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【文化祭編最終】僕は本格的に転校を考える

今回で文化祭編最終回です

現在通っている学校に嫌気が差した光晃は転校を決意します。

では、どうぞ

「これ以上の長居は無用だし帰ろうか?」


 僕は1分1秒でも早くここから離れたい一心で葵衣と優奈に帰宅を提案した


「「うん……」」


 何か言いたげな葵衣と優奈。だけど、僕にとってそんな事よりも帰宅する事が優先するべき事だから葵衣と優奈の意見は後で聞く


「じゃあ、さっさとここから離れようか」

「「うん……」」


 文化祭に行く前と違って葵衣と優奈の元気がないけど、どうしたのかな?


「光晃!!」


 僕達が歩き出そうとしたところへうっとおしい奴の声がした。このうっとおしい声は……


「秀義……」


 振り返ると秀義が息を切らせていた。走ってきたみたいだけど、どうしたんだろう?トイレかな?


「探したぞ!光晃!!」


 探した?僕は変装していたはずだから知られるはずないんだけど?


「僕は変装してるからバレるはずないと思うんだけど?もしかして葵衣か優奈が秀義にしゃべったの?」


 変装して学校に来ている事を知っているのは葵衣と優奈しかいない。だから、秀義に僕が学校にいる事を教えるのは葵衣か優奈しかいないんだけど……


「わ、私は言ってないよ!!」

「わ、私も!!」


 葵衣も優奈も言ってないと言っている。じゃあ、誰が?葵衣でも優奈でもない僕が変装して学校に来ている事を知っている人物は誰だ?


「そう。じゃあ、誰が秀義に僕が変装して学校に来ている事を?」


 葵衣と優奈しか僕が変装している事を知らないはず。だけど、秀義が変装した僕を見つけ、葵衣と優奈はそれを言ってない。僕の行動が原因とも考えられる


「私だよ」


 秀義の後ろから真理姉さんがやって来た。そうか、真理姉さんが秀義に言ったのか……余計な事をしてくれた


「真理姉さんか……でもよくわかったね。パッと見、今の僕は髪はボサボサで服装は黒をベースにしているからあんまり目立たなかったと思うけど?どこで僕を見つけ、どこで僕に気が付いたの?」


 夜なら警察から職質を受ける格好だけど、今はまだ明るい。探せば僕と似たような恰好をした奴なんて腐る程いる。それなのに僕を見つけ、僕に気が付くとは……


「葵衣さんがウチのクラスに来た時に光晃が一緒じゃないってところに違和感を感じ、ふとグラウンドの方を見た時に小屋に向かって行く人影を見て光晃だって気が付いた」


 真理姉さんの言っている事は第三者からしてみれば単なる暴論に過ぎない。当事者である僕だって暴論だと思うし


「真理姉さんにしては随分と暴論だね。ここに来た客がたまたまグラウンドの脇にある小屋に向かったとは考えないんだね」


 まぁ、あの小屋が誰でも入れるだなんて初見じゃ見抜けないだろうし、そもそも、入ろうとも思わないだろうし、どんな格好をしていようとも小屋に向かって行く人影=僕だっていう理論は間違ってないと思うけど


「初見であの小屋がまさか誰でも入れるだなんて思わないでしょ。そんな事を知っているのは北南高校でも私か秀義君か光晃、残るは理沙さんくらいだけど、私達は文化祭に参加していた。残るは光晃だけだよ」


 北南高校で僕の周囲にいる人間はサボりスポットの事を知っている。迂闊だったなぁ……こんな事ならサボりスポットじゃなくて適当に出店を周っていればよかった


「迂闊だったなぁ……こんな事なら出店を適当に周っておけばよかったかなぁ……まぁ、北南高校の文化祭に来るのは今日で最後だしいいか」


 どうせ僕は転校するし


「最後ってどういう事?」


 真理姉さん心底意外そうな顔をしている。意外そうな顔をしているのは真理姉さん以外に秀義と葵衣だ。優奈には家にいる時に少し話したから意外そうな顔はしてなかった


「そうだ!最後ってどういう事だよ!?光晃!!」


 真理姉さんはともかく、秀義はガタガタうるさいなぁ……


「聞いての通りだけど、言わないと納得しないだろうから言うけど、授業の改善は教師自身が自覚しなきゃいけない事だからいいとして、普段の授業をサボっていた僕にも非はあるけど、忙しさを理由に補習授業をせずに嫌がる生徒に半ば強制的に女装させる。そんな学校にいたいと思う?」


 仕事をしている上で忙しいというのは仕方ない事ではある。まぁ、納期だったりとかいろいろとあるから。だけど、どんなに忙しくてもそれを理由に指導しない理由にはならない。それがどんな仕事でも


「…………」


 真理姉さんは思うところがあったのか黙って俯いてしまった


「そんなに女装が嫌なら断わればいいだろ!!」


 熱血バカで学習能力のない秀義らしい意見だけど、進級や単位を盾にされたら断れないって事くらい理解できないのかな?それに、秀義もノリノリだっただろ?


「フッ、僕の女装を薦め、北南高校の教師を堕落させようとした奴がよく言うよ。それに、僕が転校しようと君達には関係ないだろ?」


 僕だけに限った事じゃないけど、授業の出席日数が足りない事を理由に補習授業じゃなく、別の事をさせられるという事は生徒にとっては楽かもしれないけど、言い換えると生徒は教師の奴隷に成り下るという事になりかねない


「そ、それは……」


 言いよどむ秀義。そもそも、僕の進路の事で親に言われるなら納得する。だけど、真理姉さんや秀義に通う学校や進路の事をとやかく言われる筋合いはない


「それに、真理姉さんと一緒に生活し、真理姉さんの勤める学校にいるのはお情けでそうしているだけ。だけど、その必要もなくなった。僕は北南高校を辞め、転校するから」


 真理姉さんと秀義にこれ以上話すことはない。それに、話すだけ時間の無駄だ


「「…………」」


 転校する事を伝えたら真理姉さんも秀義も黙り込んでしまった。


「2人とも僕に言う事がないなら帰るね」


 北南高校か……思い返すとどうしようもない高校だったなぁ……


「光晃、もう私達にチャンスはないの?」


 ふと真理姉さんがチャンスがないかを聞いてきた。授業を改善する機会ならたくさんあっただろうし、補習授業なら夏休みにでもすればよかった。だけど、それをしなかったのは北南高校の教師だ。サボった僕に非がないわけじゃないけど


「ないよ。君達教師にもクラスの連中にもね。教師に関して言えば授業を改善する機会はたくさんあっただろうし、補習授業をするなら夏休みを利用すればよかった。だけど、そのどちらもしなかったのは教師達でしょ?それに、教師はどうして自分の授業でサボりや居眠りをする生徒がいるのかを考えた事もなさそうだ」


 自分の非を棚に上げるような真似はしたくない。だけど、教師は教えるのが仕事だ。それをしないというのは職務怠慢じゃないのかな?


「で、でも、もう少し待ってくれても……」

「でもじゃないよ。それに、もう決めた事だから」


 真理姉さんは僕を北南高校になんとか残そうとしているみたいだけど、僕は北南高校に愛想が尽きた。


「…………」


 真理姉さんは俯いてしまった。だけど、真理姉さん、よく考えてほしい。僕は北南高校を辞めて転校するとは言ったけど、僕は家を出るとは一言も言っていない


「真理姉さん、僕は北南高校を辞めて転校するとは言ったけど、家を出るとは一言も言ってないよ」

「えっ?」

「真理姉さん……人の話は最後まで聞こうよ。僕は北南高校を辞めて転校するとは言ったけど、家を出るとは一言も言ってない。あくまで学校を変えるだけなんだけど」

「家を出るんじゃないの?」

「当たり前だよ。今は葵衣の友達から頼まれてマンションにモニターとして住んでるけど、それも1か月の間だけだし」


 文化祭が終われば僕に真理姉さん達を排除する理由はない。


「じゃ、じゃあ……」

「うん、1か月したら家に帰るよ」

「わ、わかった」


 真理姉さんは納得したようだけど、秀義はどうかな?


「秀義、君は僕の転校に納得してくれたかな?」


 コイツがBL趣味じゃない限りは僕の後を無理に付いて来るだなんて言い出さないだろう


「あ、ああ、光晃が北南高校に愛想を尽かしたって事はわかった。そんなに嫌なら転校でも何でもすればいいと思う」


 学習能力のないバカでも本気で嫌だと言えば納得するのか……ま、どんなバカでも本気で嫌がれば理解できるのか


「そう。じゃあ、そうさせてもらおうかな。僕はこれから新しく編入する高校を探すから帰るね」


 これ以上北南高校に留まる理由はない。僕は北南高校の生徒じゃなくなるし


「あ、ああ……」


 今回、秀義は僕を強く止める事はしない。まぁ、文化祭の準備段階で秀義も真理姉さんも僕の女装を止める事をしないどころか僕の女装を推奨する始末だったからこの2人に僕を止める資格はないけどね


「さぁ、葵衣、優奈。帰るよ」

「「うん……」」


 僕は葵衣と優奈を引き連れて家へ向かった


「ねぇ、光晃」

「何?葵衣」

「本当に北南高校を辞めちゃうの?」


 家へ向かう道中、葵衣に本当に学校を辞めるのかを聞いてきた。僕が今まで冗談を言ったことがあると思う?


「本当に辞めるよ。葵衣が実習生の頃からそうだけど、北南高校の教師による職務怠慢にはほとほと呆れていたんだ。居たくもない場所にいたって仕方ないでしょ?それとも葵衣は北南高校に教師として赴任する予定でもあるの?」


 生徒の立場としては北南高校に赴任するのはおススメしない。北南高校にいたら人として腐ってしまう


「そ、それは……」


 僕から目を反らす葵衣。はぁ、赴任する予定があるのか……だったらなおの事僕は北南高校を辞め、別の学校に編入する事を選ぶ


「葵衣が北南高校に赴任するのなら僕は尚更あの学校を辞めて別の学校に転入することを選ぶよ」

「ど、どうして?私と一緒に登校したくないの?」


 葵衣、一緒に登校したか登校したくないかの問題じゃないんだよ。僕達の関係が問題なんだよ……


「葵衣と一緒に登校したいか登校したくないかの問題じゃなくて僕達の関係が問題なんだよ」


 生徒と教育実習生が付き合い、実習が終わった後で連絡を取りあう事も場合によってはマズイ事だ。


「関係?光晃、水沢さんとは恋人同士でしょ?それの何が問題なの?」


 優奈は教職の事を全く知らないから疑問に思うのは当たり前だ。だけど、これは教職に関わらず会社の方針では同僚ともアウトだったりする。そう、同じ職場に恋人がいる事がね


「僕と葵衣は優奈の言う通り恋人同士だよ。でも、葵衣が北南高校の新任教師として赴任して来た時に恋人である僕がいるとどうしても避けて通れないのが他の生徒との扱いの差だよ」


 恋人じゃなくても実習生としてじゃなく、1人の生徒を異性として意識しだしただけでもマズイってのに


「扱いの差?例え恋人同士でも水沢さんは大人だから教師として光晃に接するんじゃないの?それこそ公私混同はしないと思うけど?」


 葵衣が公私混同を絶対にするとは言えない。だけど、しないとも言い切れない。


「そうだね。葵衣も大人だから公私の区別は付くだろうけど、人間、どうしても公私混同してしまう事がある。これは教職に限った事じゃないけど。だから、会社によっては社内恋愛を禁止しているところだってあるし、それこそ、恋人同士になっただけで左遷させられたりっていうのもある。左遷させられるだけならまだしも、最悪の場合は解雇されることだってある」


 一通り説明したけど、優奈と葵衣は僕が何を言いたいか理解したのかな?


「つまり、光晃は水沢さんが高校に赴任して来たらどちらかがボロを出す。そう言いたいの?」

「うん。絶対にするとは言い切れないけどね」


 僕だって人間だからミスをしないとは言い切れない。だけど、世の中には取り返しのつかない事だってある。


「じゃ、じゃあ、私が光晃と一緒に登校するっていう夢は……」


 そんな夢があったんだね。葵衣


「途中まで一緒に登校する事ならできるけど?それでもいいかな?」

「うん!」


 単純だなぁと思いながらも僕は葵衣と優奈と一緒に家に帰る。面倒な文化祭は終わったけど、僕達にはまだバカな母親達の夢をどうにかする作業が残っている。こっちは骨が折れる話だなぁ……

今回で文化祭編最終回でした

現在通っている学校に嫌気が差した光晃は転校を決意しました。転校するのはいいんですけど、その前に母親達の問題をどうしようって話です。平成が終わる前にエッセイでも書こうかと思う今日この頃

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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