アルバイト探し5
そうしてテーマ決めがひと段落すると休憩になった。
九条さんがいつものようにお茶を入れてくれる。そして部長がお菓子を出してくれた。
お礼を言ってお茶とお菓子をいただく。そうして一息ついているとこの人達にいいアルバイト先がないか聞いてみようとと思い立った。
「すいません、いきなりで申し訳ないのですがどこかいいアルバイト先を知りませんですか?」
俺が皆んなに聞くと彼女達は少し頭を悩ませた後、質問
してきた。
「どんなアルバイトを探しているの?」
部長がそう尋ねてきたので、
「給料はどんなものでもいいので時間の融通がきくところがいいですね。もちろん、高いにこしたことは無いですけど。」
と要望を伝えた。それに基づいて皆んなは暫く考えていると、
「うーん、今すぐと言われると少し思い付かないわね。なんならこれから皆んなで街を回ってみましょうか。」
と部長が言ってきた。そこまでしてもらうのは申し訳ないので遠慮しようとすると、
「いいのよ。もう今日話すこと終わったし。それに侑士君はもう少しわがまま言ってもいいよの。」
と部長が続けて言ってきた。しかし俺なんかがわがまま言ってもいいものだろうかと悩んでいると、
「友達にはわがまま言ってもいいのよ。したいこと、して欲しいこと、色々なことを言い合ってこそ友達だもの。」
と部長が言ってきた。
そうなのだろうか。けれど部長がそういう以上はそうなのだろうと思い、また、友達と思われていたことが嬉しくなった。
「じゃあ少し早いけど今日は終わりにして街中に行きましょうか。」
と部長が言ったので今日はの部活は終わりになった。皆んなが帰り支度をしている中、
「ふふ、アルバイトを探しているとは好都合ですわね。いいことを思いつきましたわ。」
と誰かが何かを呟いたような気がしたが、声が小さすぎて聞こえなかった。あたりを見回すが各々帰り支度をしていたので気のせいかと思い尋ねることなく聞き流した。
前に商店街の方に行ったことがあるのでその事を伝えると、なら今日はデパートなどがある電車で二駅先の大きな街へと向かった。
色々な場所を見て回る。喫茶店や居酒屋、品出し、コンビニなど色々なアルバイトがあるが、どれもめぼしい場所がなかった。これといったものも全て九条さんの意見で断念させられてしまった。
そこで近くのカフェに入って休憩という事になると、3人は揃ってお手洗いに行ってしまった。
少し時間が経って戻ってくると、3人は何故かニコニコしていた。すると九条さんが、
「いいバイトがあるのですがどうですか?」
と言ってきた。なに何かいいところがあったのだろうかと思い、
「どんな仕事なのですか?」
と尋ねると、
「はい、私の家で執事をしませんか。」
という驚きのものだった。しかも時間は俺が決めてよく、時給も2000円であると言う。ありえない高待遇に戸惑っていると、
「あら、不満ですの?でしたら3000円でも」
というので慌てて不満などないことを伝える。不満などあるはずもないだろう。こんな高待遇のところはどこを探しても見つかることはない。そうして俺のアルバイト先が決定した。
その時3人がどのような表情をしていたかなど知る由もなかった。
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