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【文化祭準備編16】僕は母親を邪魔に思う

今回は光晃が母親を邪魔に思う話です

この先どうなる光晃?

では、どうぞ

 父との電話が終わって部屋に戻った僕を待っていたのは安息ではなく、ある意味での修羅場だった


「光晃は私のもの!!」

「違うよ!!光晃は私の!!」


 どうして葵衣と優奈が言い争いをしているんだろう?って言うか、この2人は大人しく待つということができないのかな?


「私は光晃の彼女だから光晃は私のものなの!!」

「違うよ!!光晃は私の許嫁なんだから光晃は私の!!」


 葵衣も優奈も自分のものだと言って聞かない。だけど、そんな話を本人抜きでしないでほしい。何より、どうしてそうなった?


「はぁ……父親のしょうもない嘘の次は彼女と許嫁の言い争いか……」


 父親のしょうもない嘘の次は年上女性2人による僕の争奪戦。今の僕には言い争いになった原因を聞くのもめんどくさい


「葵衣も優奈も僕の存在に気づいてないみたいだし、しばらくその辺をブラブラしよう」


 僕は部屋を出て襖をそっと閉めた。言い争いの原因?そんなの聞きたくない。もう知るか。どいつもこいつも勝手にやってろ


「さて、どこへ行こうかな?」


 日は沈んでいて外は真っ暗だろうけど、少なくとも優奈の部屋にいて言い争いの矛先が僕に向くよりはマシだ


「あら、光晃君、今からお出かけ?」

「亜優美さん……」


 目の前には僕と優奈を許嫁にした張本人の片割れである亜優美さんがいた。父との電話、彼女と許嫁が言い争っている場面に遭遇と僕にとっては疲れる事ばかりしか起こっていない。亜優美さんと話すと僕の疲労が溜まりそうだ。早々に話を切り上げよう


「光晃君、お出かけかな?」


 先程と同じ質問をもう1度されてしまった。出かける用事なんてないけど、今は亜優美さんと関わりたくないから出かける事にしよう


「はい。ちょっとそこまで」


 出かける用事がなくても『ちょっとそこまで』って言えば詳しい行き先を聞かれないのは僕の経験が物語っている


「そう。特に出かける用事はないのね」

「え……?」


 どうしてバレたんだろう?今までバレた事ないのに


「光晃君、人間は特に用事がない時、外へ出る常套句として『ちょっとそこまで』って使うのよ?まぁ、私の経験上だけどね」


 そういうことか。亜優美さんも同じような事を言ったか、同じような事を言われ続けたかして慣れてしまったんだ


「そうですか。ま、僕の外出は嘘ですけど、亜優美さんは僕に何か用ですか?」


 ハッキリ言って今の僕は虫の居所が悪い。不機嫌な原因の一端は亜優美さんにある


「い、いえ、べ、別に用があるって事じゃないけど、こんな時間にどこに行くのかな?って思って」

「別にどこでもいいでしょ?強いて言うなら僕のストレスの溜まらない場所ですよ」

「ストレス?家は居心地が悪いかしら?」


 亜優美さんの態度にイライラする。居心地が悪いかだって?あなたと僕の母親が勝手にした約束のせいで僕は大変、不機嫌ですけど?


「そうですね。亜優美さんと僕の母がした約束のせいで居心地は最悪ですよ」

「え……?どうして光晃君がそれを?」

「意外ですか?僕が優奈と許嫁である事を知ってる事が、遠い昔に亜優美さんと僕の母が軽いノリで僕達を許嫁にした事を知ってる事がそんなに意外ですか?」

「え、ええ、光晃君には結婚できる年齢まで黙っていようって約束だったから」


 母親同士はそれでいいかもしれないけど、許嫁にされた当事者達には大迷惑だ


「そうですか。ところで、母もそうですけど、亜優美さんは勝手に許嫁にされた当事者達の気持ちって考えた事あります?」


 この際だ。母もだけど、亜優美さんにも自分達がどれだけ身勝手な約束をしたか自覚してもらおう


「それは……」


 廊下で話していても埒が明きそうにない。別室で話をする事にしよう


「廊下でする話じゃないんで別室に移動しませんか?」

「そ、そうね。今の時間は客室がいっぱいだし、私達の部屋には丈一郎さんがいるから……リネン室へ行きましょう」

「わかりました」


 僕と亜優美さんはリネン室へと移動した。


「で、さっきの話の続きをしましょうか」


 リネン室に移動した僕と亜優美さんは廊下でしていた話の続きをする。ここなら誰も来ないだろうし、どれだけ怒鳴っても誰かに聞かれる心配はない


「え、ええ、そうね」


 リネン室に移動し、亜優美さんと2人きりになった途端に亜優美さんは怯えだしたようにも見えるけど、どうしたんだろう?


「どうしました?怯えているように見えますけど?」

「な、なんでもないわよ?それよりもさっきの話の続きをしましょうか?」

「そうですね。で、亜優美さんは勝手に許嫁にされた当事者の気持ちを考えた事ありますか?」

「い、いえ、恥ずかしながら考えた事はないわ」


 当事者達の気持ちを考えずに優奈と僕を許嫁にしたのか……母もそうだけど、亜優美さんも身勝手だな


「でしょうね。それで、亜優美さんは僕に彼女がいたらどうするつもりだったんですか?」

「そ、それは……その彼女さんとは別れてもらって優奈と結婚してもらう予定で……」


 亜優美さん─────いや、もう呼び捨てでいいか。亜優美はどこまで身勝手なんだよ……


「それは僕の気持ちと僕の彼女の気持ちを考えた上での発言と受け取っていいですか?」


 さて、亜優美はどう切り返してくる?開き直るか?それとも、教師みたいに黙り込むだけか?


「そ、そう受け取ってもらって構わないわ」


 大人しく『私が悪かったです』って言っとけば僕だって少しは手加減したのに……


「そうですか……あなた達は自分達の身勝手で子供の未来を勝手に決めた挙句、自由に恋愛をする権利すら奪うんですね?自分がされたらどう思いますか?」


 教師や教育実習生もそうだけど、この人は自分がされて嫌な事はするなって幼い頃に教わらなかったのかな?


「わ、私がされたら嫌だけど……」


 理解に苦しむ。どうして自分がされて嫌な事を人に平然とできるのかな?


「そうでしょ?それで、自分がされて嫌な事をどうしてやるのかな?」

「そ、それは光晃君と優奈が幸せになれると思って……」


 優奈の幸せも僕の幸せも親が勝手に決めていいものじゃない


「それは親の視点での話でしょ?そうする事で僕も優奈も幸せだって言いました?言ってませんよね?」

「はい……」

「許嫁の件はこのままにしておきます。ですが、それはあなたの為じゃなく優奈の為です」

「はい……」

「話は終わりです。僕は外へ出て電話してきますので」


 亜優美に電話する事を伝え、リネン室を出た。次は僕の母だ。こんな事した償いはしてもらう


「さて、亜優美とは話したし、次は母だ」


 僕は携帯を取り出し、母親の番号を呼び出す。前回は父に掛けたけど、今回は母に掛ける。母は仕事で海外に行ったのではなく、父の付き添いだったはずだから家にいるだろう


『もしもし、光晃?どうしたの?あ、お母さんの声が聞きたくなったのかな?』


 父同様、ワンコールで出たと思ったらこの調子だ。人をおちょくってるのか?


「アンタの声なんて聞きたくなかったけど、今回は事情が事情だから電話したんだよ」


 別に心の底から母が嫌いだということではないけど、優奈との許嫁の件は僕の中で許せそうにない


『声を聞きたくないなんて息子に言われてお母さん悲しいわ……』

「そう、じゃあ、永久に悲しみの中にいなよ。それより、話があるんだけど?」

『わかってるわ。光晃の話って何かしら?』

「宮下優奈さんって知ってるよね?」

『ええ、もちろん。光晃の許嫁ですもの。でも、どうして光晃が優奈ちゃんの事を知ってるのかしら?』

「だって僕は今その宮下優奈の家にいるんだからね」

『え?何で?』

「それはね──────」


 僕は文化祭準備の途中で逃げ出し、適当に行先を決めてたどり着いたのが大海町だった事、そこで優奈に声を掛けられた事、優奈が僕の許嫁である事を今日、知らされた事を話した


『そう……そんな事があったのね……』


 いつもは人をおちょくる母だけど、今回ばかりは真剣みたいだ。だけど、真剣になったからといって許す僕ではない


「うん。それで?どうして僕と優奈を許嫁にしたのかな?」

『だ、だって……』

「だって?」

『だって、亜優美ちゃんと親戚になるのは私の夢だったんだもん!』


 くだらない……なんてくだらないんだ。そんな事の為に僕の将来───────いや、僕達の将来が勝手に決められたのか?


「くだらない夢の為に僕の将来を決めないでくれない?大体、僕に彼女がいたらどうするつもりだったの?」


 亜優美にしたのと同じ質問を母にする。回答次第では僕はコイツを母と呼ぶ事を止めよう


『そんなの決まってるじゃない。彼女さんには申し訳ないけど、別れてもらうわ』


 決めた。コイツは亜優美と同じく何かを言うのではなく、最もダメージを与える方法で制裁しよう


「そう。それがアンタの意見なんだだね?」

『どうしたの?光晃?いつもみたいにお母さんって呼んでくれていいのよ?』


 僕は普段、母さんと呼ばせてもらっている。だけど、今回はコイツを母とは呼ばない


「呼ばないよ。アンタは僕の母親じゃない。僕は自分の結婚相手くら自分で決める。それに、好き合っている者同士を引き剥がそうって考えを持つアンタは僕の母親である必要がない」


 僕は人から冷たい人間等と言われる事が多いけど、好き合っている人間を引き剥がしてまで自分の目的を果たそうとは思わない


『な、何を言ってるの?光晃?私はあなたの母親でしょ?』

「違うよ?僕にとってアンタはただの害。ま、血縁上は母親なんだろうけどさ、勝手に許嫁を決めた挙句、息子が本当に一緒にいたい人と無理やり引き剥がそうとする奴を母親とは認めないから」

『え?ちょ、ちょっと、こ───────』


 僕はかつての母が何か言う前に電話を切った。これ以上母と話す事なんて何もないし


「さて、僕の将来の為に亜優美と元・母は排除した。次は真理姉さんと秀義だ」


 大晦日の大掃除じゃないけど、この際だから僕が生きていく上で邪魔になりそうな人間は全て排除しよう


「優奈と葵衣は何も悪くないし、この際だから2人を連れてどこか遠く……いや、僕の家からそう遠くない場所にアパートでも借りて3人で住むかな?」


 失踪した時に遠くの場所に行くと返って見つかりやすい。だけど、同じ街のそれも近くの場所に住んでいるのであれば誰も失踪しただんて思わないだろうから安心だと思うし


「ま、何にせよ邪魔だなぁ……亜優美も元・母も真理姉さんも秀義も」


 僕にとって今言った人達は邪魔でしかない。だからと言って殺すとかはしない。ただ、僕に関わろうとしないようにするだけでね

今回は光晃が母親を邪魔に思う話でした

いくら母親でも息子の恋愛について口出ししすぎたらなぁ・・・

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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