Nightmareー始動
ナツとサリーと南は悩んでいた。
Vo.ナツ
Gr.サリー
Ba.南
肝心のDrがいない。
どうせやるなら打ち込み(機械)じゃなく生音がいい。
それが皆の意見だった。
しかし、そんな重い空気を一瞬で軽くする吉報をハチベーが持っていた。
「そう言えば、確かアユム君がドラム叩けたハズですよ」
「アユムって誰よ?」
「俺をスケボーで殴った人っすよ」
「あ"ぁっ!?あ〜ぁ〜!!いいねアイツ。ヨシッ!すぐ呼べハチベー。呼ぶっきゃねぇ!!絶対呼べっ」
ナツは水を得た魚の如く急に明るくなった。
一時間位してトライアンフの音が聞こえてきた。
「相変わらず爆音ですこと。ハチベーお迎えに行ってあげて」
ハチベーがアユムを連れてきた。
「悪いね呼び出して。実はお願いがあってさぁ」
「いーよ。それよっか、回りくどいの嫌だからストレートに頼むよ」
「じゃあ、俺のバンドのドラムに決定していい?」
「はぁ!?嫌だよ。だって俺ギターだもんよ。ギターならいいよ」
「サリーがうちのギターなのよ。ハチベーに聞いたけどドラム叩けんだろ!?」
「素人に毛が生えた程度だよ。その、サリーだっけ!?俺よかギター上手ぇの?俺より下手くそなら俺嫌だぜ」
「サリー、チョット挑発されてますけど、何か軽〜く弾いて差し上げて」
サリーは『禁じられた遊び』を爪弾きだした。
アユムを黙らせるには充分だった。サリーの弾く姿、醸し出すムード、全てにおいてアユムは敵わないと思った。
「分かった!分かりましたぁ。こんなスゲェ格好いいギタリストには勝てないわ。ドラムやらせて頂きますますよ。でもあんま期待すんなよっ」
この日から本格的にナツの音楽人生の歯車が噛み始めた。
「そういえば」
ハチベーがナツに尋ねた。
「コヤジ君は何で何もやんないんですか?」
「コヤジの着メロ知ってんだろ?根っこから違うんだよ」
コヤジはいつもの席でワンカップを開けている。
年が明けてすぐに
「Shelly」のLiveが行われる事となった―