんな思考を外に追い出すと、私は彼の方へ向かった。運転手の人も彼に声をかけているが、彼は気づいていないらしい。運転手の人が走り出して肩を掴むと、彼はようやく自分のことだと認識したようだ。
運転手の人も彼の傷のことを心配する。やはり、彼の傷が重症だと認識したのは私だけではなかったのだ。
よかった。もしこれが軽症だったら?私はもうこの世界を生きていけない。
冗談抜きで、それほどの怪我に見えた。なのに彼は平然と歩いて帰ろうとしていた。救急車を運転手さんが呼ぼうとしているが、彼は夕飯の心配をしていた。
この人頭大丈夫だろうか?
私はあまりのことに呆気に取られ、彼への礼を忘れてしまっていた。
なんでガラスが深く刺さっているのに夕飯の心配しているのだろう。普通の人は絶対痛がるし、歩いて帰ろうとしない。
すると、彼は言われてまるで初めてガラスが刺さっていることに気づいたような顔をした。
いやいや、まさか気づいていなかったわけないよね?
そう考えていると、彼は無造作にガラスを引き抜こうとした。
慌てて運転手さんに止められている。それはそうだろう。そんな簡単に引き抜いて何か有ればタダでは済まない。
私はこの彼の一連の行動に開いた口が塞がらなかった。この頃になると、先程の恐怖など、どこかへと行ってしまった。
人間、理解不能な人に出会うと思考は停止するらしい。
私は身を持ってそれを体験していた。
そうしてどうにか彼を救急車に乗せることに成功した。そこからはとんとん拍子で話が進み、運転手の人も私も、損害がどこにもなかったので注意で済んだ。運転手さんは私と彼に対して慰謝料を払うと言ったが、丁重にお断りした。元はと言えば私が悪いのにそんなものもらえるわけがない。
そうしている間に、いつの間にか彼は姿を消していた。暫くして私の母が迎えに来て、家へと帰った。
今日の出来事について振り返る。まだ、夢現のようだ。まさか私に、あんなドラマのようなことが起きるなんて思わなかった。改めて思い返すと、彼にお礼を言っていなかったことに気づく。
初めての経験と、彼のあまりな行動に頭がストップしていたらしい。
確か私と同じ学校の制服を着ていたはずだ。
命を救ってくれた、彼には感謝しかない。漫画などで見ていたときは、二次元だからこそだなーと思っていたから実際にこんなことをできる人がいるとは思わなかった。
チョロインなどなんだの漫画では言われるかもしれないが、実際にこんな、文字通り命をかけて救われて、堕ちない人などいるのだろうかと、今日の事で私は思った。
既に、私の頭の中は彼の事でいっぱいだった。
自分を顧みる事なく、命を投げ出して人を救う。それを恩に着せることなく、彼は颯爽と?去っていこうとした。話してみると、すごく、不思議な空気を纏っていた彼。
私は彼の事で頭がいっぱいになりながらもいつの間にか眠りについていた。
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