別れ 〜麗華視点〜
部屋に帰って考えを整理する。侑士に冷静になれと言ったが、むしろ私の方が混乱していた。あまりにも衝撃のことが多すぎて、考えがまとまらない。
始まりは彼に田中のことを聞いた時だった。今朝、生徒会に入りたいと申し入れてきた田中について、同じクラスである侑士にもどんな人物であるか聞いてみようと思ったからだ。聞いた結果はおおよそ他の人に聞いた通りだった。そう思っていると最後に爆弾を投下してきた。なんと薫と付き合っているというのだ。
あまりの衝撃に暫く放心していたがようやく我に帰った私は彼を質問責めにした。そうすると彼からは次々に驚くべき言葉が飛び出した。
あまりの衝撃に再び思考停止をしてしまった私は気づくといつのまにか晩御飯を食べて自分の部屋に戻っていた。
そうして侑士が言っていた事を整理した。薫は侑士と付き合っていたはずなのに田中とも付き合っている?ならば薫が二股したということだろうか。それとも侑士とは別れた?さっきは衝撃のあまり聞きそびれてしまったがもう一度彼に聞くべきだろう。彼の勘違いという可能性も大いにある。薫の事を知っている身としては侑士大好きっ子である薫が別れて他の男と付き合うなど信じられなかったからだ。
そうして再び侑士の部屋を訪ねた。そうして彼と話していると、侑士は付き合ってなどいなかったと言った。それはおかしい。確かに侑士と薫は恋人同士だった。すると、彼は恋人とは何かと聞いてきた。それに対して、私は答えに詰まってしまった。恋人がいたはずの彼が恋人とは何かと聞いてきたのだ。まさに私が思っている恋人像が彼らだったのにそれが違うと言われれば、恋人がいない私では答えられなかった。
なので素直に分からない旨を伝えると、彼はそうですかと興味なさげに答えた。私はとりあえず事実確認をする事にした。すると、事実は確かに合っているのだが、どこか彼の思考が無理矢理捻じ曲げられたような考え方をしていた。
更に彼から彼女の思いについてもおかしな捉え方をしていたので否定すると、彼は素直に謝ってきた。だが、あれはどう見ても本気で好きだったはずだ。薫はもはや病的と言ってもいいほどに侑士の事を愛していた。彼も薫の事が好きだったはずなのに、淡々と彼女の事を語る姿に違和感を覚えた。
ますます私は混乱した。彼から聞いた話と、私が見ていたものがあまりにも違いすぎたからだ。そこで私は薫にも話を聞いてみようと思い、彼女に連絡を取る事にした。
彼らに何が有ったのだろう。どうやら調べる必要があるようだ。もし何かがあるのなら家族としても生徒会長としても見逃せない。そう心に思いながら侑士の部屋を後にした。
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