Vanillaー勃発
AM4:30。
「腹減ったー!!」
コヤジが叫ぶ。
3人共何も食べてない為に空腹感に苛まれていた。
「仕方ねぇ、あれ行ってみっかぁ」
ナツは2人を連れ近くのスーパーの裏に回る。
そこにはプラスチックケースが5段積んであった。
中身は出来立てのパン。
コヤジと南が早速一番上のパンを取り掛けた時、
「チョイ待ち!」とナツが言った。
「何だよ、早く喰おうぜ。」
「お前分かってねぇ。本っ当分かってねぇよ。おはよーパンはな〜」
そう言いながらナツはケースを上の段からどけ始めた。
すると一番下のケースにカレーパンや焼きそばパンなどの人気商品が詰め込まれていた。
「なっ!?」
「さすが、ルパ〜ン!」
声を揃えて2人が誉めた。
「じょあ、バクつきますかぁ」
「せーの、頂きますっ!!」
3人は夢中で食べ1ケースをキレイに平らげてしまった。
残り1時間。
「満腹になったところで、悪者をやっつけに行きましょうかね」
「まだまだやれるぜ」
「面倒くせぇ」
3人はラストスパートをかけることにした。
ナツは(正月から何やってんだよ俺達は)と思ったが口には出さなかった。
6:00になるので神社に戻るとチームの2人が血だらけで帰ってきた。
「どうしたんだ?お前らっ」ナツが訊くと
「2人組だと思ってケンカ売ったら他に5人も出てきてこのザマ」
「相手誰よ?」
「多分、PCPの奴らだと思う。アイツらがいつも溜まってるカラオケの近くだったし」
PCP―Panic Circus Presents
特に関係の無いチームだったが今回の事は黙認出来ない。
辺りを殺伐とした雰囲気が包み込む。
ソレを破るようにナツが大声で叫んだ。
「殺られたまんまじゃカッコつかねぇよなー?」
「おぉー!」
「PCP狩りと洒落込もうじゃねぇか。いいかぁ!見っけたら片っ端からゆわして行くぞっ」
ナツの一言で皆の士気が上昇する。
「じゃあ、何かあったら各自連絡すること。あと、どこでもグッズ忘れずに!」
「じゃ、俺はコヤジと先行くわ。お前ら来た時にはもぅ終わってるかもね。ホイジャッタラ」
南は愛車のTWにコヤジと跨がり笑いながら先に行ってしまった。
PCPの溜まり場まで歩けば30分。
出遅れた足の無いナツと他のメンバー達はどうするか考えている。
「よしっ、アレだ!」
ナツは近くに止まっている1BOXに近づいて行った。