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ーキミノイナイセカイヘー  作者: 片山水月
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Cageー決壊

街に出たナツはハチベーに聞いた特長を頼りに、それらしい奴を捕まえて訊いて回る。




13人目の奴が口を滑らした。



「あぁ、あいつね」


それを聞いた瞬間に、ナツの悔恨の氷細工が身体の何処かで音を立てて氷解する。


その男を喋れる程度に痛めつけ、コヤジを一番痛めつけた奴を呼び出させた。







数十分後




1台のキャデラックが公園の駐車場に停まった。


ドアが開くとチカーノ.ラップが洩れてきた。



ドアが閉まる音ー


4回



(最低4人か)



しかし、ナツには何も恐れるモノが無かった。




 

「で、何の用な訳よ!?」


見るからにアホそうで形だけ一人前の奴が調子に乗った口調で訊いた。



相手は5人


揃いも揃い、ヒゲを蓄え、ギラギラと安っぽく光るメッキのアクセで身を固めている。



外見だけで強さを誇示しようとしてるのが判る。



「ダセェ」



ナツがポツリと呟く。


「あ"っ!?」



編み込みの男が顔を歪ませる。



「汚ねぇ顔近付けんなよ。口が臭うぜ。お前らはレプリカが精々だっつってんだよっ!!」



「んごふっ」



言い終らぬうちに編み込み男の鼻から血のミストが散布し折れたのが判った。


(雑魚から片付けるか)


集団でないと何も出来ない奴ら。


その証拠に、殴られる痛みを初めて知り、牙を抜かれたように怯える。



「お前らが今日ココでボコボコにした奴さぁ、死んじゃったんだわ。なぁ、誰が1番殺った!?誰が殺人犯だ?」



それを聞いた4人は互いの顔を見合わせ、ある方向に目を向ける。



その方向の先には、偉そうなデブのハゲがいた。



互いの損得により、平気で仲間と呼ぶ奴を売り飛ばすクズ共。


“絆”なんてあるハズもない。



「おぃハゲ、最後にごたく聞いてやるぜ!?」



「俺が殺した証拠なんて何処にも無ぇよ」



ナツはコヤジの足に刺さっていたナイフをポケットから出し、他の4人に見せる。



「これは誰んだ!?」



皆一斉にハゲを見た。



「はい残念。まずは詫びろーっ!!」



まず何よりもコヤジに謝らせたかった。


なのに


「馬鹿かテメェは!?死ぬのは弱いからだろ!?」


心の芯から腐っている奴もいるらしい。



ナツはキリストを足蹴にしてしまうとしても


骨が舎利[死んでも]になろうとも


目の前のハゲを殺そうと、胸の中で十字を切った。


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