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異変2 〜麗華視点〜

薫が部屋から出て行ってすぐに萌乃がやってきた。


「麗ちゃん、おはよ〜」


萌乃が今日も気の抜けた挨拶をしてくる。今の重たい空気が少し和らいだ気がする。


「おはよう、萌乃。」


私も思わず少し表情を柔らかくして彼女に返す。


「さっき北山さんをみかけたよ〜。あれ弟君の彼女でしょ〜。」


彼女は続けてそう言った。そこで私は彼女に相談しようかと思った。中学の頃からの親友で、頭もよく、私の義弟とも親交があって薫のことも知っている。それに私一人ではどうも手に余るように感じた。


「今日の放課後時間はあるか?少し相談したいことがあるのだが。」


私がそうたずねると、


「いいよー。生徒会が終わった後だよね〜。」


と尋ねてきた。それに対して、


「ああ、じゃあよろしく頼む。」


と言った。その後すぐに他のメンバーがやってきた。今話の渦中にある田中もだ。彼にも話を聞いてみようかと思ったが、萌乃に相談してからでいいかと思い、後に回すことにして仕事に取り掛かることにした。



放課後、生徒会の仕事も多々がなく終了し、他のメンバーは帰宅の途に着いた。今は生徒会室に私と萌乃の2人だけだ。


「それにしても麗ちゃんから相談って珍しいね〜」


彼女はそう言った。確かに相談されることは多々ある私だが、誰かに相談することは滅多になかった。


「そういえばそうかもな。」


「それで相談って〜?」


彼女はそう尋ねてきた。


「ああ、昨日田中が生徒会に入っただろう。それで侑士と同じクラスだった事を思い出して田中のことについて聞いてみたんだ。そしたらな、侑士は田中と薫が付き合っていると言うのだ。聞くところによると、結局侑士と薫は付き合っていなかった「えっ!?弟君付き合ってなかったの!?」と言っていてな。あまりに訳がわからなかったので、朝、薫に話を聞いたわけだ。そしたら薫は別れていないと言うし。何が何だか分からなくて萌乃に相談しようと思ったのだ。」


私は内容について説明し終えた。途中、萌乃らしくない大声をあげていたが、彼女がそこまで驚くことだったのだろうか?


「そっか〜弟君付き合ってなかったのか〜。うふふふふふふふ。」


彼女はなぜか喜色満面の顔で自分の世界に入ってしまっていた。


「おい、萌乃、萌乃!」


私が肩を揺らして呼びかけると彼女はようやく元に戻った。


「ああ、ごめんね〜。それで〜麗ちゃんはどうしたいの〜?」


彼女はそう聞いてきた。確かに侑士が薫と付き合っていようがいなかろうが私には何の問題もない。ならばなぜ私はそんなに侑士が薫と付き合っているかがそんなに気になるんだ?


「うふふ〜、麗ちゃん、弟君が付き合ってなかったかもしれないと悩んでる割に嬉しそう〜。まるで恋する乙女だよ〜」


彼女にそう言われて、頭に雷が落ちた。私が侑士が誰とも付き合ってなかった事を嬉しく思っている?義理とはいえ弟なのに?私があまりの衝撃に目を白黒させていると、


「うふふ〜、弟君が本当に付き合ってなかったら麗ちゃんはどうしたい?」


と聞いてきた。


「ちなみに〜、私は弟君と付き合いたいな〜。」


と衝撃的な発言をしてきた。


「なっ!?だめだ!」


と私は咄嗟に拒否してしまった。


「ふふっ、何で麗ちゃんが否定するの〜?」


と彼女は嬉しそうに聞いてきた。私はそこでようやく理解した。してしまった。


「ああ、認めるよ。私はいつのまにか侑士の事を好きになっていたようだ。」


私はそう言った。すると、彼女は嬉しそうに、


「ふふっ、よくできました。じゃあ、弟君が別れていたら別れさせて、私と麗ちゃんで独占しちゃおう〜」


と、ぶっ飛んだ発言をしてきた。


「はっ、はぁー!?おい、萌乃、何を言っている!?」


「だって〜、私、麗ちゃんと争いたくないもの〜。だって親友だし〜。なら2人で仲良く付き合ったらいいじゃん〜」


と言ってきた。その言葉で私は彼女に相談したことが失敗だった事を知った。相談したはずが更に問題が大きくなっただけだったからだ。

お読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 相談相手間違ったな。もう一度でも薫によく聞けば良かったものを。 まあ 本人 忘れてるが人殺し呼ばわり忘れる奴なんておらんがね。
[一言] お姉ちゃん気づくの唐突過ぎて笑った
[一言] 自分の事しか考えてない奴が多すぎるなあ。
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