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ーキミノイナイセカイヘー  作者: 片山水月
4/67

Vanillaーロクデナシ

土曜の21:00


某ゲームセンターの駐車場。


[NEW TYPE]

の集会が行われる。ナツ、サリー、コヤジ、南の四人を中心に出来たばかりのチームだ。


別にこれと言ってする事もないのだが、今日のナツの気合いの入りかたはいつもと違う。


「えっとね、今日はぁ、俺達の街を美化しようと思う。でもね、バランティ〜アとは違うから、お金も貰えちゃうんだわ」



「意味が見えねー」


他のメンバーから声が上がる。


「まぁまぁ、最後まで聞けっつぅーの。今日のイベントは題して


{刈り上げツアー}。


カ.ツ.ア.ゲじゃねーぞ〜。街のアチコチで見掛けるナンセンスな金や茶色の雑草を刈る訳ね」


と言ってナツはバリカンを取り出した。


「名付けて{かりあげ君1号}!!」


「まんまじゃん」


「ウルセェ、サリー!」


「まっ、取り敢えず誠意と真心売りに行きましょ♪皆さん用意はヨロシイかぁ!?」


「イエース!!!!!」


こうして街に氾濫する奇抜な雑草が刈り始められた。




「オーィ、そこ行くイカした髪のお兄さぁん。今暇!?」


「えっ!?いや、暇じゃないんで」


「あ"っ!?暇だろ?」


南が腕を掴んで裏路地に男を連れて行く。


「いらっしゃいませぇ!男気カットハウス、New Typeへようこそ〜」


ナツが手もみしながら話し掛ける。


「今日はどういったのご希望でしょー!?


A.坊主

B.ハゲ

C.爽やか野球少年風」


突然の事に男が周りを窺っていると


「お客様ぁ、それではお任せということでよろしいですね〜?じゃあ、Cなんかよろしいかと。コヤジさ〜ん、ご指名で〜す」



するとコヤジはバリカンのスイッチを入れ、男の金髪を適当に刈っていった。


五分で刈り終えるとナツが言う。


「お客様、どうです!?見事に高校球児に見えますよ〜。どうです!?甲子園で負けたみたいに記念にこの金の草持って帰っては??」


男が悔しそうな顔で立ち去ろうとしたその時。


横で見ていたサリーが


「おぃ、金払えよ」

と言った。


男が睨むように

「いくらっスか?」

と訊くと


「有り金だ」

と言って27,000円受け取った。


「有難うございましたぁ。またのご来店心よりお待ちしていまーす」


ナツはデパートのアナウンスを真似て言う。


夜12時を回り、人通りもまばらになってきたため、徘徊を止めていつものゲームセンターに集まる事にした。


「皆さ〜ん。本日はご苦労ちゃん。本日の売上はしめて、72,300円ナリ!!」


どこからともなく

「オォ〜」と拍手と歓声が上がった。


「と言う訳で、取り敢えず牛喰って、酒に呑まれにいきますかぁ!?」


そう言って牛丼屋に行き、居酒屋に雪崩れこんだ。


いつものことだか、何処へ行っても気が付けば客はナツ達だけになっている。


こうしてロクデナシの夜は更けていく。


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