Cageー友として
ナツはこの夏二十歳を迎えた。
自然にコヤジとハチベーで行動する事が多くなった。
3人で西へ東へ色んなビーチを遊惰した。
最初の頃はハチベーが
「コヤジ君が女捜そうなんて珍しいっすね?何かあったんすか?」
と不思議に思っていたらしいが、今は何も思わなくなったらしい。
ハチベーにコヤジの心中が判るハズもなかった。
(どうすればナツはまた笑うだろう?)
コヤジはナツを見ていると自分の不甲斐なさに苛立ちを感じた。
今もハチベーと楽し気に会話しているが、それは愛想笑いだとハッキリ判る。
ハチベーは誤魔化せても、コヤジの目には透けて見えていた。
放っておけば血を求め彷徨う獣を
傍に居れば作り笑いが上手くなり、気疲れに殺される男を
どうすれば少しでも楽に出来るか解らないでいた。
(こんな時、サリーやアユムならどうする?)
ふと車窓に目をやると目の前には眩しいウルトラマリンが広がっていた。「さぁ、今日もいい女を追いかけに行ってみますかぁ?」
コヤジが無理にテンションをあげ、ワンカップを流し込む。
「ヨッシャー、今日の夜はピカチュウも居ねぇし、ハジケあげますかねっ」
ナツもコヤジの気持ちを察してか、持っていたビールで喉を鳴らす。
「隊長っ!さっそくナイスバデーなチャンネェを発見しましたっ!」
ハチベーが戦陣を切って突撃する。
ナツとコヤジは苦笑いしながらハチベーを追い掛ける為に陽炎の中へと走って飛び出した。