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僕と真理姉さんは朝から疲れる

今回は起床から登校まで

真理と光晃じゃ教師に対する考え方が違うからわかり合える事はないと思います

では、どうぞ

 昨日は水沢先生の研究授業があり、いつもよりも濃い1日だった。いや、小学校、中学校、高1の時にも教育実習生が来たけど今回の教育実習生は世話が焼けるし、意味のわからない罰で関わる事になるしで大変だった


「水沢先生の教育実習も今日と明日で終わりか……長かったような短かったような」


 教育実習生と関わらなければ何事もなく2週間を過ごす事ができたかもしれない。最初は嫌々サポートをしてたかもしれない。だけど、今思えばそれもそれでよかったのかもしれない


「しんみりしてないで朝食の用意しなきゃね」


 最終日にしんみりするならまだしも後1日残っている状態でしんみりしていても仕方ない


「真理姉さんも起こさなきゃいけないし、僕の日常は今までと何も変わらないんだよなぁ……」


 家で過ごす日常は何も変わらない。これで彼女でもいたら少しは変化すると思うけど、どうだろう?彼女がいても僕は結局教師に歯向かってばかりだろうし……


「彼女がいてもいなくても僕は変わらないんだろうなぁ……」


 彼女がいてもいなくても僕は何も変わらないと結論付けたところで真理姉さんを起こしに行く。今朝はパンとスープとサラダだけだから慌てる必要もないと思う。だけど、スープは冷めないうちに飲んでほしい


「真理姉さん、朝だよ?朝食だよ?」


 毎度毎度の事だけど、真理姉さんって起きるのに時間が掛かるから面倒なことこの上ない


「う~ん……あさ?」

「そうだよ。寝ぼけてないで顔洗ってきて」


 昨日は気まずくて喋らなかったけど、喧嘩したとかじゃない。単純に教師を罵倒し校長に教師の不祥事をチクっただけだから


「うん……あの、光晃?」

「何?」

「昨日の事なんだけど……」


 真理姉さんが言いづらそうに昨日の事を話題に出してきた。昨日の事なら別に気にしなくていいのに


「昨日の事について僕は全く気にしてないから」


 僕は真理姉さんに気にしていないと伝えて部屋のドアを閉める。教師が掌を返す事なんていつもの事だし、教師を信用してないなんて今更どうこう言う事でもないし


「はぁ、僕が教師を信用してないなんて今更なんだし気にしていたらキリがないと思うんだけど……」


 真理姉さんが家で気まずそうにする事なんてないのに。学校で教師と何かある度に気まずそうにされるのはちょっとなぁ……


「やっぱり真理姉さんとは違う学校に通えばよかったかな……」


 真理姉さんが勤めている学校じゃなく、別の学校だったら家で真理姉さんと気まずくなるなんてなかったし、家にいてまで喧嘩をする事もなかった


「お、おはよう。光晃」

「うん、おはよう。真理姉さん」


 気まずそうにしている真理姉さんとそれを全く気にしていない僕。傍から見れば僕が苛めているみたいな光景に見えるんだろうなぁ……


「あ、あの、光晃……昨日はごめんね。助けてくれたのに裏切るような事して……」


 僕が何も言ってないのに勝手に昨日の事を謝ってきた真理姉さん。真理姉さんのが気にしていたのは昨日の呼び出しについてだろうけど、教師に裏切られるのなんて今更過ぎて言う事なんてない


「別にいいよ。教師に裏切られるなんて僕にとっては今更だし、教師が自分の評価しか気にしていないのも今更だしね」


 教師の中には本気で生徒の事を考えている人もいるんだろうけど、そんな教師はごく一部で大抵の教師は自分の評価か立場しか気にしていない


「光晃……」


 真理姉さんから憐れむような視線を感じるけど、僕が教師を信用していないなんて周知の事実


「僕が教師を信用してないのなんて今に始まった事じゃないでしょ?僕にとは言わないけど、生徒に信用されたかったら行動で示したらどう?」


 真理姉さんにできる事なんて知れてるし、人間だから矛盾する事だってある。だけど、北南高校の教師ほど掌返しが上手い連中はいないと思う


「わ、私だって頑張っているんだ……頑張って光晃に信じてもらえるようにしているんだ……」


 涙を流しながら僕に訴えてくる真理姉さん。真理姉さん1人が頑張っても他の教師がその頑張りを台無しにしていたら意味がない


「真理姉さんがどれだけ頑張っても他の教師がその頑張りを台無しにしてたら意味がないんだよ。僕の評価はともかくとして、1人の教師が問題を起こせば地域の人から苦情が行く。1人の頑張りなんて中々評価されないけど、1人の不祥事はすぐに噂として伝染する。だから、真理姉さんが頑張っても僕の教師に対する評価は変わらないよ」

「光晃……そ、それって……」


 真理姉さん……大学の先生から地域の人はうるさいよ的な事を教えてもらえなかったのかな?


「真理姉さんの頑張りは認めるよ?ただ、他の教師が台無しにしたりして教師の評価が下がっているだけで」


 教師の評価なんてどうでもいいけど、それによって学校の評価にも影響が出るってことを自覚してほしい


「光晃、私を信用する事はもうない。そう言いたいの?」


 何をはき違えているのかは知らないけど、真理姉さんを信用しないって言っているんじゃない。教師を信用しないって言っているんだよ


「違うよ。真理姉さんじゃなくて教師を信用しないって言っているんだよ。だから、真理姉さんが頑張っているのは()()()()()なら認めるし、信用するけど、()()()()()なら信用も認めもしない。それだけの話だよ」


 簡単に言うなら僕の進学先を考える時に従姉のアドバイスは聞き入れるけど、教師のアドバイスは聞き入れない。教師は信用できないから


「そう、そうなんだ……」

「教師として信用されるか従姉として信用されるか、真理姉さんにとってどちらが嬉しいかは知らないけど、どっちが嬉しい?」

「そ、そりゃ、従姉として信用される方が嬉しいけど……でも、教師としても信用されたい」


 教師として信用されるには僕の認識から変えていかない事にはどうにもならない


「そう。でも、僕が高校を卒業したら真理姉さんは僕の先生でも何でもないんだよ?それでも教師として信用されたいのかな?期間限定での信用がほしいの?」


 普通の教師だったら高校卒業と同時に関係が切れる。だけど、身内なら高校卒業後も関係が切れるなんて事は余程の事がない限り関係が切れる事なんてない


「そ、それは……」

「どう?教師として信用されるよりも従姉として信用されてた方がよくない?」


 僕は遠回しに教師として信用されるのは諦めろと言ってみるけど、どう出てくる?


「そ、それは、そうだけど……」


 真理姉さんが従姉として信用された方がいいという方向に傾いているように見える。もう少しだ!


「真理、僕は教師は大嫌いだし、信用もしていない。だけど、かけがえのない従姉として信用しているよ」

「光晃……」


 やりたくないし、真理姉さんの好意がlikeかloveかは知らない。人の好意を利用するようで気が引けるけど、これ以上真理姉さんと教師としてとか、従姉としてとかの無駄なやり取りをしたくない。いつもなら使わないけど今回だけ僕に依存してもらおう


「わかってもらえるかな?」

「うん……」


 学校の連中に知られたら僕はクズの称号を与えられるだろうけど、家の中だったらいいよね?


「わかってもらえてよかったよ。じゃあ、朝ごはんにしようか?」

「うん!」


 従姉で年上なのに時々保護欲を駆り立てられる。この人は本当に年上なのかな?と疑いたくなるけど、年上なんだよなぁ……


「「ごちそうさまでした」」


 朝食が終わり、今日は2人揃って学校に向かう。たまには真理姉さんと一緒に学校に行くのも悪くない


「じゃあ、僕は生徒用の玄関に行くから」

「うん、私は職員用の玄関だからここでお別れだね」


 何だろう?新婚夫婦ってわけじゃないのにこの新婚夫婦みたいなやり取り。こんなところを見られたら確実に誤解され────────


「こ、小谷先生!!生徒と付き合ってたんですか!?」

「「え……?」」


 誤解されました。制服を着てないところを見ると生徒ではなく教師だろうけど……誰だっけ?教師に全く興味のない僕はこの女の名前が思い出せない。はて、誰だっけ?


「真理姉さん、この人だれ?」


 見た目からして真理姉さんと歳が変わらない女教師。これは教師に興味も関心もなく高校生活を過ごしてきた弊害かな?


「国語の田中先生だよ」

「そう。でも、この人を見た事なんてないんだけど?」

「こ、光晃!失礼だよ!」


 失礼も何も本当に見た事がないんだから仕方ない


「ふ、2人とも校長先生に報告します!!」


 顔を真っ赤にして怒る田中先生。校長先生に報告されても僕と真理姉さんは身内なんだし一緒に登校しても何も問題はない。と、いうか、この人も教師である以上、生徒の家族くらいは把握しておくべきなんじゃないのかな?


「「どうぞどうぞ」」

「そうですか!!失礼します!!」


 この学校は教師間での情報の共有すらできない。いや、それ以前にこの学校の教師は確認するって事ができないらしい


「はぁ、真理姉さんさぁ……」

「な、何かな?」

「移動した方がいいんじゃないかな?この学校の教師は情報共有どころか確認する事すらできないみたいだし」

「…………検討します」


 先程の田中先生を見て真理姉さんに移動を提案したけど、何を思ったか真理姉さんも真理姉さんで頭の片隅で思ったみたい


「はぁ……真理姉さん」

「はい」

「これで理解できたでしょ?この学校の教師がどれだけバカか」

「はい」


 説教をしようって事じゃないけど、真理姉さんは北南高校の教師のバカさ加減をいい加減にちゃんと理解した方がいいと思う


「「はぁ~」」


 校門で深い溜息を吐く僕と真理姉さん。思い込みの激しい奴というのは人の話を聞かないのかな?水沢先生に告白された場面を田中先生に見られなくてよかった。心の底からそう思う


「光晃、疲れたね」

「そうだね」


 僕も真理姉さんも何もしてないし、朝なのにドッと疲れた。来年から他の学校に通うかな?北南高校に通っていたら僕は成人を迎える事なく禿そうだし

今回は起床から登校まででした

何だかんだで葵衣の実習もあと少しで終わりになります。13日目を光晃はどうやって過ごすのか

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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