アルバイト探し 〜九条真紀視点〜
「ふふ、侑士さんがアルバイトを探しているとは好都合でしたわ。」
私が天蓋がついたベットの上で1人今日の出来事について思いを馳せていた。
放課後、文化祭で販売する部誌のテーマについて話終わった後、彼がいいアルバイト先はないかと私達に尋ねてきた。彼の要望によると、時間の融通がきくところというのが条件のようだ。その場ではいい案が出なかったため、街に出る事になった。
街へと向かいながら、私は考えを巡らせていた。これは何か利用できるのではないかと。そうして考えていると、一つの案が頭に浮かんできた。私のところでアルバイトをして貰えばどうかと。
街を巡り終わった後に入ったカフェの外に出て早速このことを2人に伝えると、
「なんで執事なの?」
という問いが帰ってきた。そこで私はさっき浮かんできた考えを2人に話す事にした。
「目標の達成に近づくと思ったからですわ。」
私達の最終目標は私達で彼からの愛情を独占すること。友愛、家族愛、その他の全ての愛情を私達だけに向けさせる事。もちろん友情まで引き裂こうとはしませんわ。友情と友愛は別物ですもの。友達以上の強固な絆を結ばせないようにする事。他人との仲で1番簡単な繋がりは友情ですもの。これは裏切られてもあまり傷つきません。けれどこれ以上になると傷ついてしまう。ならば絶対に裏切らない人で彼の世界を固めてしまえばいい。私達はそう考えましたわ。私達はお互いが絶対に裏切らないことを理解しているし、彼への愛情も本物だ。そしてこれ以上彼が傷つく姿を見たくない。それなら私達で幸せにすればいいだけのこと。
ハーレムが嫌だのなんだのは彼の幸せに比べれば些細なこと。そのためならなんでも私達はしますの。
「アルバイトを通して徐々に彼の今の家庭での生活から私達の家庭での生活に慣れていってもらいますの。切り離していくといってもいいかもしれませんわね。将来的な布石を打ちますの。」
私はそう説明した。最終的に彼の家族は戸籍上というだけにして、実質的に縁を切ってもらおうと思っている。今はそのための準備段階という訳だ。
彼女達もどうやら理解したようだ。納得してくれた。
そうして再び店の中に入ると、彼の待っている席の元へと向かった。
それはそれで別として、今まで彼を傷つけたものを許すつもりはありません。家の権力を使ってでも何か罰を与えなければ…
お読みいただきありがとうございます。