アルバイト探し6
家に帰り夕飯の支度をする。今日はまだ誰も帰ってきていないようだ。
暫くすると、義姉の麗華さんが帰ってきた。
「おかえりなさい。」
「ただいま。」
短く挨拶を交わしまた料理に戻る。しばし無言の時が続いたが、
「そういえばアルバイトをするそうだな。」
と麗華さんが口を開いた。
「ええ、アルバイト先も無事に決まりましたし。」
そう答えると、
「そ、そうなのか。どこなのだ?」
と問いかけてきた。
「九条さんの家。」
と素直に答えると、
「何!?そ、それはどういうことだ?」
とえらく焦った様子で問いかけてきた。
「文芸部のメンバーにアルバイトをするならどこかいいところはないかと尋ねたら私の家で執事をしませんかと言われたので。」
そう答えると、
「なに!?執事だと?どんな仕事内容か聞いたのか?」
と再び問い返されてしまった。
「いえ、ただすごく条件が良かったので。」
と答える。
「そうなのか。なら時間は何時から何時なのだ?」
麗華さんの問いに順に答えていく。
「俺の都合に合わせてくれるそうです。時間の融通がきくところを探していたので。」
「時給は?」
「2000円もいただけるそうです。」
「そんなにか!いつからだ?」
「まだ相談しているところです。」
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そうして全ての質問に答えていった。
「そうか、そういえばなぜアルバイトをいきなりするのだ?」
と麗華さんが問いかけてきた。
「社会勉強のためです。」
と答えると、
「その表情は嘘だな。本当の理由は?」
と言われた。俺はそんなに顔に出るのだろうか。
「本当ですよ。」
と答えてもどうやら嘘だと確信しているようだ。曰く、
「何年一緒にいると思っているんだ?」
とのことだった。確かにそうなのかもしれないが、俺には彼女の考えていることはわからない。あの時から俺が感じていることとその人の考えは違うことを知った。それからは人の考えなど俺には到底わからない。
「すいません。」
とだけいうと彼女はどうやら諦めてくれたようだ。そうしていると、陽子さんと結奈さんも帰宅した。
夕食を食べ終わった後、俺は自分の部屋でシフトについて考えていた。土日は一日中シフトに入ることができるが、平日は部活のない日の放課後の2、3時間ほどしか入れない。しかも今は文化祭の準備があるので平日は毎日のように部活がある。それでもいいのだろうかと少し不安になったので明日九条さんに聞いてみる事にしようと思い、今日の勉強を始める事にした。
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