異変 〜薫視点〜
麗華さんの話が終わった後、私は急いでユウの家へと向かった。ユウがまだ誤解したままだということを彼女に聞いて改めて痛感した。
今はすれ違ってしまっているが、私の気持ちが変わることはない。彼のことが生涯1番好きだし、誰にも好きという気持ちが負けることはない。本人は自覚がないだろうが、麗華さんや結奈ちゃんも彼のことを恋愛的な目で見ている。だから私は負けないために誰よりも彼を支えたのだ。
そのはずなのに、私が彼を傷つけてしまった。
高校に入ってからどこか私の思考がおかしくなっていたのには気づいている。原因が何かはわからないがそうでないとそうでないと彼以外に少しでも好意を持つなど有り得ない。容疑者がわからない以上彼以外の全員を疑わなければならない。
そんな事を考えていると彼の家に着いた。インターホンを押すと結奈さんが出てきた。どうやら彼はもう学校に向かってしまったらしい。麗華さんには悪いが私と彼の時間を潰すなど許し難い。
「薫さん、怖い顔してるよ?」
結奈ちゃんがそう言ってきた。どうやら怖い顔をしていたようだ。
「あ、ごめんね。」
私はそう謝った。できればユウの後を追いかけたいが、この子は将来義妹になる子なので無碍にはできない。彼と私が仲直りするのは確定事項だ。
「最近、ユウとはどうなの?」
私はさりげなく探りを入れる。彼と彼女達家族が仲違いしているのは知っている。
もし、私と彼とがすれ違っている間に距離が縮まっていたら距離間にもよるが何か手を打たなければいけない。家族とがあんな感じだったから私と彼はお互いしか見ていないあの素晴らしい世界があったのだ。それを守ろうとしてかつての私は失敗した。
だから今度は失敗しない。感情的に彼が私しか見ないようにしようとしたが、それでは甘かったのだ。私が、周りとも仲良くする彼への嫉妬で耐えられなかった。物理的にも彼が私しか見ないようにする。そうして初めて彼と私の完全な世界ができる。
私のせいで傷ついてしまった彼に謝罪では足りなかった。彼のためを思うならこの恋は諦めたほうがいいのかもしれない。でも私には彼しかいないのだ。だから私は彼が再び好きになってくれるのならなんでもする。心離れてしまった彼に再び好かれるにはこうする他ないのだ。
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