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ーキミノイナイセカイヘー  作者: 片山水月
31/67

Destinyー帰らすな!

待ち合わせ場所に着くと、すでに女の子が4人来ていた。


そのうちの一人がアユムの方へ近寄る。



「ばっちりキモ〜い」


「だろ!?」


アユムがナツの方を向いた。



「ナツ、この娘覚えてねぇ?」



「さぁ、分かんねぇ」


「ハチップで初めてナンパした時の娘」


「あ"っ!?あーあぁ〜。つーか、ずっと連絡とってたの?すげぇ」


「ナツ君だっけ!?久し振りぃ。今日は楽しませてよー。私もあの娘らが帰んないように頑張るから」



そうして8人はカラオケへと移動した。




部屋に入っても女の子達は全く話そうとしなかった。


ともすれば、今すぐにでも帰りそうな雰囲気さえ感じられる。



「マジやばくない!?帰ろうよ」


ナツ達に聞こえるように話している。


(まずい)と感じて、アユムの連れて来た娘が

「せっかくだしぃ、自己紹介しよー!ねっ?ねっ?私の名前は裕子です、ハイッ、次」

と力技で無理矢理マイクを回す。

「マキ。ハイッ」


「サチです」


「ミカです。ヨロシク」


皆つまらなさそうな中、ミカという娘だけは普通そうでナツは(いい子っぽいな)と思った。



「じゃ、次そっちね」


裕子がアユムにマイクを回す。 

「アユムです。よくオタクっぽいって言われるけど、違うから。“ぽい”じゃなくて筋金入りなんでぇ。合コンは割と手馴れてるっていうの!?まぁ、俺に任せてよ。ヨロシク」


見事に勘違いしてるオタクを演じている。


「えっと、あのぉ、ゴクン(唾を呑み込む音)。自分は、“まあさ”って言う者です。こういうのはじ、はじ、初めてなんで、脇の汗がすごいっス今。いつもは的を狙ってるんですが、今日は誰かのハートを狙い撃とうと思います。って言えって言われました。あ"っ!聞かなかったことに。今日はとにかく頑張るんでヨロシクお願いしまぁす!」

と言って、右手を差し出した。するとマキが

「いや、無理だし」と冷めて言った。


「俺、ハチベーって呼ばれてる。皆からはよく『ポリシーあるよね』とか『時代を先取りしすぎ』とか言われんだけど、俺はやっぱ俺らしくありたいじゃん!?だから別に意識してる訳じゃなくて、ん〜、一言で言えば、流されないって言うの?そんな感じ。おぃ、おぃ、そんな見つめんなよ!熱いぜぇ。まっ、そんなお前にゾッコンLoveで行くんでシクヨロ」


ハチベーはいつも通りだ。


「僕は、ナツキって言うんだ。皆からは変って言われるけど、僕、全っ然気にしな〜い。ねぇ、変かな?僕、変?」


女の子達は冷笑するしかない。


するとナツはバッグから何かを取り出した。


「ねぇ、取り敢えずマンゴー食べる?」


ナツの飛び道具だった。

女の子達はよく分からず笑ってしまった。


ナツ達は大笑いしたいのを必死で我慢する。




「じゃ、何か飲み物頼もうよ」

裕子が言うと


「私、カシス」


「カルア」


「ミカンは、カシオレー」


とそれぞれ答えた。


アユムが

「何でミカンなの?」

と訊く。


「ミカにンが付いただけ。呼びやすいでしょ!?」


「ナ〜ル」


そう言って自分も注文を始めた。


「俺、酒強いよ〜。いや、マジで。焼酎ロック行っとくかぁ。マーサは?」


「自分は水を貰います。サバイバルでは水が一番必要なんで」


「ここ、サバイバルじゃないよ〜」


そう言ってナツは自分のを頼む。


「僕はぁ、ウーロンハイの焼酎抜きで」


「寒っ!!アンタ、キモイよ」

マキが蔑んで見る。


ハチベーは

「男は黙ってコーラだろ!これでビシキマッ」


「ホントに黙れよっ」

女の子達はよく分からず笑ってしまった。


ナツ達は大笑いしたいのを必死で我慢する。




「じゃ、何か飲み物頼もうよ」

裕子が言うと


「私、カシス」


「カルア」


「ミカンは、カシオレー」


とそれぞれ答えた。


アユムが

「何でミカンなの?」

と訊く。


「ミカにンが付いただけ。呼びやすいでしょ!?」


「ナ〜ル」


そう言って自分も注文を始めた。


「俺、酒強いよ〜。いや、マジで。焼酎ロック行っとくかぁ。マーサは?」


「自分は水を貰います。サバイバルでは水が一番必要なんで」


「ここ、サバイバルじゃないよ〜」


そう言ってナツは自分のを頼む。


「僕はぁ、ウーロンハイの焼酎抜きで」


「寒っ!!アンタ、キモイよ」

マキが蔑んで見る。


ハチベーは

「男は黙ってコーラだろ!これでビシキマッ」


「ホントに黙れよっ」

注文を終えて席に着いた裕子にマキとサチが

「マジ勘弁なんだけど。帰ろうよ。それか別ネタないの?」

と、ウンザリしている。


「今日はアイツらがいないものとして、飲んで歌って騒ごうよ。ねっねっ?」


裕子が何とか宥めた。




TV画面にアニメソングのタイトルが映る。


アユムが

「オレ、オレ」とマイクを持つと、サチに

「キモイ」と切られた。



次にハチベーが入れたミスチルが映った。


マキが

「誰?」と訊くと

「あっ!俺だ。オマエらしびれんなよぉ〜」と言って歌おうとした瞬間、

「止めてよ、イメージ崩れる」

と消されてしまった。




まずいムードだ―



その時、飲み物が届き、ひとまず嫌な空気は軽くなった。



一応皆で乾杯を済ますと、マキがアユムに言った。



「アンタ、酒強いんでしょ!?早く飲んでよ」


アユムは躊躇うフリして、一口飲むとグラスに

「うぇっ」と戻した。


「こんなの飲めない。うぅっ」

「キモイし嘘つきだし、ウザイんだけど。何が酒強いよ。オレンジジュースでも飲んどけば」

マキがキレて言う。


「はい」


アユムはオレンジジュースを注文しに立った。

その横でマーサがサチに熱く語っていた。


「もし、戦争が起きたら生きてく自信ありますか?」


「どうでもいいし」


「自分と山でシミュレーションしませんか?」


「嫌よ」


「自分のマシンガン見て欲しいんですが」


「ウザイよっ!!」


マーサは水を引っ掛けられてしまった。


(ヤバい)と思ったナツは、 

「マンゴーいる?」

とサチに訊いてみた。


「もぅ帰っていい?コイツらむかつくんだけど」

裕子にキレている。


そろそろ潮時らしい―


アユム達は目で合図し、トイレに集合した。


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