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二章 個性?いや壊性

「やめろって!まだパーティー組んで10分もたってないんだぞ!」


 バルトが部屋にいた3人をバラバラに、風魔法で作ったかごに閉じ込めている。


「うるさい!そこの変態野郎をぶち殺してやります!早く籠をはずしなさい!」


 シスター服をきている女が叫んだ。


「やれるもんならやってみなよ。処女のクセにイキってるやつに負けるわけないだろ!お前みたいのが一番恥ずかしいんだよ、カス!」


 ゴスロリの子が吐き捨てるように答えた。


「二人とも殺してあげるから、安心して。あなた達みたいなゴミ以下のクズを相手にするのは本意じゃないけど、動物以下のあなた達は一回躾をきっちりしないといけない」


 そう言ってローブ裸女は笑顔で籠を壊そうとしている。


 やっぱり見た目通りじゃないかよ……バルトは、10分前の人は見た目じゃない!なんて心で宣言した自分が恥ずかしくなった。


 自己紹介の途中までは良かったのだ。だか一通り挨拶が終わると案の定始まってしまった……






 バルトが自己紹介を終え、次々と各自挨拶をしていく。


 シスター服の女がハンナ、ゴスロリはクリス、ローブの女がリリィ。


 ちなみにゴスロリは女ではなく、いわゆる男の娘と言うやつだ。


 普通に可愛いのに……分からないものだな。バルトはまじまじとクリスを見てしまった。


「ん?バルト君は僕が気になるのかな?」


 視線に気付いてクリスがバルトに話しかけてきた。


「いや、そういうわけじゃないけど女の子かと思ってたから驚いてね。同じ男だとは思えなくて」


「そうかな?なら今日の夜確かめてみる?一緒にお風呂に入れば色々お互いの事わかるからね」


 クリスは少し意地悪そうに笑いながら答えた。


 …………ビッチ系男の娘とか新ジャンルやん……素敵やん……


「クリスさん?パーティー初日からメンバーに色目を使わないで頂けます?気持ち悪いんで」


 クリスとバルトのやり取りを聞いて、ハンナが笑顔で会話に入ってくる。


「あれ?ハンナちゃんは格好のわりにそっちは苦手なのかな?もしかして実は処女とか?」


 クリスは笑いながらハンナに言い返す。


「しょ、しょ、しょ処女じゃありません!そ、そんなわけないでしょ!」


 ハンナさん、それ童貞が童貞を否定するときのやつな……


 バルトはハンナの処女系ビッチという謎ジャンルをみせつけられ、頭が少し痛くなる。


「うわ……ガチで処女の反応じゃん…処女でその格好とか普通にひくんだけど……」


 クリスがガチでひきながら、ハンナに言った。


「は、はぁ!?ま、毎日とっかえひっかえですけど?まぁあなたみたいに誰でも言い訳じゃないですから。不細工はチャンスが少ないですもんね」


 あれ?今軽く俺もディスられた?


「あ?処女こじらせすぎて脳ミソ溶けた?そもそもシスターがビッチとかキャラ渋滞しててキモいんですけど」


「死にたいみたいですね?」


「誰に聞いてんの?自問自答?」


「おいおい、ちょっと待てっ……」


「ただでさえ変な格好で、同じパーティーってだけで恥ずかしいんだから、これ以上恥を晒すのはやめてくれない?醜い顔が崩れてゴブリン以下よ?」


 バルトが二人を止めようとすると、静観していたリリィが呆れながら言った


「「黙れ変態、先に死にたい(の、ですか)?」」


 あー終わった……一瞬の静寂のあと全員が一気に魔法を使おうとする。


 ハンナは風属性の防御魔法を広域展開し、周りを全てぶっ飛ばそうとしている。


 クリスは使い魔を召喚しようと、軽く親指をナイフで切り床に展開した術式に血を垂らそうとする。


 リリィは空間魔法で隠していた弓を取り出し弓を放とうとしていた。


 しかしそれより早くバルトが動く。風魔法でハンナの魔法が発動する前に打ち消し、クリスの血が床につく前に飛ばす、リリィの放った弓は風で方向を変える。


 そして風の鳥籠(とりかご)と言われる捕縛魔法(ほばくまほう)で三人を拘束。


 風の鳥籠は初級魔法ながら、解除方法を知らないと外せない魔法である。しかもエルフ種の血をひく者しか使えないマイナー魔法だから、解除方法はあまり知られていない。






 そして今にいたるわけだ。


 バルトは一息つき、3人の顔をそれぞれ見る。


「別にお互いが嫌いなのはいいんだけどさ、これは仕事なんだよ。

 俺は夢の為に、金を稼ぎに来てる。邪魔するなら俺はギルドをやめてパーティーを抜ける。

 俺が抜けたら、初日で崩壊したパーティーの汚名がつきまとい俺も含め全員パーティーなんて組めなくなるだろうな。

 でも金の稼ぎ方は一つだけじゃない。俺は冒険者になれなくても絶対に金を稼ぐから、問題ない。

 10秒で決めてくれ。パーティーを組むのか組まないのか?」


 きついように聞こえるかもしれないが、馴れ合いではパーティーは成り立たない。









 というのは建前で……俺はさっさと稼いでサキュバス店に行きたい。その為には一秒も無駄にしたくないのだ。


「10,9,8……」


 バルトはカウントを始める。


「「「組む!」」」


 3人が声を揃えて答えた。


「わかった。俺の命はお前達に預ける。宜しくお願いします」


 そう言ってバルトは風の鳥籠を解除した。少し警戒していたが、以外にも全員大人しくしている。


 バルトは気付いていないが、3人ともバルトの真っ直ぐに夢を語る姿に惹き付けられていたから、惚けていたのだ。


 サキュバス店に行きたいだけとも知らずに。





「これから宜しくね!バルト君!」


 そういうとクリスが腕を組んできた。


「ちょっと!だから男女の適切な距離を保ってください!」


 ハンナが慌ててクリスを引き離そうとする。


「男女じゃないもん。それより処女丸出しだけどいいの?」


 クリスがハンナをバカにしながら、バルトに抱きつく。


「し、処女じゃない!いいから離れてください!」


「仲はいい方が楽しいわ。私も混ぜて?」


 リリィが何故か嬉しそうに、駆け寄ってくる。


 いや、いや、いや!色々嬉しいものが見えてるけど!?


 あれ?視界が暗くなった。


「バルト君に汚いものみせないでくれるかな?」


 どうやらクリスが俺の目を塞いだらしい。


「頭おかしいんですか!?あなたはまず下着位つけなさい!」


「ハンナは中途半端よ?痴女みたいではしたない」


「はぁ?なんでそうなるんですか!?ま、まぁ……痴女は否定しませんけど!」


 なんでハンナは喜んでるんだ?あぁ……ビッチっぽいのが嬉しいのか……


「とりあえず!今から今後の予定決めるから落ち着いてくれ」


 永遠に終わらない漫才を終らせる為に、バルトはため息をつきながらクリスを引き剥がし、全員椅子に座らせた。

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