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僕は水沢先生に怒られて家では真理姉さんに依存される

今回は放課後からのスタートです。教育実習生に怒られないと思ったら大間違い

だけど、教育実習生に怒られてもウザいだけ。自分は高校の頃そう感じた

では、どうぞ

 放課後、部活に入っていない僕は普通だったら即帰宅できたはずだ。だけど、水沢先生に捕まってしまい、サボりスポットで水沢先生の指導案作成に付き合わされていた。小谷先生、生徒にこんな事をさせるなよ……


「教師としての度量が疑われるな」


 教師として、実習生を受け入れてる学校の先生として罰とはいえ生徒に実習生の指導案を作成だけとはいえ任せるとは……


「光晃君!小谷先生を悪く言ったらダメだよ!」


 大人として、教師見習いとして僕に注意してくる水沢先生。だけど、注意している水沢先生も大して変わらない。本来は教科指導の担当教員と実習生でその教科の指導案を作るものであり、罰とはいえ生徒にやらせるものじゃない


「水沢先生、生徒である僕にこんな事をさせている時点であなたも同類ですよ。小谷先生やこの学校の無能教師と何も変わらない」

「…………」


 事実を突きつけた途端に無言になる水沢先生。教師も同じだけど、教育実習生も都合の悪い事にはだんまりか……ま、黙っててもらった方が都合がいい。僕に必要以上に絡んで来ないからな


「都合の悪い事になるとだんまりですか……そのまま沈黙を貫いてください。そして、僕に必要以上に絡んで来ないでください」


 そう言い残し僕はサボりスポットを出る。教師や教育実習生から必要以上に絡まれる事もないだろう


「はぁ、本当に疲れる」


 何も知らない実習生の分際で知ったような口を利く。何もできない、何もしないで金ばかりむしり取るしか能がない教師は自分がなんとかするとほざくだけほざいて結局は何もできずに終わってしまう


「無力を自覚していない教師と自分が何もできないっていう事実を認められない教育実習生。僕にはどちらも迷惑でしかない」


 家へ向かう道中に1人愚痴る。愚痴ったところで現状は変化なし。僕が何でもできるわけでも教師の大変さを知るわけでもない。ただ、必要以上に絡んできて何もできませんでした。が嫌なだけだ。それを追及したら取ってつけたように心配だったからとか言い訳をする


「そんな言い訳は聞きたくない」


 さて、家に着いたか……僕の両親は現在海外で暮らしている。唯一の身内である真理姉さんはまだ仕事中だ。よって僕1人しか家にはいない


「最低限夕食だけでも用意しておくか」


 現在、僕は真理姉さんのお蔭で生活できている。仕送りがないわけではないけど、それでも真理姉さんの保護下にある事は変わらないのは事実だ


「さて、こんなものだろ」


 いつ帰ってくるかわからない真理姉さんの為に今晩はカレーにした。カレーなら保存できるし、すぐに温め直せる


「ただいま、光晃」


 カレーができてすぐに真理姉さんが帰ってきた。こんな時だけ帰ってくるタイミングがいいのは何でだろう


「おかえり。僕は部屋に戻るから」


 僕は真理姉さんが帰って来たのですぐに部屋に戻る。学校で会っているのに家でも会う必要はない


「待ってくれ!光晃!」


 部屋に戻ろうとして真理姉さんに引き止められた。学校でも絡まれて迷惑しているのに家でも絡まれて大変迷惑だ


「何?学校でも絡まれて迷惑しているのに家でも絡んでくるの?それとも何?自分の忙しさを盾に水沢先生の指導案作成を僕に押し付けた謝罪か何かでもしたいの?どちらにしても迷惑なんだけど」

「違うッ!私はッ!」


 いきなり叫びだす真理姉さん。どんな言い訳をしようと僕は真理姉さんの教育観を押し付けられるのは御免だ


「私は何?従姉だからって何をしても許されると思った?僕が教師や教育実習生と関わるのは嫌だって知ってるよね?人の嫌がる事するなって習わなかったの?」

「私は……光晃の為を思って……」


 僕の為を思ってか……教師が最終手段としてよく使う言葉だ。君の為を思ってとか言ってると許されると思っている教師が僕は大嫌いだ


「僕の為を思っているなら家でも学校でも必要以上に絡んで来ないでくれないかな?」


 それだけ言い残し今度こそ部屋へ戻ろうとする。これ以上真理姉さんと話していても無駄だ。相手は感情に訴えてくるからね


「待って……お願いだから……」


 部屋に戻ろうとする僕の腕を掴む真理姉さん。僕は振り向く事なく立ち止まる。振り向いてもいい事はない


「何?まだ何かあるの?それともこの場で水沢先生のサポートをしなくていいとでも言ってくれるの?」


 教育実習生のサポートをしなくていいのならそれはそれでありがたい。これで教育実習生と関わらなくて済む


「違うッ!私はただ……」

「ただ何?話がないなら僕は部屋に戻るけど?」


 家でも教師として僕に指図してくるならこれ以上の話は無駄だ。さっさと切り上げて戻ろう


「……ってよ」

「今度は何?」


 今度は何なんだ?そろそろ嫌になってきたんだけど?


「昔の優しい光晃に戻ってよ!!どうしてそんな風になっちゃったの!?私のせい!?私が教師だから!?」


 叫ぶように訪ねてくる真理姉さん。昔の優しい僕?どうしてそんな風になった?そんなの決まってるじゃないか


「僕は元々こうだし、どうしてこんな風になったか?昔の人見知りしてた僕に対して自分の教育観を押し付けて僕を無理やり集団に入れようとしたり、周囲とうまくいかなかったらその集団にいる子全員じゃなく、僕だけを問いただすような事をしたからでしょ?今、真理姉さんが僕に教育実習生のサポートをさせてるようにね」


 集団にいる事が全てじゃない。1人でいる事が悪い事じゃない。集団の中にいるだけで苦痛でしかない人間もいる。僕みたいにね


「こっち向いて光晃」

「嫌だよ」


 僕は家では生徒じゃないから言う事を聞く筋合いはない。教師やってると家でも生徒のように家族に接してしまう事があると聞いた事がある


「こっち向け!光晃!」


 僕は無理やり真理姉さんによって振り向かされてしまった。家でも教師か……本当にウザい


「何泣いてるの?」


 振り向かされて真理姉さんの方を振り向いたが、その瞳からは涙があふれ出ていた。


「ごめん……ごめんね……光晃……」

「泣くぐらいなら僕の罰を今からでも変えてくれない?反省文やトイレ掃除ならまだ納得できるけど、教育実習生のサポートなんて嫌だし、指導案作成とかの指導は教科指導の役目でしょ?職務怠慢なんじゃないの?」


 従姉でも教師は教師だし、泣いても手加減するつもりはない


「私はただ、光晃に人と触れ合ってほしかっただけなの……」

「それっぽい事言ってるけど、教師がすべき仕事を僕に押し付けてるって自覚ある?まぁ、教師がすべき仕事をする事と僕に必要以上に絡んで来ない事、教育実習生が自分の教育観の元で僕に接しないという事を約束できるなら他の教師はともかく、真理姉さんと水沢先生くらいには優しくしてもいけど、約束できる?」


 必要以上に絡んで来ない事、実習生の指導、教育実習生にありがちな自分の指導観を押し付ける事をしない。まぁ、実習生の指導はできても残り2つの約束を守れるとは思わない


「わ、わかった!約束する!だから、昔の光晃に戻って!」

「わかったよ。少しだけね」


 真理姉さんが抱き着いてきたので僕はそれを受け止める。そういえば、教育実習生は水沢先生だけじゃなかったんだ。秀義がそんな事を言っていた。教育実習生は3人来ているって。つまり、水沢先生以外にまだ2人いるって事になる


「真理姉さん」


 しばらくして落ち着いた真理姉さんに声を掛ける。水沢先生はいいとして、残りの2人にまで絡まれたんじゃ身が持たない


「何?光晃」

「僕が関わるのは水沢先生だけだ。他の2人の実習生は僕に近づけさせないでくれない?はっきり言ってウザいから」

「で、でも……」


 こういうやり方は嫌いだけど、仕方ないか……僕は水沢先生と関わる事にすら妥協しているのに


「別にいいんだよ?僕には真理姉さんも秀義も水沢先生も必要ないから無視しても。今こうして抱き着かれているのだって嫌なんだから」

「え……?」

「真理姉さん含めて今言った人間の代わりなんていくらでもいる。約束が守れない人間は僕には必要ない」

「いや……そんなのいやぁ……」


 今の僕は結婚詐欺師かDV夫のどちらかに見えるだろう。人の弱い部分に付け込んで脅迫する。金を出せとか、殺すぞとか言わなくても脅迫はできる。今の真理姉さんみたいに精神的に弱っている人間に対し、必要ない、代わりはいくらでもいるって言えば簡単に従わせる事ができる


「そう、じゃあ、約束は守ってくれる?」

「うん!必ず守る!だから、必要ないとか代わりはいくらでもいるなんて言わないで!」


 やっている事は完全に悪役のしている事だった。ここまでしないといけないなんて……はぁ……


「わかったから泣かないで」


 僕1人に見捨てられそうになったくらいで泣かないでほしいけど、真理姉さんにとってはきっと唯一の人間なんだろうな……


「うん……」


 泣いたせいか、年齢よりも幼く見える。どことなく水沢先生に似ているような気もしなくはない


「じゃあ、僕はもう部屋に戻っていい?」


 僕がここにいる意味はもうない。部屋に戻っても問題ないだろう


「いや……ここにいて」


 真理姉さんは今、精神的に弱っているのだろう、1人になるのを嫌がった。ここで1人でいろと言うのは簡単だが、今日くらいは特別に言う事を聞いてもいいだろうと思うけど、今回は特別だ


「わかったよ。今回は特別だよ」

「うん……」


 学校で顔を合わせているので家では必要ないと思い、いつもなら真理姉さんが帰ってきた時には僕は部屋に閉じこもるようにしている。今日を除いて。そして、やる事がないので寝る時間になった


「久しぶりだね。光晃とこうして一緒に寝るの」

「そうだね」


 僕は1人でも眠れるけど、真理姉さんが一緒に寝たいと言うから特別に一緒に寝ている。本当に今回は特別だ。

今回は放課後から寝る前まででした。

教師は教師なりに心配しているけど、心配されている本人は気が付かない

だって行動と言葉が合ってないから。今回はそんな話でした。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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