表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ーキミノイナイセカイヘー  作者: 片山水月
27/67

Nightmareーモノクロキティ

小雨の降るなか家路に着くと玄関前で1匹の子猫が震えていた。


猫なのに濡れネズミみたいなキティ[子猫]。


モノクロな模様をまとい、可愛げのない顔をしている。


「お前、1人ぼっちなのか?」


そう言って手を伸ばすと尻尾を立て牙を剥いた。 


「心配すんなって。取って喰う訳じゃねぇよ。不味そうだしな」


ナツは笑いながら部屋に連れて上がった。


ホットミルクを少し冷まし、目の前に置いてやると


「ミャウ ミャウ」と鳴きながら舐め始めた。



「お前変わった飲み方すんなぁ。やっぱ猫舌なの?」


ナツは自然に笑えた。



「お前名前は?」


「ミミ?」

「ララ?」


「う"ーん"、ナナ!?」


すると

「ミャー」と返事した。


「そっかぁ、ナナかぁ」


そう言いながら毛繕いしていたナナを抱き上げた。


「お前オスじゃん!じゃあ、ナナ吉な!今日からナナ吉だ。ヨロシクな相棒」


「ミャウン?」


ナツの心の闇が少しだけ晴れた感じがした。

窓の外は雨。




窓をつたう滴。




窓に写るナツ。




(なんか俺、泣いてるみたいだな)




ベッドに力無く倒れ込みうつ伏せて目を閉じる。




(逢いたいな)




窓の外の雨




ナツの中の雨




トレモロ[リズム]はアダージョ[ゆっくり]からアンダンテ[アダージョより少し速い]へと次第に雨足を強めていく。




18歳が目前の初夏の夜だった。




 

第2章完結

次回から新章のスタートです。


お楽しみに


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ