Vanillaーロクデナシ
土曜の21:00
某ゲームセンターの駐車場。
[NEW TYPE]
の集会が行われる。ナツ、サリー、コヤジ、南の四人を中心に出来たばかりのチームだ。
別にこれと言ってする事もないのだが、今日のナツの気合いの入りかたはいつもと違う。
「えっとね、今日はぁ、俺達の街を美化しようと思う。でもね、バランティ〜アとは違うから、お金も貰えちゃうんだわ」
「意味が見えねー」
他のメンバーから声が上がる。
「まぁまぁ、最後まで聞けっつぅーの。今日のイベントは題して
{刈り上げツアー}。
カ.ツ.ア.ゲじゃねーぞ〜。街のアチコチで見掛けるナンセンスな金や茶色の雑草を刈る訳ね」
と言ってナツはバリカンを取り出した。
「名付けて{かりあげ君1号}!!」
「まんまじゃん」
「ウルセェ、サリー!」
「まっ、取り敢えず誠意と真心売りに行きましょ♪皆さん用意はヨロシイかぁ!?」
「イエース!!!!!」
こうして街に氾濫する奇抜な雑草が刈り始められた。
「オーィ、そこ行くイカした髪のお兄さぁん。今暇!?」
「えっ!?いや、暇じゃないんで」
「あ"っ!?暇だろ?」
南が腕を掴んで裏路地に男を連れて行く。
「いらっしゃいませぇ!男気カットハウス、New Typeへようこそ〜」
ナツが手もみしながら話し掛ける。
「今日はどういったのご希望でしょー!?
A.坊主
B.ハゲ
C.爽やか野球少年風」
突然の事に男が周りを窺っていると
「お客様ぁ、それではお任せということでよろしいですね〜?じゃあ、Cなんかよろしいかと。コヤジさ〜ん、ご指名で〜す」
するとコヤジはバリカンのスイッチを入れ、男の金髪を適当に刈っていった。
五分で刈り終えるとナツが言う。
「お客様、どうです!?見事に高校球児に見えますよ〜。どうです!?甲子園で負けたみたいに記念にこの金の草持って帰っては??」
男が悔しそうな顔で立ち去ろうとしたその時。
横で見ていたサリーが
「おぃ、金払えよ」
と言った。
男が睨むように
「いくらっスか?」
と訊くと
「有り金だ」
と言って27,000円受け取った。
「有難うございましたぁ。またのご来店心よりお待ちしていまーす」
ナツはデパートのアナウンスを真似て言う。
夜12時を回り、人通りもまばらになってきたため、徘徊を止めていつものゲームセンターに集まる事にした。
「皆さ〜ん。本日はご苦労ちゃん。本日の売上はしめて、72,300円ナリ!!」
どこからともなく
「オォ〜」と拍手と歓声が上がった。
「と言う訳で、取り敢えず牛喰って、酒に呑まれにいきますかぁ!?」
そう言って牛丼屋に行き、居酒屋に雪崩れこんだ。
いつものことだか、何処へ行っても気が付けば客はナツ達だけになっている。
こうしてロクデナシの夜は更けていく。