第1話 賢者の父と適性検査
そしてあれから5年が経過した。
俺はノアール・ブレイロードと名ずけられた。この名前は結構気に入った。愛称はノアだ。
それと俺の親がちょっと特殊な人だった。
父親ニール・ブレイロード。見た目は黒髪蒼眼の青年で今年で27歳との事だ。ちなみにイケメン。
ニールは風の賢者という世界に数人しか居ない称号を持った魔術師だった。
ニール曰く賢者とは火、水、風、土、光、闇、の6属性のうちの1つの属性を極めた人に送られる称号で、ニールは18歳で賢者になったらしい。
母親ケイナ・ブレイロード。彼女はブロンド色の髪で茶色の眼をしている美女だ。ニールと同い歳らしい。
ケイナは元王宮魔術師で火と水が得意であり、これに限ってはニールよりも上手いらしい。そうケイナがドヤ顔で説明してくれた。そばで聞いていたニールが引き攣った笑顔になっていた気がしたが、きっと気のせいだろう。
こんな感じの両親だった。賢者の息子になっていて、とても驚いたが同時にいい親から生まれたな、とも思った。
そう俺は新品の日記に記し、眠りに付いた。
次の日
俺は魔法協会に来ていた。魔法の適性検査をするためで、両親と双子の姉と来ていた。
姉の名前はニナ・ブレイロード。髪と眼はケイナと同じ色の美少女だ。ちなみに俺はニールと同じ色の髪と眼をしている。
協会の中に入るとローブを着た男がやってきて、
「適性検査を行うニナ・ブレイロードさんとノアール・ブレイさんですね。お待ちしておりました、私は魔法協会の職員です、では皆様奥へどうぞ」
と言い案内され、豪華な装飾をした部屋に入り、中には台座がポツンあった。
「それでは適性検査を行います。まずはニナさん、台座に手を置いてください」
男はそう言うとニナは台座に手を置いた。
すると文字が浮かび上がった。そこには全属性の適性ありと書かれていた。
「これは驚いた全属性適性とは珍しいな」
「そうね、ニール君の魔力と似ているからまさかとは思ってたけど、実際に見ると驚くわね」
そう両親が話しているのを聞いて、俺は
「父さん母さん、全属性適性って珍しいのですか?」
と聞くとニールが答えてくれた。
「適性属性は多ければ多いほど良い、何故なら魔法適性とは、その人が体質的に得意となる属性の事で、例えば火属性の適性がある人は適性がない人に比べて火属性魔法の性能が高くなるんだ。そのため適性属性は多ければ多いほど良いとされている。
普通は2から3属性で多くて4から5属性なのが一般的だ、一般的と言っても5属性適性はこの国でも数人しか居ないけどな。
ちなみに俺も全属性適性でケイナは火、水、風、土、光、の5属性適性だ。と言う事だ、わかったか?ノア」
「はい!説明ありがとうございます!」
とニールが説明した。後で聞いた話だが全属性適性は世界でも指で数える程しか居ないという。すごい人が家族なのを改めて驚いた。
次は俺の番で台座に手を置き浮かび上がった文字を見てやはりかと思った。そこに書いてあったのは適性属性なしの文字。俺はわかっていた事なのであまり驚かなかったが両親は違った。
ニールは驚愕の表情で固まり、ケイナは倒れてしまった。ニールがケイナに回復魔術を使い何とか持ち直したがまだフラフラしている。
すると職員が話し始めた。
「適性属性無しとは.....長いこと適性検査を見てきましたがこれは初めて見ました。確か適性属性が無いと言うことは......」
「魔法が使えないって事か.....」
「そう言う事に....なります」
と職員とニールが話した。すると心配したのかニナが
「大丈夫だよパパ私がノアを守るから。だからそんなに悲しそうな顔をしないで」
とニナがニールに向かって言った。そしてケイナが遂に泣いてしまった。
「父さん母さん姉さん大丈夫です、僕は絶対に強くなって見せますから」
俺はそう言い固く決意した。
絶対に強くなって見せる、と。
その日の夕食の時に俺は家族に話した。
「今日僕に魔法が使えない事が分かりました、でも僕は強くなりたいです。その為に僕は剣を習いたいと思っています。なので父さん僕に剣を教えてくれる家庭教師を付けてくれませんか?」
ニールの答えは、
「わかった!最高の家庭教師を付けてやるから期待しとけ!!」
だった。
そのまま夕食を食べ眠りに付いた。
数日後
ニールと一緒に書庫で本を読んでいると
「そろそろ来る頃だな」
とニールが不意に言った。
するとコンコンというノック音がした。
玄関へ向かい扉を開けるとそこには美女がいた。