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ーキミノイナイセカイヘー  作者: 片山水月
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〜Nightmare〜6月の落花

8月24日―


ナツはトムに呼ばれバニラの扉を開けた。


そこには他の4人が全員揃っている。


「おハローさん」


ナツが来たのを認めるとサリーは、おもむろにギターケースから黒のギブソンを取り出しアンプに繋ぐ。


サリーはディストーションで心地よく身体に響くくらいに音を歪ませ、いきなり激しいバッキングで演奏し始めた。


すると他の3人がそれに合わせて歌い出した。


「Happy birthday to you〜!Happy birthday to you〜!Happy birthday dearナツキ〜 Happy birthday seventeen〜!」


歌い終わるとトムが照明を落とし奥からケーキを持って来た。


炎が揺らめく17本のロウソクがあまりにも幻想的で綺麗すぎて、消してしまうには躊躇われた―


この頃微かに感傷的になったかもしれない―


その証拠に、ナツの目に映し出される丸い視界の中の全てが滲んで霞む。


「おぃ、主役ぅ。早く火を消せよー!」


「ウッセー!もうチョット引っ張らせろよ。」



すぐに消す訳にはいかなかった。


涙が柄じゃない事ぐらい自分が一番よく分かっているから。


ナツは1本1本ユックリ消して時間を稼いだ。


全て消し終えると照明が灯され、拍手がナツをもう一度幸福へと誘った。



「アレレ〜!?ナツ君もしかしてぇ.....泣いちゃったんじゃね??」


南がニヤニヤしながら見ている。


「バ〜カ!例えお前が死んでも泣かねぇよ。でも、まぁ取り敢えずサンキューな」


ハチベーがナツに中ジョッキを手渡し皆で乾杯する。


「チアーッ!!!!!」


向こうでギターを弾いていたサリーをナツが見ると軽くジョッキを上げて笑った。


ナツはサリーを見て(やけにカッコよかったな―)と思った。


(こんな風に音楽でも人に何かを伝えられるのか)


そう思うと同時に自分が音楽をやりたい衝動にかられた。




「なぁサリー。バンド組まないか?」




この一言で少年達の新しい世界が広がった。


17歳の誕生日の日にナツとサリー、南の3人で新しいバンドが産声を上げた。



バンド名―

「Shelly」シェリー


サリーの好きなカクテルのスペルを変えて付けられた。

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