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光晃がいなくなった後の秀義

今回は光晃はお休みです。光晃がいなくなった後の秀義がどうしたかです

光晃と葵衣の関係について知らなかった秀義はどんな反応を示すのか?

では、どうぞ

 俺の名前は名倉秀義!岩崎光晃の幼馴染だ!今は文化祭の準備をしている!しているんだが、幼馴染である光晃がいなくなってしまった……今回は光晃がいなくなった後の俺の話だ


「はぁ!?光晃がいなくなった!?」

「うん、秀義君は光晃の行先について心当たりないかな?」


 俺は光晃の従姉である小谷真理さんに呼び出され、現在、生徒指導室にいる


「いや、俺はずっと教室の飾りつけをしてたんで光晃がいなくなった事を初めて知ったで心当たりと言われてましても……」

「そう……ひょっとしたら秀義君の家にいると思ったのに……」

「真理さん、光晃って今学校にいないんですか?」

「うん、いつものサボりスポットにはいなかった」

「そうですか……」


 光晃がいつものサボりスポットにいないのはいい。アイツのことだから別の場所に隠れているんだろう。しかし、光晃がいなくなるなんて事になったんだ?アイツは嫌なことは嫌って言うタイプだが、だからって学校から突然いなくなる奴じゃないだろ


「はぁ……どこ行っちゃったんだろう」


 今にも泣きそうな真理さんを俺は見てられない。光晃、早く帰って来い!っと、その前に聞きたい事があったんだ


「真理さん、光晃がいなくなった原因って聞いてもいいでしょうか?」


 光晃がいなくなった原因がわからない以上、俺にはどうしようもない。原因を聞いたところで光晃の行先がわかるというわけでもないがな!


「原因を話してもいいけど、この事は誰にも言わないって約束できる?」


 光晃のいなくなった原因って言ったらマズイのか?まぁ、言うなって言われたら俺は誰にも言わない


「もちろんです!光晃が学校で不利になるような事は言いません!」

「そう。ところで教育実習で来てた水沢先生って覚えてる?」

「ええ、光晃がサポートしてた教育実習の先生ですよね?」

「うん、その水沢先生と光晃が付き合ってるのは知ってる?」

「いえ、知りませんでした」


 光晃は本当に重大な事は絶対に言わない。家出した時もそうだったように水沢先生と付き合ってる事も学校にバレたら面倒だから幼馴染である俺にも言わなかったんだろうとは思うが


「そう……光晃は秀義君に何も言ってなかったんだ」

「光晃は本当に大事な事は誰にも言わないところありますからね」


 俺も真理さんも光晃に信用されてないのかと思うと悲しくなる。俺はともかく、真理さんにはちゃんと話せよと何度思ったか


「で、光晃と水沢先生は恋人同士なんだけど」

「はい」

「光晃が文化祭準備をサボったから水沢先生に電話して光晃を準備に参加させようとしたんだけど……

 」


 真理さんが何を言いたいかは聞かなくても何となくわかった。光晃の事だからただ準備に参加するんじゃなくてゲームでも仕掛けたんだろ。例えば……そう!子供の単純な遊びみたいなやつ!


「光晃が何かゲームを仕掛けた。例えば、子供でもできる単純なものとか」

「そう!秀義君、よくわかったね!」

「伊達に幼馴染じゃないですからね。光晃の行動や思考は何となくわかります」


 具体的にどんなゲームかは知らないが、おそらくはかくれんぼとか鬼ごっこの類なはずだ


「光晃は水沢先生に鬼ごっこを持ちかけ、水沢先生はそれを承諾してしまったんだよ」


 あちゃ~、水沢先生、それは受けちゃダメなやつなのに受けちゃったか~


「光晃が上手く乗せたと褒めるべきか、水沢先生がチョロ過ぎと嘆くべきか……まぁ、光晃と付き合いが長くなければ軽いノリで受けちゃいそうですけどね」

「うん……」


 光晃が教師や教育実習生とやり合う時、教師や教育実習生がボロを出しやすいようにわざと挑発する。今回も水沢先生が鬼ごっこを受けるように挑発したんだろう


「受けてしまったものは仕方ありませんし、そもそもの原因は俺や他のクラスメートにだって少なからずあります」


 光晃が女装する事を意気揚々と進めた俺にだって原因はある。水沢先生だけを責めるなんて事はできない


「それを言うなら私達教師にだって責任はあるよ。光晃に普段の授業をサボらせる原因を作っておきながらそれを改善しなかったし、忙しさを理由に補習授業をしようとせずに女装で足りない単位を補おうとしたんだから……」


 俺は光晃じゃないからこんな時になんて言えばいいかわからない。だが、光晃ならこんな時でも真理さんに辛口な意見を言うんだろうな……


「原因が俺達にある以上、光晃が大人しく帰ってくるかどうか……」


 光晃は謝罪したら受け入れはする。受け入れはするんだが、その後で改善されなきゃ平気で人を見捨てる冷たいところがある


「それは難しいかもしれませんね……厳しいこと言いますが、俺や真理さん、ひょっとしたら水沢先生もそうかもしれませんが、光晃が一緒にいてくれるのはお情けかもしれません。俺達はそんな光晃に甘えてるだけなのかもしれません」

「うん」


 光晃が授業をサボるのに関しては俺も強引に止めておけばおけばよかったと思わなかったわけじゃない。だが、実際に授業を受けている俺だってつまらない、ワンパターンだって感じた事があるくらいだ。光晃がサボりたくなるのも理解できる


「とりあえず、ここでただ話していても仕方ないので俺達は俺達で光晃を探しましょうか」

「そうだね。もしかしたらまだ校内にいるかもしれないし」


 俺と真理さんは光晃を探すために生徒指導室から出た。


「探すってもどこ探せばいいんだよ……」


 文化祭準備で賑やかになっている校内。全学年が文化祭に向けて準備を進めているから賑やかになっているのは当たり前だ。教室内で作業している生徒もいるが、廊下に出て作業している生徒もいる。校舎の至る場所でそんな状況なのに、そんな校舎から光晃1人を見つけ出すなんてできるはずがない


「水沢先生も面倒な挑戦を受けてくれたな……」


 知らなかったこととはいえ、光晃に鬼ごっこなんて挑んだらどこに行くか予想できたものじゃない


「とりあえず探すか」


 光晃が校舎内にいるかもしれないし、いないかもしれない。が、何もしないよりはマシだ


「まずはサボりスポットからだな」


 俺は光晃が授業をサボる時に利用するサボりスポットから探すことにした


「ここにはいないか……と、なると地下か」


 サボりスポットに来てすぐに光晃がいないのはわかった。いるとは限らないが、念のために地下室も見ておくか


「ここにもいないか……」


 ワンチャン、ここにいないかと思ってきたが、ここにもいない。


「ここにいないとなると学校内にいる可能性はかなり低くなってきたな」


 光晃が学校内でここ以外に行く宛てがあるとは思えない。そうなると家に帰っている可能性も考えられる


「念のために光晃が家にいる可能性を真理さんに聞いてみるか」


 できればそうあってほしくないが、光晃がやる事だ。法律に触れない事以外では何をするか予想もつかない


「もしもし、真理さんですか?」

『名倉君?どうしたの?』


 名倉君って呼ぶって事は今は職員室にいるのか?


「いなくなった光晃なんですが、家に戻っている可能性ってないですかね?」

『その可能性は考えなかったわけじゃないけど、そうだとしたら家に電話した時点でそう言われると思う』


 ん?光晃は真理さんと2人暮らしなはずだ。この時間に光晃の家に電話しても誰もいないだろう。とりあえず、電話じゃ話が見えない。生徒指導室に来てもらおう


「すみません、すぐに戻るんで生徒指導室で待っててください」

『え?あ、うん、わかった』


 真理さんとの電話を切り、俺は生徒指導室に向かう。光晃と水沢先生が付き合ってるのは聞いた。だが、真理さんはまだ何かを隠している気がす。いや、違うか。俺が単純に聞いてなかっただけか


「小谷先生、名倉です」

『どうぞ』


 3回ノックをした後、中から返事が返ってきた


「失礼します」


 返事が返って来たので俺は中へ入った


「光晃は見つかった?」

「いえ、見つかりませんでした。ですが、さっきの電話で真理さんが気になる事を言ってたのでお呼びしたんです」

「気になる事?」

「ええ、真理さんは光晃と2人暮らしで平日の昼間に家に電話しても誰もでないのにどうして『家に電話した時点でそう言われると思う』なんて家に誰かがいるような事を臭わせるような事を言ったんですか?まだ俺に言ってない事ありますよね?」

「実は────光晃と水沢先生は現在、同棲しているんだ。私の家で」

「はい?」

「だから、光晃と水沢先生は同棲してるの!家で!」


 はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?同棲!?いや、付き合ってるのはいい!でも同棲!?どうせいっちゅうね!


「………………」

「どうしたの?」

「いや、どうしたの?じゃないですよ!同棲!?そんな事聞いてないですよ!!」


 寝耳に水とは正にこの事だ。俺にとっては付き合ってる以上に衝撃の事実だった


「付き合ってるって事は言ってもいいかなと思ったけど、同棲している事は言っちゃマズイと思って黙ってた」


 どのタイミングで光晃と水沢先生のどちらから告白したかは知らない。誰を好きになるかは自由だからいいとして、同棲はさすがに予想外だった


「俺には教育実習の事はよくわかりませんが、実習が終わって連絡取りあうのも場合によってはアウトだって事くらい理解できます。でも、同棲してるなんて……」

「だよね……だから言わなかった」

「とりあえず、同棲しているのは俺達だけの秘密って事で。俺はクラスの方に戻ります」

「うん」


 水沢先生との同棲は光晃から言い出すとは思えない。だが、今はそんな事を考えるよりクラスの方が気になる


「あ、名倉!今までどこにいたんだよ!」


 教室に戻って早速、クラスメートの小林に絡まれた


「悪い悪い、ちょっと小谷先生に呼び出されてさ」

「お前、何したんだよ?」

「俺は何もしてない!岩崎がいなくなって心当たりがないか?って聞かれただけだよ!」

「岩崎?そう言えばさっきから見てないな」


 小林も光晃がいない事には気づいていたが、特に気に留めてはいなかったみたいだ


「そのいなくなった岩崎の行く宛てに心当たりがないかって幼馴染の俺が聞かれたんだよ!」

「そうか、俺はてっきりサボりかと思ったぞ」

「この大変な時にそんな事しねーよ!」

「それもそうだな。よし、みんな!」


 小林がクラス全体に呼びかける


「んだよ?」

「何?私達忙しいんだけど?」

「そーそー、用があるなら早くしてくんない?」


 クラスメート達はそれぞれ作業を中断し、小林の話を聞く


「岩崎がいなくなった!この中で見かけた奴いねーか?」


 小林の一言により、クラスメート達は周囲を見回した。そして、光晃がいない事に初めて気が付いたようだ


「俺は見てないな」

「私も」

「アタシも見てないっつか、岩崎ってここへ戻ってきたの?理沙ちゃんが採寸するって連れ出してから戻ってきたとこ見てないんだけど?」


 他のクラスメートも同じように頷いている。つまり、光晃は採寸が終わってからすぐに学校を抜け出したと見て間違いなさそうだ


「みんな!ありがとな!って事で誰も岩崎を見てないらしいぞ?」

「そうか……」


 俺は本格的にヤバい事になった。そう思いつつも文化祭を成功させるべく、クラスの準備作業に戻る事にした。光晃を連れ戻すのは水沢先生が何とかしてくれるだろ。人任せにして悪いとは思う

今回は光晃がお休みで秀義がメインでした

秀義が薄情じゃないか?って思われたら幸いなのです

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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