Nightmareーステューピッド
3ヶ月後の四月―
ナツはサクラと
「バニラ」のカウンターに座っていた。
1stライブの夜、特別に上手い訳でもないが、強い力を持つ歌声に惹かれたサクラ。
サクラからのアピールでナツは真剣に付き合う事になったのだ。
2人は音楽という共通の話題も手伝い、急速に距離を縮めていった。
しかし1つだけ、サクラの気になる部分があった。
それは、サクラが南のドラッグフレンドという事。
付き合い始めの頃、よくサクラはナツに隠れてシンナーやMM、その他諸々効かしまくっていた。
この辺は南と同じで雑食だった。
女には薬に手を出して欲しくないナツー
必死の説得と愛情で、ここ最近は落ち着いてきた。
それ以外のサクラは申し分なかった。
容姿端麗、可愛げある愛嬌、そして何よりも男を立てる事を知っていた。
B型で素っ気なく、気まぐれで、少し気の強い所ー
それさえもナツにとっては好きになるマテリアル(要素)でしかなかった。
今日2人がココに居るのは、この幸せのキューピッドに御礼という名目で、見せつけようというものだ。
「それにしても遅ぇなぁ。約束の時間30分も過ぎてんじゃん」
南がこんなに遅れる事は珍しい。
先刻から電話してもコール音ばかりが規則的に鼓膜を叩く。
堪え性の無いナツ
「トムさん、チョイ南迎えに行って来るんで、ピザそのまま温めずに待ってて下さい」
「あいよ。原チャリ2けって捕まんなよ」
ナツはサクラと南の家に向かった。