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僕はサボる事を認められる

今回はサボりが認められる話です

光晃のサボりを認めるとはどうかと思いますが、背に腹は代えられないのでしょうか?

では、どうぞ

「まさかこんなに集まるとは思わなかったよ」


 僕は今、水沢先生の巡回指導担当の悪事がこんなに集まるとは思わなかったと心底ビックリしている。情報が少なかったら真理姉さんが個人的に嫌いだから陥れてやろうとしているだけに思えたけど、音声と動画だけで数多くの人から情報をもらえるとは思わなかった


「私も驚いてるよ……光晃君」


 僕と同じように驚きを隠せないでいる水沢先生。僕だってビックリしている。これが5人や10人だったら嫌がらせしてやろうと思っている集団の策略と切り捨てていたけど、今、僕の元へ寄せられている情報の数は100人を余裕で超えている


「大学生の連絡は全て水沢先生に来ているけど、ざっと数えて音声が50人、動画が50人ってところだね。真理姉さん、これって北南高校の教師だけの問題じゃなくなりつつあるんだけど?どうするの?」


 真理姉さんが悪いとかそんな事を言うつもりはないけど、僕にとって真理姉さんが潰してほしいとか言い出さなければこんな事になるとは……引き受けておいてなんだけど、これは大学生の皆様がこの人にセクハラされました、パワハラされましたって署名を集めて大学に提出して何らかの処分を下してもらうってした方が早いんじゃないのかな?


「ど、どうしよう……私の頼んだ事がこんな事になるとは思わなかった……」

「本当にね。まぁ、集ってきている情報はざっと数えて音声と動画を合わせて100個。どれもパワハラとセクハラが大半を占めていて、少ないけどモラハラも入ってるね」


 あと2時間もしないうちに学校が始まるし、真理姉さんと水沢先生は朝の打ち合わせがある。僕は別に遅刻しようがサボろうが別にいいけど、真理姉さんと水沢先生はそうもいかない


「光晃君、これどうするの?」


 水沢先生の携帯に入れておいてもいいけど、本人からしてみれば不快以外の何物でもないと思うから一先ずは……僕のUSBに保存しておこう。


「僕のUSBに保存します。ところで、水沢先生の授業って何時間目なの?真理姉さん」


 水沢先生の授業がここでは重要になってくる。だけど、その前に1つやる事があるからどうしてもHRと水沢先生の授業までの間にある授業はサボる事になるだろうけど、今回は認めてほしい


「水沢先生の研究授業は4時間目だよ」

「そう。じゃあ、真理姉さんには今日だけでいいから学校に僕の私物のノートパソコンを持ち込む事の許可と4時間目まで僕は授業をサボるからよろしく」


 僕の申し出を断られたら追いつめるのに苦労はしないけど、証拠を突きつける時に面倒な事になるからできればでいいけど、受け入れてほしい


「学生として授業はちゃんと受けなきゃダメだ。教師としてはこう言うべきなんだろうけど、今日サボるのは私と水沢先生を助けてくれる為になら許可する」


 真理姉さん、他に目的があるなら教えてほしいよ……


「他にどんな目的があるのかな?水沢先生の携帯に音声データと動画が送られてきているし、できればそれを全部使いたい。それをサボってる時間を利用してまとめるんだよ。許可してくれたら嬉しいんだけど?」

「許可します!」


 真理姉さんの掌にはジェットエンジンでもついているのかというくらい掌返しが早い。どんだけ嫌なんだろう?


「光晃君、大丈夫だよね?」


 何が大丈夫なのかは聞かないし、水沢先生の目を見ていればわかる。“私を守ってくれるよね?”そう言われている気がする


「大丈夫ですよ。時間さえあれば完璧にしておきますから」


 そう、完璧に相手を追いつめる材料が揃う。理沙のバカな母や前に出会ったバカな妻とも高校の教師とも違う。大学側の人間。評判が悪く裁判沙汰になってもおかしくない事をしているとはいえ、知らない事が多すぎたし、大学は専門外だから下調べは必要になってくる


「そっか、じゃあ、私がピンチになったらよろしくね?」

「わかりました」


 真理姉さんにサボりの許可を得て僕は水沢先生の携帯に送られてきた音声と動画をまとめられるけど、場所をどうしよう?生徒指導室でやってもいいけど、本人に見つかったら元も子もないし、他の教師に見つかったら面倒だからいつものサボりスポットでいいか


「ところで光晃」

「何?真理姉さん」

「4時間目までどこで過ごすの?」

「サボりスポット」


 生徒指導室でもいいけど、できれば集中したいし、なるべくなら人目を避けて作業したい。


「そう。でも、ちゃんと朝のHRには出てね」

「はいはい、わかってるよ」


 真理姉さんの言いつけを適当に返す僕。1つ言っておきたい事があったんだ。


「真理姉さん1つ言っておきたい事があるんだけど」

「ん?何?」

「水沢先生の巡回指導員の人って高校の教師一同が嫌がってるんだよね?」

「そうだけど?」

「それを僕に潰してほしいんだよね?」

「うん」


 ここまで言えば僕が何を言いたいかは猿でもわかると思うけど、真理姉さんにわかるかな?


「真理姉さん、今日、僕のサボりなんだけど……」

「他の先生にも伝えて4時間目まで公欠になるようにしておくよ」


 うん、よくわかっている。さすが真理姉さん!これで安心して作業ができる


「よくわかっていて何よりだよ」


 僕は1度部屋に戻る為に立ち上がる。学校に行くための準備もそうだけど、私物のノートパソコンもカバンに入れなきゃいけないし、学校に行く前にデータを移しておかなきゃ


「さて、学校に行く前に水沢先生の携帯に送られてきたデータを移しますか」


 部屋から出てリビングに戻った僕はパソコンを起動させる。データをまとめるのには時間掛かりそうだけど、移すだけならそんなに時間も掛からない。今からやっても5分くらいか……


「光晃、それって何分くらいで終わりそう?」


 真理姉さんも水沢先生も僕より早く学校に行かなきゃならないからそんなに時間を掛けられないのは知ってるけど、移すだけなら時間は掛からない


「5分もあれば終わるから2人は化粧するなりして身なりを整えてきていいよ」


 僕は2人が身なりを整えている間に携帯からデータを移しておく。音声にしろ動画にしろ容量が小さいから手間も掛からないし


「光晃君、終わった?」


 化粧を済ませた水沢先生が声を掛けてきた。あれ?女性の化粧って時間掛かるものじゃなかったっけ?


「え、ええ、終わりましたよ。それにしても……」

「ん?何かな?」

「水沢先生の化粧って早くないですか?気のせいですか?」


 真理姉さんの化粧だって長い時でも30分は掛かる時があるけど、それは長い時の話で短い時でも15分……それに比べて水沢先生の化粧は早すぎる


「私ってそんなにお化粧得意じゃないから軽いメイクで済ませてるの」


 なるほど、化粧が得意じゃないからガッツリメイクできないからどうしても早めに済むんだと納得してしまった僕


「そうだったんですか」

「うん、あ、でも光晃君が派手な方がいいなら私、派手なメイクの勉強するよ?」


 水沢先生を健気だなぁと思いつつも実際に派手なメイクをした水沢先生を想像してみる。派手なメイクをした水沢先生かぁ……


『光晃君、アタシって綺麗?どう?そそられた?』


 口調まで変わってしまったけど僕的には……なしだな!水沢先生は今のままでいい!


「水沢先生は今のままで十分魅力的です」

「そ、そう……」


 派手なメイクをした水沢先生は違和感しかないし、それに、実際に派手な格好で来たら僕がやりづらい


「光晃?準備終わったよ。そっちはどう?」


 メイクが終わった真理姉さん登場。真理姉さんは真理姉さんで今回は過去最短記録のメイク時間だ


「こっちも終わったよ」


 水沢先生のメイクが終わったくらいに必要なデータをパソコンに移し終えていた。残りの作業は学校でやっても4時間目までには余裕で間に合う


「じゃあ、行こうか?」

「そうですね!行きましょうか?」


 真理姉さんと水沢先生は準備を済ませて家を出るようとしていた。教師と教育実習生は生徒より早く学校に行かなきゃいけないけど、生徒である僕は早く学校に行く必要はない


「行ってらっしゃい」


 僕はいつもと同じ時間に出ても余裕で間に合うから早く行かなくてもいいし、早く行ったところでデータ整理くらいしかやる事がない


「え?光晃も一緒に行くんだよ?」

「そうだよ?光晃君」


 真理姉さんと水沢先生の目は“コイツ何言ってんの?”っていう目をしている。どうして僕が朝早くに登校する事になるんだか……


「え?僕はもう少し遅くてもよくない?」

「「よくない!!」」


 2人して否定しないでよ……そして、泣きそうな顔で僕を見ないで


「僕は生徒だから別に急ぐ必要なんてないんだけど?」

「光晃の事を他の先生にも説明しなきゃいけないんだよ」

「サボる理由を知っているのって真理姉さんと水沢先生だけでよくない?」

「授業をサボるんだし、公欠扱いにするには他の先生への説明も必要なんだよ」

「ああ、なるほどね」


 納得してみせたものの別に他の教師が事情を知る必要はないと思う。ま、教師公認で授業をサボれるならそれはそれでいいんだけどね


「というわけで、行くよ!光晃」

「そうだよ!光晃君」


 玄関で僕に手を差し伸べる真理姉さんと水沢先生。水沢先生の巡回指導員が問題児じゃなければ2人と一緒に学校へ行く事なんてなかっただろうと思う


「はいはい、わかりましたよ」


 僕に手を差し伸べてくれる人の存在に嬉しさを感じているけど、それを表情にも態度にも出さない。だって、僕は教師も教育実習生も大嫌いだから。ま、僕の事は置いといて、早く面倒事は片付けたいなぁ……


「─────という事で、岩崎光晃の公欠を先生方に認めて頂きたいのですが……」


 真理姉さんは僕が今日、これからする事を説明し、公欠の許可を求めていた。それを横で聞いていて思う。真理姉さんと水沢先生以外の教師に何の価値があるんだろうと、本当に助ける価値のある人間なんだろうかと。何より、この学校の教師が1人の人間を潰す為だけに公欠の許可を出すわけが……


「そういう事なら私はいいと思いますけど……」


 1人の若い女性教師が意見を出した。年回りは真理姉さんと同じくらいか1つ下くらい。この先生はいいとして、他の教師はどうだ?


「そうですね。僕もいいと思いますよ?岩崎君が動いてくれる事で労働環境がよくなるなら」


 この男性教師は僕が何をするかわかってないみたいだけど、意見としては公欠を許可するって事でいいのかな?それに釣られて他の教師も次々に公欠を許可していった。そして───────


「それでは皆さんは岩崎光晃が4時間目まで公欠という事でよろしいですね?」


 真理姉さんが学年の教師に確認を取り、学年の教師達はそれを承諾した。で、承諾された後、僕は4時間目までの時間を保健室で過ごすように言われた。僕としてはコンセントと集中できる環境があればそれでいいんだけどね

今回はサボりが認められた話でした

こんな事でいいのか?北南高校・・・・

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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