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二章 知らない事情

 バルトの方が3人より先にギルドに着いたので、依頼の完了報告をしに受付へ向かった。


「え!?あぁ……報告を受理しますね」


 巨乳の受付のお姉さんが一瞬ビックリしたが、すぐに何か納得したような顔をした。やっぱり何か依頼に裏があるみたいだな……


 そしてこのショートカットの巨乳のお姉さん可愛いな……どこか見覚えがある気がするが思い出せない……


「ありがとうございます。ちなみに、この依頼って俺達が受けたのが初めてですか?」


 バルトは軽く探りを入れた。


「いえ、あなた達で8組目ですね。7組は失敗しています。あのー…私からも一つお聞きして良いですか?」


「え?大丈夫ですけど」


「働いてる私が言うのも変ですが、なんでこんな無名のギルドに入ろうと思ったんですか?」


 何でって言われてもなぁ…ギルド内の意識調査とかなのか?


「うーん……一番自分の身の丈にあってると思ったからですかね」


「もしかして本当に知らないんですか?」


「え……何をですか?」


「いや、私からは言えないですが…何となくは耳に入ってるかと……」



 ……圧倒的沈黙……




 あ、この問題進◯ゼミでやったやつだ!


 回答:俺以外みんな知ってて実は大変なことになってる




 まさに異世界テンプレの「え?俺なんかしちゃいました?」的なやつじゃないか…………


 普通なら大喜びのイベントだが、絶対に俺の場合マイナスにしかなりえない。


 何故なら、圧倒的に異世界テンプレと一つだけ違うことがあるからだ。俺は本当に強くない、珍しいだけで本当に強くない。


 自分の実力を間違えて「テヘペロ俺強すぎ!」的な事なら大歓迎だが、この場合確実に俺の実力以上の何かに巻き込まれているパターンだ。


 けれど、思い当たる節はある。それはハンナ達の異常な強さだ。


 戦闘中も思ってはいたが、あまりにもこのレベルのギルドには似つかわしくない。


 多分そこに今回の件の核がある。


 帰ったらとりあえず話してみるしかないな……バルトはため息をついた。


「あの……気を落とさないでください。私なんかで良かったら相談にのりますし……」


 バルトの様子をみた受付のお姉さんが心配そうに声をかけた。






 おいおいおい!まじで!?夢じゃないよな!?


 バルトのテンションが一気に上がる。


 ここにきてフラグ立っちゃうかぁ………


 パーティー内で恋愛する気は起きないが、受付のお姉さんとなると話は別だ。

 なぜなら受付のお姉さんはたまにしか会わない、しかも冒険者じゃないから変なしがらみもない!


 つまり、お付き合いしても全く支障がない!

 なんだ……俺は独り暮らし初日に童貞を捨ててしまうのか……


「じゃあお言葉に甘え……」


「バルトさんは部屋の片付けがあるから忙しいですし、相談には私が乗りますから大丈夫ですわ」


 ハンナがいつの間にかバルトの横に立っていた。


「お姉さん、あんまりうちのエースにちょっかい出さないでくれるかな?」


 クリスが笑顔で威嚇する。


「あなた露出が少ないようで、ずいぶん胸を強調した服を着るのね?隠れ痴女かしら?」


 リリィまで珍しくまともに喧嘩売ってるし……


 こいつら何でそんなに俺を気に入ってるんだよ…………




「あいつらに喧嘩売るとか……あの受付嬢やばくねぇか?」


「まじかよ……考えられねぇ」




 周りが驚きの声をあげている。


 でもそのおかげで、ハンナ達の強さはギルドで相当上の方だと分かった。


 やっぱり裏があるな………


「し、失礼しました!出過ぎた真似をするつもりはなかったのですが……………ただ、バルト君はあなた達の所有物ではないですから。彼女面は彼女になってからにしてくださいね?」


 受付嬢が笑顔でハンナ達に答える。


 え?このギルドは俺のファンクラブか何かなの?あまりの意味不明な状況にバルトは混乱してきた。


「あ?」「はい?」「ん?」


 ハンナ達三人がぶちギレた。


 …………………………


 めんどくさくなりそうなことは、サキュバス店への夢の障害になりかねないのでパスです……


「依頼の報酬もらって良いですか?これ?一人分?あ、これは家の地図?はいはい、失礼しまーす」

 反応するのも疲れたバルトはもう一人いた受付嬢に報酬をもらうとギルドを後にする。


 後ろから何か爆発する音がしたが聞かなかった事にした。




 新しい家はギルドから歩いて15分くらいのところにあった。

 程よく郊外で、周りに家はあるが適度に離れている。庭付きの結構大きめな二階建ての家だった。


「予想以上に良い環境だな。とりあえず部屋の前に荷物は届いているだろうから行ってみるか」


 家の中に入ると、新しくはないが綺麗に整理されている印象だった。


 俺の部屋は……どうやら二階の右端らしい。


 バルトは手際よく荷物を片付けると、リビングに向かい3人が帰ってくるのをテーブルで待つことにした。


 ハンナ達には本当は聞きたくないけど、聞きたいことが山程あるのだ。


「夢の支障にはなってくれるなよ……」


 バルトはサキュバス店の方角を見ながら呟いた。

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