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サボろうとした僕は水沢先生に見つかる

今回はサボろうとした光晃が葵衣に見つかる話です

今回の葵衣は母親?

では、どうぞ

「光晃君、どこ行くの?」

「あ、いや、ちょっとトイレに……」


 サボりスポットへ行く途中に厄介な相手に出くわした。その厄介な相手とは水沢葵衣その人だ。教育実習が始まった当初もそうだけど、僕は授業をサボって真理姉さんに見つかった。見つかった時に真理姉さんの側にいた人がこの水沢先生だった。最近は見てないし忘れがちだけど、この人はドジである


「本当?だったらどうしてカバンなんて持っているの?」


 ドジなくせして無駄に鋭いな……この人


「教室に入る前なんでカバンを持っているのは当たり前じゃないですか」


 本当は朝から学校終わりまでサボるつもりでいる。だけど、教室に入る前に校長室に呼び出されて荷物を置いていないので僕が言っている事は嘘じゃない


「そうなんだ。でも、どうして玄関に向かっているの?」

「…………」


 こ、答えられない……いや、ここは何かうまい言い訳を……


「どうしたの?ひょっとしてサボるつもりだったとか?」

「黙秘します」


 水沢先生の質問に黙秘権を行使する僕。水沢先生に見破られるとは……


「サボるつもりだったんだね」

「はい」


 逃げられないと観念した僕は大人しく認める。ここで変な言い訳をしたら自分の首を絞めることになる


「どうしてサボろうとしたか聞いていいかな?」

「人の話を聞かないバカな教師に絡まれて疲れたからです」


 この学校の教師の質というものを疑ってしまう。同時に疑問にも思う。この学校の教師達は口でダメなら暴力か人の話を全く聞かずに思い込みで判断する人間的にはかなり問題のある奴等ばかりだけど、どうやって教育実習に合格したんだろう?


「そうだとしても授業をサボるのはよくないよ」

「ここが普通の学校だったら水沢先生の言う通りなんですが……」


 そう、水沢先生の言う事は普通の学校であれば正しいんだけど、この北南高校は通信制の学校でもなんでもない。生徒の人間性に問題はなくとも教師の人間性に問題大ありだ


「え?北南高校って普通の高校だよね?」


 水沢先生は僕の言う事をそのままの意味で捉えたらしいけど、僕の言いたい事はそうじゃない


「ええ、北南高校自体は普通の学校ですよ?普通の学校なんですが、教師連中の人間性に問題があるだけで」

「小谷先生はともかくとして、他の先生の事を言われれば強く否定できない……」


 真理姉さんはともかく、他の教師を引き合いに出されると強く否定できないって事は水沢先生も心のどこかで北南高校の教師は問題児と認識していたのか……


「水沢先生はどうして北南高校の教育実習を希望したんですか?こんな問題児ばかりの高校に……」


 今更遅いけど、どうして水沢先生はこの学校に実習を希望したんだろうと思う


「それは、北南グループだから内諾活動が楽だって大学で言われたから……」


 高校が高校なら大学も大学だったというわけね。水沢先生の口ぶりだと内諾活動に苦労した感じではなく、あっさりとOKを貰った口か……


「水沢先生が内諾活動では苦労しないで通ってきた事は理解しました」


 真理姉さんの時は相当苦労してたみたいだけど、水沢先生はそんな苦労せずに実習まで来たんだろうなと思い、実際の北南高校が問題を起こす教師ばかりいる事を考えると罵倒する気すら起きない


「く、苦労したもん!」


 涙目で否定する水沢先生だけど、僕は別に水沢先生が努力してないないとは言っていない


「別に水沢先生が努力していないなんて言っているんじゃないんです。ただ、内諾活動がすんなり終わりいざ教育実習!ってなって蓋を開けたら問題児ばかりだったというオチが何だか可哀そうって思っただけですよ?」

「…………」


 僕の意見を聞き、声を殺して泣く水沢先生。気持ちはわかるよ?自分の欲しかったものが楽に手に入ったと思ったら中身が壊れてましたとか僕だって泣きたくなる


「み、水沢先生?」

「な、何かな?光晃君……」

「何かごめんなさい……」

「謝らないでよぉ~!!」


 明日で終わる教育実習だけど、実習を依頼した高校がバカ教師だらけだという現実を哀れみ謝ったけど……逆に水沢先生を泣かせてしまった


「ま、まぁ、自分が教師になった時にこの学校の教師達みたいにはなるまいと頑張ればいいじゃないですか?反面教師って言葉があるくらいですし」


 慰めになっているかはわからない。だけど、僕なりにフォローはしておいた。


「慰めになってないよぉ~」


 だよね?知ってた。大学が大学なんだから自分で気が付くべきだと思うけど、これ以上水沢先生を追いつめるのは止めよう


「あー、水沢先生?」

「何?」

「そのうちいい事ありますよ。って事で、僕はこれで失礼します」


 ただでさえバカな教師に絡まれて疲れているんだ。教育実習生の相手までして疲れるのは御免被る。水沢先生を見捨てて僕はこの場を去ろうと───────


「サボろうとしてもダメだよ?」


 できなかった。さっきまで泣いてたのに現金な人


「チッ、ダメだったか……」


 小説を読んでいる時にも思うけど、どうしてドジっ子やアホの子って普段は抜けてるのにここぞとばかりに目ざといんだろう?


「光晃君!サボるのはダメだよ!」

「はいはい、わかりましたよ。教室に行きますよ」


 水沢先生に注意され、大人しく教室に行く僕。お前は僕の母親か?


「はいは1回!!」

「はーい」

「伸ばさない!!」

「はい」

「よろしい!」


 これが僕に告白してきた女性と同一人物なんだろうかと思うと嫌になる。付き合った時に尻に敷かれる未来が待っていそうで


「はぁ~、バカ教師に絡まれるわ、サボろうとして水沢先生に絡まれるわ……朝からついてないなぁ」


 研究授業が終わり、教育実習の一大イベントとも呼べるものが終わり、ようやく一段落ついたと思っていたのに翌日になり、人の話を全く聞かないバカな教師が絡んできたとか僕は呪われているのかな?


「はぁ……」


 教室に着いた僕は嫌々ながらも中へ入る。本当に勘弁してほしいよ……


「よう!光晃!朝から疲れた顔してるな!」


 秀義、そう思うなら朝からそのウザいテンションで話しかけてくるなよ……


「いろいろあってね……」


 もう説明するのもめんどくさい。いや、違うか。秀義と話すが凄まじく怠い


「お、おう、そうか、大変だったな」


 秀義に同情されるとは……僕は相当疲れた顔をしているみたいだ


「そういう事だから僕はHRから昼休みまで寝て過ごすから」

「お、おう……」


 引きつった顔の秀義の前を通り過ぎ、自分の席で睡眠学習に入る。どうせ担任は僕が寝ていても気にする奴じゃないから安心して居眠りができる


「ここはどこだろう?」


 僕のいる場所は真っ白な部屋。出入口がなければ窓の1つもない。


「出入口どころか窓の1つもないなんて……あ、これは夢か」


 夢と理解するまでに時間は掛からなかった。だって、僕は教室にいたんだし、いきなり何もない部屋にいるなんて事自体がありえないし


「で、夢なのはいいけど、どうして何もない部屋なんだろう?」


 周囲を見回すと白1色の部屋。別に青い部屋でもよかったんだけどな


「ん?テレビ?」


 一通り周囲を見回した後、何故かテレビがあった。あんなものあったっけ?まぁ、いいや。何もない部屋だし、暇つぶしにテレビでも見よう


「普通こういう時って昭和のテレビが出てくるのが定番だけど、どうして最新式のテレビ?」


 ファンタジー小説とかだと昭和のテレビが出て来たりとかするんだけど、目の前にあるのは最新のテレビ


「別にいいか。テレビの型なんて」


 どうせこれは僕の夢だし、テレビがどんな形をしていようがどうでもいい。映って見る事ができるなら


「僕の夢なんだから普通の番組なんて放送してるわけないよなぁ……」


 普通の番組が放送されているわけないとするとどんな番組が放送されているんだろう?まぁ、何でもいいけど


『はい、光晃君』

『ありがとうございます。葵衣さん』


 テレビを点けたら結婚したと思われる僕と水沢先生が映っていた。なんで?


『もう!光晃君!また敬語になってるよ?』

『すみませ────ごめん、葵衣』

『もう!私は教育実習生じゃないんだよ?貴方の妻なんだからね?』

『わかってるよ。葵衣』


 うん、ツッコミどころはいろいろあるけど、まずは水沢先生は僕に何を渡したんだろう?次に僕はいつ水沢先生と結婚したんだろう?


「好きだって言われたけど、どうして付き合ってすらいない水沢先生と結婚した場面なんかが……」


 夢って自分の深層心理が反映されるとか言われる事あるけど、その原理で言うと僕は水沢先生と結婚したいって心のどこかでそれを望んでいる?


『ところで光晃君、覚えてる?』

『ん?何が?』

『私にプロポーズした時の事』

『覚えてるけど、それはベッドの上でしない?夜は長いんだし』


 どうやらテレビの中の時間軸は夜だったらしい。そして、プロポーズは僕からしたらしい


「どんだけラブラブなんだか……」


 テレビの中の僕達のイチャつきに呆れつつもテレビに視線を戻す。場面は変わり2人の寝室になっていた


『それで、さっきの話の続きなんだけど……』

『プロポーズした時の話?』

『うん、覚えてるかな?って』

『世界の全てを敵にしても貴女を守ります。なので、僕と結婚してください!』

『覚えててくれたんだ……』


 僕だって結婚する時にプロポーズくらいするけど、こんな歯の浮く台詞を言うとは……


「恋は盲目とはよく言ったものだ……」


 自分で聞いていて恥ずかしくなる。それにしても結婚か……


「水沢先生と結婚とか……」


 ありえないとは言わないけど、リアクションに困る。こういう時ってどんな顔したらいいんだろう?


『プロポーズしてくれた時は嬉しかったけど、あの教師や教育実習生が大嫌いだった光晃君が教師をしている私と結婚してくれるなんてね』

『そりゃ僕は教師も教育実習生も大嫌いだけど、葵衣は葵衣でしょ?』


 テレビの僕の発言に顔を赤くする水沢先生。どうやらテレビの向こうの水沢先生は教師で僕の職業は不明だけど、それなりに幸せらしい


「まぁ、今の僕だって教師や教育実習生と1人の女性は割り切っているけどさ……結婚するまでの付き合いになるのか……いや、僕が心のどこかで水沢先生と結婚する事を望んでるのかな?」


 百歩譲って付き合う事を僕が望んでいたとしても結婚となると話は別だ。情けない事に僕は人1人の人生を背負うなんて事はできない。


「早く覚めないかな……」


 僕はこの夢が早く覚める事を祈りつつテレビを観ていた。にしても、結婚かぁ……




今回はサボろうとした光晃が葵衣に見つかる話でした

葵衣は教育実習生なので行動としては間違ってはいないはずなんだけどなぁ・・・・

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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