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その4

“惑わせてしまったのお…”

「え?」聞こえてきた声に驚き、声を出すメイ。

“声を出すな。青龍じゃ”


“声が違うような…違いますよね? 私の知っている青龍さまは、もっと三木眞一郎みたいな…でも、あなたさまは速水奨みたいですけど?”

“…そういう、声オタのような検証はやめろ”


“声だけじゃありません。おひげの生え方とかも”

“ほお。そこまで認識していたか”

“そうか…謎はすべて解けました!…あなたは…古の青龍様なのでは?”

“…名探偵コナンが謎を解いた時みたいに言うな”


“解けていましたね、さては”

“問題はミコトじゃ”

“あ…”

 メイは改めてミコトのほうを見た。


 仰向けに寝ているミコトを、龍が両手で精査していく。

「少々ややこしいことになったようだ」

「どうしたんですか?」

 メイが龍をのぞき込むと、翼がメイに石をひとつ手渡した。

「答えはこの中に」

「は、はい」


 メイは受け取った石を、なぜだか自分の眉間に当てた。

 すると、映画を早回しで見ているかのように、ミコトに関するシーンが続々と目の前に流れ出してくる。

「これは…」

「“記録”だよ」

「早すぎます…」

「速度は自由に調整できる」


 そう言われたメイは頭の中で巻き戻しを命じた。止まれと命じると止まる。

 コツがすぐにつかめたので、最初から再見し、気になる個所をピックアップしてみた。


「子供の頃から“赤子流怒”の祭で舞うと四神さまの姿が見えていた。

 ただし、他の能力者の能力は認知できない。共鳴していなかった。

 龍おじさまがミコトさんを閉じていたから。


 真大祭の古の青龍さま復活に向け、ミコトさんを開く必要があった。

 …さらに別の理由についても話している人がいる。私の知らない人だわ。

 そして龍おじさまには、ミコトさんを開くことができなくなっていた。

 鍵穴に相当する部分が時間と共に変化していたから。

 つまり、他の人間が開く前提で閉じられていた。

 …そして、四神の存在、亡くなったお二人の思念、能力者たちの思念を読み取り会話ができるようになっていた。


 でもこれは私が開いたとは思えない。

 つまり…誰か別の人間が少しずつミコトさんを開いていた…。

 ただ、それは、真大祭に必要な力ではないほうに関してだった。


 青龍さまはミコトさんが開くヒントになるようにと本をくださって、読んで…蝶にからまれて、現在に至る。

 そして、開いたはずの部分は…閉じているわ。力の痕跡が消えている」

 

「大変よく出来ました」微笑む翼。「メイちゃんのほうは、華音ちゃんが許可をすれば開くような設定だったのかな? よく今まで精査の目をかいくぐれたものだ…」


「違うわ、翼くん。私はメイを開いていない」

「華音ちゃん!」

 部屋に入って来た華音のほうを振り向く翼。

「つまり…」龍が華音に微笑む。「ミコトの仕業ということかな?」

「おそらく」微笑み返す華音。


「どういうこと?」メイが華音に聞く。「ミコトさんが私の力を開いたというの? 自分の力を自分で開けないのに?」

「龍にいさまがミコトさんにかけた鍵の鍵穴から、力が漏れ出し、メイの鍵穴へ、その力が入って来た、くらいに考えるといいわ」

「それって、元々のミコトさんの力がすごく強いってことにならない?」

「なってもいいでしょう? ミコトさんは、西園寺、清流旅館、九条、久我のハイブリッドなのよ?」

「それもそうね…」大きくうなずくメイ。


「でも、おばあちゃま。それで、そのミコトさんの本来のすごく強い力はどこに行っちゃったの?」

「さあ」

「まあとにかく、ミコトに関してはこれで振り出しだ」龍が言う。

「かなり開いていたはずなのに…何でだよ、ミコト…」悔しそうな鈴露。


「鈴露が悔しがることなのかしら。まさか、ミコトさんを開いていたのって…」

 祭がメイに言い返そうとして前に出るが、それを手で制止する史緒。

「控えなさい。朱雀の若姫の言い分はごもっともです」


「おばあさま…」

「正直、私はこの一連の流れに同意しかねる部分が多々ございます。ミコトとメイさんは、周囲の都合によって動かされ、期待にそえぬ部分があると非難される…バッカじゃないの!!」

「お、おばあさま…」

「…などと、若い方ならおっしゃるのでしょう」

“あーあ。史緒ちゃん、マックスで怒ってるよ…”同世代の面々は一様に思った。


「一条が、一条のためになすことは、清流旅館の真大祭とは切り離してお考え下さいませ」

「おばあさま…」

「エネルギー的にショートカットしようとするのは、若い“命”さま特有のスピード感なのかもしれませんが、混ぜてよいもの、よくないものの区別は、ある意味、経験からくるものでございます」

 強い視線を鈴露に送る史緒に、龍が言う。

「混ぜてみないと、わからないものもあるよ、史緒ちゃん。その経験は、いずれ祭や清流旅館を守る糧になる」

「…そうですわね。出すぎた発言、お許しくださいませ」

 史緒は鈴露に深く頭を下げると、部屋を後にした。

 追いかけていく祭。


“ふむ。祝言までたどりつくのかのう”

“古い青龍さま!…何とかなさってください、神様なんですから”

“古いではない。いにしえの、じゃ”

“失礼しました。ですが…”

“聞いてやらぬこともない…条件があるがな”

 楽しそうに言う青龍の言葉を、メイは眉間にしわを寄せながら耳を傾けた。


  *  *  *



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