三章 平凡な朝食と異常な食卓
光の眩しさでバルトは目を覚ました。
カーテンがないから朝陽が差し込んでくるな……
今日時間があったら買いに行こう……
眠気を覚ますためにバルトは軽く伸びをした。
初任務で疲れていたせいもあり、そのまま朝まで眠ってしまったらしい。
「ん?うわっ!」
ベッドの横を見るとキャミソール姿のクリスがバルトに絡み付き熟睡していた。
こいつテンプレラブコメみたいなこと、よく恥ずかしくもなくやるよ……いや、同性だしラブコメですらないのか……
バルトはクリスの性別を思い出し、冷静になった。
しかし、こうして見ると本当に女の子に見えてくるな……ん?待てよ?
別に同性なら多少イタズラしても普通だよな!
バルトは躊躇なくクリスの胸を触った。
あれ?若干柔らかいような…柔らかくないような……
「僕の胸はお気に召したかな?」
起きたクリスが笑いながら話しかけてきた。
「同性とはいえ、これだけ女の子っぽいと柔らかいような錯覚を覚える…ありよりのありだ」
「へぇー……バルト君は胸が小さくても平気な人かな?」
「クリス……平気とか平気じゃないとか、おっぱいに失礼だぞ。二度とくだらない質問はするなよ」
「あ、相変わらずだね……でも良かったよ」
クリスが若干引いていたが、何故か嬉しそうだった。
「バルトさん!朝御飯が出来ま……何故クリスがいるのです…?」
ハンナもテンプレラブコメみたいなタイミングで部屋に入ってくる。
「一緒に寝てたからだけど?同性なんだから問題ないし」
クリスが勝ち誇った顔をした。
「ふふ……クリス、毎回いいくるめられるほど私はバカじゃありませんのよ。同性でも恋愛は出来ます!だから駄目です!」
「え?何で僕とバルト君が付き合ったら駄目なの?」
「それは……あの……その……とにかく駄目なものは駄目なんです!」
「相変わらず詰めが甘いね。僕のご飯もあるの?」
「もちろん、ありますけど……」
「ふわぁ……僕先に下に行くねー」
クリスはあくびをしながら、下に降りていった。
「バルトさん!冷めるので、早く降りてきてください!」
ハンナも何故か少し怒りながら、下に降りていく。
うーん…………
好意をもってくれるのは嬉しいんだけど、俺にはその気がないからなぁ。
何故なら俺は生涯独身で、サキュバス店をジジィになっても楽しみ続けると心に決めているし。
上手くかわし続けられれば良いんだけど……
バルトは面倒くさそうに頭を掻きながら、朝食を食べに下に降りていった。
「……まじで?」
バルトは食べていたパンを落とした。
「バルト君、ごめんね!ちょっとやりすぎたみたいで。あはは……」
「私も少し本気になってしまいまして……すみません……」
「次は外でやるわ。迷惑かけて悪いわね」
3人が謝りながら出してきたギルドからの請求書を見て絶句した。
【請求書】
ギルド修繕費 金貨300枚
上記金額を30日以内にお支払願います
支払えない場合は、懲役15年の強制労働処罰が下ります。
「昨日、そんなに派手にやったのか?」
バルトがため息をつきながら3人に聞いた。
記憶が正しければ、ギルドの受付嬢とごちゃごちゃやっていた。
「半壊はやりすぎたわね」
リリィがお茶に唐辛子を入れながら答える。
「半壊!?怪我人はでなかったのか?」
「みんなすぐに逃げたからね。建物も国から派遣された建築魔導師がすぐに来て、綺麗になったらしいよ」
クリスはパンにシロップを異常な量をかけていた。
「だからこんなにかかるのか……それよりこの金額絶対に無理だろ。
うちみたいな無名ギルドにくる依頼の報酬じゃいくらやっても足りない」
ここにきてまさかの逮捕からの強制労働のフルコンボだ。
理由はどうであれ優秀なパーティーを組めたのに、このままでは全員逮捕エンドで人生詰んでしまう。
「その心配はありませんわ!今日からEランクギルドになりましたから、高い報酬の依頼も回ってきますし」
ハンナがサラダにお茶をかけている。
「Eランク!?嘘だろ!?」
バルトは思わず大声を出してしまった。
「ビックリしたー……それよりとりあえずご飯食べてから話そうよ。ギルドに行きながらでも話せるんだし」
クリスが次はお茶に角砂糖を入れまくっている。
俺以外冷静過ぎないか?俺が過剰反応しすぎってわけではないと思うんだけど。
バルトは少し恥ずかしくなり、席に座りテーブルに落としたパンを拾う。
「そ、それもそうだな。とりあえず食べてしまおう」
バルトは落ち着いたふりをして、朝食を食べ始める。
バルトは3人の異常な偏食に気付いていたが、めんどくさくなりそうなのでスルーした。
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