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異変

次の日、朝目を覚ますと昨日と同じように色のないモノトーンの世界だった。


朝ごはんを食べて家を出ると、今日は薫さんはいなかった。いい加減算構っていられなくなったのかなと特に気にする事もなく、学校への道を一人で歩く。俺はこの白黒の世界が妙に安心するようだ。いつになく心穏やかに登校できている気がする。


そうして学校に着くと、誰と話す訳でもなく自分の席へと向かう。クラスの大勢の視線が一瞬だけこちらに向くがすぐに離れてまた友達との会話に戻ってしまった。

チラチラこちらを見てくるところからどうやら俺のことを話しているようだ。時々クスクスと笑い声も聞こえる。しかし、それで何か思うところがあるわけではない。どんなことを話されていようとも特に気にかかることなどなかった。誰にどう思われようとどうでもよかった。ただ、俺に好意的な話ではないことだけは確かなのだろう。


そうして朝礼が始まるまでの間、特に何をするわけでもなく1人ぼーとして過ごした。開始ギリギリになって薫さんが駆け込んできたが、特に話すこともなかった。


昼休み、昼食のために部室に向かう。俺なんかを例え心中ではどう思っていようと気にかけてくれている人達との約束を破るわけにはいかない。


そうして部室に着くと、既に他の部員は集まっていた。そこで彼女達を見ると驚く事になった。彼女達の周りだけ僅かに色づいていたのだ。思わず、


「えっ」


と声を漏らしてしまった。これは一体どういう事なのだろう。そう考えようとしたところで、


「どうしました?」


と、九条さんに声をかけられてしまった。そこで、とりあえずこのことは後で考えようと思い、


「いえ、なんでもありません。」


と答え席につき、昼飯を机の上に広げた。


そうして食べ終わると、しばし話してから各々の教室

に戻る事にした。前を歩いていると、後ろで3人が何か話していたが声が小さく聞き取れなかった。


(今日の侑士くん、少し様子がおかしくなかった?)

(ええ、そうですわね。何かあったのでしょうか。)

(少し探ってみる必要がありそうね。)


そうして俺達はクラスに戻っていった。


クラスに戻った俺はさっきのことについて考えていた。クラスを見回してもどこも色がついてはいなかった。白黒のままである。あれはなんだったのだろうか。見間違いなのかとも思ったが、昼休み中、彼女達の周りから色が褪せることはなかった。なので見間違いとも思えない。今見えている白黒の人たちと、彼女達との違いは何なのだろう。そう考えるが、特に違いがあるわけではなく、結局結論は先延ばしにするしかなかった。



お読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 良い兆候だね。 てっきり、全部モノトーンにと心配したが、偽者どもはモノトーン。本物は色付きと本人無意識で分かってるのが良い。
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