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僕はタイミングを考える

今回は部屋で考えるところからのスタートです

答えは決まっているけどどうやって伝えるかを考える光晃。さて、どこが1番ベストなのでしょうか

では、どうぞ

「今日は水沢先生の実習最終日か……」


 今日で水沢先生の教育実習が終わる。それは僕が告白の答えを出す日でもある。答えは決まっているけど、どのタイミングで言ったものか……


「やっぱり下校時だよね……」


 自室でどのタイミングで水沢先生に答えを伝えるかを考えた結果、下校時に学校の関係者に見つからない場所で水沢先生を呼び出し伝える。それが効率的且つ1番リスクが少ないと判断した


「チャラ男みたいで嫌だけど、家に呼んで答えを伝えますかね」


 ヘタに駅前の喫茶店とか、近くの公園とかだと見つかるし。家だと僕以外にいて真理姉さんだし、真理姉さんは僕に彼女ができる事を喜ぶだろうし


「水沢先生と2人きりになる場所は決まったとして、下校時間ピッタリに水沢先生が来るかどうか……」


 北南高校の教師達はバカだというのは僕の中では揺るぎない事だけど、忘れていた事があった。最終日に思い出すとは……


「自分が実習生の時にされた事を水沢先生にしてないかどうかって確認を忘れていたとは……油断してたな」


 他の実習生と実習先の関係を僕は知らないけど、教育現場において言うなら教育実習生を苛めたり、教育実習生にセクハラ、パワハラをするだなんて話は当然のようにある。もちろん、何の前触れもなく実習打ち切りにされたなんて話もね。つまり、北南高校のバカ教師共が水沢先生────いや、教育実習生に自分が実習生だった時にされた事をしてないかの確認をし忘れていた


「最終日に心配しても仕方ないけど……北南高校の教師って実年齢と精神年齢が合致してない奴が多いからなぁ……」


 職員室で水沢先生がどんな感じなのかを聞くには真理姉さんに聞くしかない。だけど、その前に───────


「朝食の用意からかな」


 真理姉さんはまだ寝ているだろうし、朝食はパンとスクランブルエッグでいいか……


「はぁ……クヨクヨしても仕方ないか」


 自室でクヨクヨしても仕方ないので部屋を出てキッチンに向かう。


「せめて水沢先生のイベント以外には何事もなく1日が始まってほしいものだけど……」


 調理しながら何事もなく1日が始まってほしいと思うけど、僕の周囲には無駄にテンションの高い幼馴染がいたり、最近はあまり話していないけど、なんちゃって委員長の理沙、それに……昨日、ドMに目覚めた女教師


「ダメだ!まともな人間が1人もいない!」


 小説だったら無駄にテンションの高い幼馴染を弄りつつ、なんちゃって委員長を脅迫し、ドMな女教師を適当にあしらい、従姉のお姉さんに誘惑されながらヒロインである教育実習生との恋を成就させる。なんて展開で話が終わりそうだけど、現実は厳しいもので、幼馴染も委員長もドM女教師も僕にとっては厄介な存在でしかないし、従姉は……ノーコメント。実習生はあまり見る場面は少ないけど、ドジだ


「ほう、光晃。まともな人間が1人もいないとは私を含めての発言かな?」


 後ろから誰かに話し掛けられた。この家に住んでいて後ろから話し掛けてくる人間なんて1人しかいない。


「そうだよ。自分がまともな人間だと思っていたの?真理姉さん」


 そう、真理姉さんだ。この人は自分がまともな人間だと本気で思っているのかな?


「私はまともだ!!」

「え?どこが?」


 まともな人間は自分でまともだなんて言わない。それに、僕は真理姉さんがまともじゃないということを証明できるけど、真理姉さんは自分がまともだって証明できるのかな?


「まともだろ?少なくとも私は教師嫌いの光晃に教育実習生と関わる機会を与えたんだから」


 それを基準にまともだと言い張らないでほしいんだけど?その行為は自分が良かれと思ってやっているみたいだけど、どこぞの某信者達を基準にしたらまともな行動じゃなくて異常行動だからね?好意の押しつけとか言われるかもしれないからね?


「いやいや、教育実習生のサポート内容に教師の仕事を組み込んでくる人のどこがまともなの?」

「…………」


 無言で僕から目を反らす真理姉さん。図星を突かれて目を反らすって事はまともじゃない事を自覚したのか


「まぁ、真理姉さんがまともじゃないおかげで水沢先生と関わる事ができたからこれ以上は言わないけど」

「光晃!」


 目を反らしたと思ったら今度はキラキラした目で僕を見る真理姉さん。


「教師である真理姉さんに感謝するのは今回だけだよ?」

「うん!」

「僕は朝食の準備の続きをするから真理姉さんは歯でも磨いてきて」

「うん!」


 朝食の準備といってもスクランブルエッグはできてるし、サラダも用意できてるし、カップスープのお湯を沸かすだけだから大した作業じゃない


「さて、こんなものかな?」


 準備は完了した。真理姉さんが歯を磨いて戻ってくるのを待つだけなんだけど……


「光晃!お待たせ!」

「…………うん」

「どうしたの?」

「いや、何でもないよ。それより、早く食べよっか」

「そうだね」

「「いただきます」」


 僕と真理姉さんはそれぞれの席に着き、朝食を食べるわけなんだけど……真理姉さん、髪が爆発してるのを直してないのはいいのかな?僕としては面白いから黙っておこう


「「ごちそうさまでした」」


 僕は食事中に真理姉さんの髪ばかり見ていたけど、あの爆発って指摘した方がいいのかな?


「あ、あの……真理姉さん?」

「ん?何?」

「髪が爆発したままだけど、その髪型で出勤するの?」

「え……?」

「え?知らなかったの?」

「うん」

「ほら、鏡」

「ありがとう」


 僕は近くにあった鏡を真理姉さんに渡した。すると──────


「なっ!?」


 真理姉さんは固まってしまった。本人からしても余程酷いものだったみたいだ


「僕としては面白かったからいいけど、真理姉さんとしては生徒に示しがつかないんじゃないの?」

「こ……」

「こ?」

「光晃の……バカァァァァァァァァァァ!!」


 真理姉さんは泣きながら洗面所に行ってしまった。泣くくらいならちゃんと鏡を見ればいいのに……


「眠くても鏡くらい見ようよ……」


 僕の呟きは誰かに聞かれる事はなかった。いや、聞く人がいないから当たり前だけど


「ただいま……」

「おかえり、真理姉さん」


 数分後、髪を整え終えた真理姉さんが戻ってきた。というか、いつもならちゃんと身なりを整える真理姉さんが今日に限ってそれを忘れるとは……どうしたんだろう?


「どこも変なところはない?」

「うん、大丈夫だよ」

「そ、そっか……」

「珍しいね。真理姉さんが髪を整えるのを忘れるとは」

「ま、まぁ、今日で水沢先生の実習が最後だと思うとなんだかね……」


 僕は水沢先生に答えなきゃいけないけど、真理姉さんはどうして水沢先生の実習を気にするんだろう?去年だって教育実習生が来たけど、普段通りに出勤していたことを覚えている


「どうして真理姉さんが水沢先生の実習を気にするのかな?」


 真理姉さんにとっても水沢先生は特別な存在なのかな?別れを惜しむくらい思い入れのある教育実習生なのかな?


「だって、今日が終われば水沢先生──────葵衣ちゃんは光晃の彼女になるんでしょ?そして、ゆくゆくはお嫁さんになるんでしょ?」


 この人は何を言っているんだ?僕と水沢先生はまだ付き合ってすらいないのにどうして結婚する事が確定しているんだろうか?


「いや、何言ってんの?僕と水沢先生はまだ付き合ってすらいないんだよ?それなのに結婚とか早くない?」

「え?だって水沢先生が光晃の事を結婚したいくらい好きだって言ってたよ?」


 僕はそんな話は初耳なんだけど?真理姉さんはいつそんな話をしたのかな?


「なにそれ僕知らないんだけど?」

「言ってないもん」


 何だろう?この人は僕をおちょくってるのかな?


「大体、そんな話いつしたの?」

「指導室で水沢先生と実習の振り返りをした時に」

「あ、そう」


 指導室で実習の振り返りをしてたなんて僕は知らなかったから結婚したいとかの話なんて知らなくて当然か


「それより、光晃は水沢先生の事をどう思ってるの?」

「言わなきゃダメ?できれば言いたくないんだけど?」

「聞かせて。光晃は水沢先生の事をどう思ってるの?」

「はぁ……どうって同じ家にいたい程度には好きだよ」

「素直に結婚したいとか言わないんだ……」


 僕の口から結婚なんて言葉が出てくるのはもう少し先の話だよ。真理姉さん。まだ高校生だしね


「僕の口から結婚なんて言葉が出てくるのはもう少し先かな?まだ高校生だし、結婚できる年齢じゃないからね」


 結婚できる年齢だったら迷わず結婚したいとか言うんだろうけど、僕はまだ結婚できる年齢じゃないから言わない。それに、途中で気が変わるかもしれないしね


「そうだったね。まだ17歳だから早かったね」

「そうだよ、僕が水沢先生と付き合ったとして来年も続いていたら考えるよ」


 付き合ったとしても将来結婚するんだとかいうカップルっていい確率で別れるらしいし、気軽に結婚するとか言わない方が長続きすると思う。まぁ、真理姉さんが僕と水沢先生に同棲しろなんて言ったら僕は結婚も視野に入れて考えなきゃいけないけど、僕が自分から結婚を考えるとなると安定収入を得られるようになってからだ


「そっか……」


 明らかに何かを企んでいるであろう真理姉さん。何を企んでいても別にいいけど、厄介事を持ち込むのは勘弁してほしい


「何を考えてるか知らないけど、厄介事を持ち込むのは勘弁してね」


 真理姉さんは北南高校の教師だ。つまり、何かしらの厄介事を持ち込まれる前に釘を刺しておくとしよう


「わ、私は疫病神じゃないよ!」

「いやいや、疫病神とは言わないけど、真理姉さんは北南高校の教師だからね?疫病神集団の一員だからね?その辺は忘れないでね?」


 真理姉さんが疫病神とは言わないけど、疫病神集団の一員ではある。北南高校の教師って僕にとって疫病神みたいなものだし、それが集団となると北南高校の教師の1人である真理姉さんは疫病神集団の一員だ



「北南高校、辞めよっかな……」


 僕の発言により真理姉さんは北南高校退職を本気で考え始めたようだ。家ではこうだけど、学校では何事もありませんように



今回は部屋で考えるところからのスタートでした

何だかんだで自宅で答えを伝える事にした光晃ですが、基本的な事を忘れていたようです

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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