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ーキミノイナイセカイヘー  作者: 片山水月
29/67

Destinyー笑えれば

サクラの一周忌が済んで少し落ち着いた頃。


それは予告もなく突然訪れる。




ナツは部屋でナナ吉と遊んでいた。


ナナ吉は高い所から飛び降りると

「ムギュ」っと潰れたような声を出す。



ナツはそれが可愛くて仕方ない。


この1年、仲間とナナ吉にどれだけ救われたか―



しかし、まだ誰かを好きになることは考えられない。 



(とにかく今は笑えればいいさ)



そう思いながらナナ吉にマタタビを振って見せる。



甘え声ですり寄るナナ吉。 


「お前もジャンキーか?」



笑いながら南とサクラを揶揄(やゆ:からかうこと)出来るようになった。



その時、アユムから電話が鳴った。



「今日さぁコンパあんだけど、どぉ?プリクラ見せてもらったけどアベレージ高いぜ」


自信アリ気な様子が窺える。


「ワリィ!今日パス。ナナ吉と遊んでやるから、別の奴誘ってよ」



「だってサリー女ネタ来ねぇじゃん、コヤジ誘ったら清が呼んでるってコンサート行ったし」


「ハチベーは?」

「あいつはまだ訊いてねぇけど、来んなって言っても来るだろ。女好きだしさ」


「じゃあ、いいじゃん」


「バカ言うなよ。2対2でコンパって言わねぇだろ!?4対4なの。こっちは、俺とハチベーとマーサ覚えてるか?」


「あぁ、タイマン張った奴ね。割と男前の」


「そぉそぉ。んで、今3人なのよ。だからナツに電話したんじゃん」


「正味な話していい?コンパ飽きた」


「ばっか、俺を甘く見んなよ!今日はただのコンパじゃねぇぞ。仮装コンパってどうよ?」



「何それ?もっと詳しく教えろよっ」



「いいねぇ、食い付いてきたねぇ。よく聞けよ」


アユムはナツに計画を説明する。



「行くっ!それ絶っ対ぇ行く。つーか行くっかねぇだろ」



「じゃ決まりね。19時に駅な。バッチリ決めて来いよっ!バーィ」


ナツの心が久々に躍りだした。

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