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僕、岩崎光晃の朝はいろいろ大変だと思う

今回は光晃達の起床から学校の用意をするまでです

最近になって思うのはどうして自分の作品の主人公は専業主夫みたいな事をしているの?って事です

では、どうぞ

「ん?温かい?ああ、そうか、昨日は川の字で寝たんだっけ?」


 昨日は水沢先生とスーパーで会い、家に泊まりに来ないか?と誘い、水沢先生はそれを受け入れたし、真理姉さんも快く承諾してくれた。そして、僕達は3人で川の字になって寝た。ここまでは覚えている。


「んぅ~」

「こうせい……」


 水沢先生は何やら唸っているし、真理姉さんは寝言で僕の名前を呼んでいる。起こすのも気が引けるし、このまま寝かせておいてあげよう。


「2人が寝ている間に朝食の用意を済ませておくかな」


 寝ている水沢先生と真理姉さんを起こさないように布団から出てキッチンへ向かう。いつもなら起き上がり布団から出て1階に降りてきてキッチンへと向かうところだけど、今回はリビングで寝ていたので布団から出てキッチンへ向かうだけで済んだ。


「とはご飯は昨日炊いておいたし、味噌汁とご飯と……あとは適当にお浸しでいいか」


 休日の朝食ならゆっくり用意するんだけど、今日は平日だからそうはいかない。何より、真理姉さんと水沢先生を起こさなきゃいけない。


「水沢先生と結婚したら僕が家事全般を担当しなきゃいけなくなるのかな?」


 なんやかんやで僕の手料理を水沢先生に食べさせる場面というのは結構ある。とは言っても今日を入れて3回くらいかな?でも、水沢先生の手料理を食べた事なんて1回もない。僕の方も手料理って言っていいのかわからないけど


「ダメだダメだ!水沢先生とは付き合ってすらいないんだぞ!それなのに結婚とか、何を考えているんだ!?僕は!」


 昨日もそうだけど、僕は変だ。授業中に慣れない事をしたからか?それとも、水沢先生への好意を自覚してしまったからなのか……それはわからないけど


「朝食を作る前に顔を洗ってこよう」


 朝食を作る前に顔を洗ってくる方が先だと思い洗面所に向かう。本当に昨日、今日の僕はどうかしている。


「はぁ、僕はどうしてしまったんだ?」


 顔を洗い、鏡で自分の顔を見る。そして、自分に問いかける。昨日といい、今日といい変だ。僕は水沢先生に少なからず好意を抱いている。だけど、家に誘うほどなのかな?いくらなんでもやり過ぎだ。第三者からそう思われても仕方ない


「意外と僕は好きな人に対しては依存体質なのかもしれない。それとも、今まで好きな人ができなかった反動なのかな?まぁ、どっちでもいいか」


 どうして水沢先生を家へ誘ったかはわからないし、僕が依存体質なのか、今まで好きな人ができなかった反動なのかはどっちでもいい。だけど、1つだけはっきりしている事は水沢葵衣という女性を悲しませたりしたくないって事。ただそれだけだった


「考えても仕方ないし、さっさと朝食を作りますか」


 自分がどうして水沢先生を家に誘ったか、どうして恋愛対象が大嫌いな教育実習生なのかなんて後から考えればいい事で今は水沢先生の研究授業と教育実習が無事に終わるかどうかを考えればいい。僕にとっても教育実習生なんて早くいなくなってくれるに越した事はない


「それにしてもよく寝るね。この2人は」


 洗面所から戻り様子を真理姉さんと水沢先生の様子を確認してみたらまだ寝ていた。本当によく寝る人達だと思うし、羨ましくなることもある


「朝食ができあがって呼ぶときまでには起きていてよね」


 無理に起こす事もないだろうと思い、その場を立ち去る。


「さて、味噌汁はできたし、ご飯は───炊き上がってるね。あとは2人を起こすだけだけど……」


 真理姉さんと水沢先生。寝相こそ悪くないけど、寝起きがいろいろな意味で悪い。真理姉さんは起こそうとする僕を自分の方へと引きずり込むし、水沢先生は寝ぼけてキスをしようとする。この話はまた今度にして、今は2人を起こすところから始めないとね


「真理姉さん、水沢先生。朝食の用意ができましたよ。起きてください」


 いきなり掛布団を引き剥がす事はしない。それは声を掛けて起きなかった場合にするようにしている。で、声を掛けたんだけど─────────


「「すぴ~」」


 起きる気配なし。この2人は起こしてくれる人がいなくなったらどうするんだろう?


「はぁ……仕方ない」


 声を掛けただけで起きるとは思ってなかったけど、本当に起きないとは……


「ほら!起きてください!」


 僕は掛布団を引き剥がす。埃が舞うからしたくないけど、起きないのなら仕方ない


「「すぴ~」」


 これでも起きないとは……冬じゃないからこれで起きないのは仕方ないけど、もっと別の反応をしてもよくない?


「掛布団を引き剥がしただけじゃ起きないのは仕方ない。まだ冬じゃないし。こうなったら最終手段を使うしかないか……」


 できればしたくない。僕は心の底からそう思う。真理姉さんと水沢先生が生粋のドMならいいけど、彼女達にそんな性癖があるとは聞いた事がないし、そもそも、他人の性癖を聞く趣味は僕にはない。


「デートDVか脅迫みたいになって嫌なんだけど……このまま起きなきゃ朝食を食べることなく学校に行く羽目になる。仕方ないか」


 仕方なくあの手を使う。本当はあの手を使わなくても声を掛けた時点でとは言わないけど、掛布団を剥ぎ取った時点で起きてほしい


「真理姉さんと水沢先生の世話するの疲れたから僕は学校を辞めてこの家から出て行くね」

「「ダメ!!」」


 先程まで呑気に寝ていた人間とは思えない程の動きを見せた真理姉さんと水沢先生。と言っても、勢いよく起き上がっただけなんだけどね


「おはよう。2人とも。朝食ができているから早く済ませてね」


 僕は用件だけ伝えてキッチンに戻り、ご飯をリビングに運ぶ。さっきは早く済ませろだなんて言ったけど、実際は朝食をリビングに運び終えてすらいない


「あれ?光晃、朝ごはんは?」


 テーブルに着いたであろう真理姉さんから声が掛かる。テーブルに着いたはいいけど目の前に朝食がない事について疑問に思ったんだろう


「今から運ぶ」


 僕は今から運ぶ事を隠すことなく真理姉さんに伝える。朝食をテーブルに運び終えてから起こしたんじゃ埃が付くかもしれないし


「え?じゃあ、私達は何のために起こされたの?」


 水沢先生の疑問は正しい。何のために起こされたか?そんなの決まっている朝食を冷めないうちに食べてもらうためだ


「朝食を運び終えてから起こすんじゃ時間が掛かるんで先に起こしたんですよ」

「あ、そうか!」


 水沢先生が僕の言葉に納得したように手をポンと叩く。何に納得したかは知らないけど、文句を言われなくてよかった


「光晃、今日の朝食は何?」

「味噌汁とご飯とお浸し」


 真理姉さんの質問に僕は味噌汁をよそいながら答える。僕的には朝食はこれでいいけど、真理姉さんと水沢先生には物足りなかったかな?


「そっか」

「何?物足りなかった?」

「いや、そんな事はないよ」


 よかった。真理姉さんが満足してくれて。さて、水沢先生の方はどうかな?


「水沢先生は物足りないとかありますか?」

「ううん、私も大満足だよ!」

「そうですか、よかったです」


 水沢先生も満足してくれてよかった。この場にいる全員、まだ食べてすらいないけどね


「さて、全部揃ったところで」

「「「いただきます!」」」


 全員揃っての朝食。こういう時は平和だと思うけど、忘れちゃいけない事が1つだけある。それは水沢先生の研究授業。研究授業は僕達のクラスだろうけど、その前に練習として別のクラスで授業がある。忘れがちになるけど、昨日のは終業時間前の10分を使ったミニ授業みたいなものだ。だけど、今日のは違う。1時間丸々使った授業だ。別のクラスでやるのは本番に向けた練習でその後、本命のクラスでの授業がある


「真理姉さん」

「ん?何?」

「水沢先生の研究授業ってどこのクラスでやるの?」


 僕は教育実習のシステムをある程度は把握しているけど、研究授業の事は把握していない。いや、把握できない。研究授業はその学校によっていつやるか?とか、どこのクラスでやるか?とかは違うし、昨日のミニ授業だってやる学校とやらない学校があるかもしれないし


「光晃のクラスだけど?」


 僕のクラスか……教育実習生が来るって聞いた時にも頭の片隅では考えていた事だけど、いざ当日になると強く思う。めんどくさいって


「あ、そう」


 僕はめんどくさいと思っている事を悟られないように短く返した。できれば何も起こらないでほしいけど……


「光晃君」

「何ですか?水沢先生?」


 水沢先生が不安そうに僕を見る。今から緊張してるのかな?まだ学校にすら行ってないのに?


「私の授業サボらないでね?」


 なんだ、そっちか。去年までの僕だったら確実にサボっていたけど、今回は違う。指導案作成とか手伝ったし、水沢先生の研究授業が上手くいくか見届ける為にもサボらない


「心配しなくてもサボりませんよ」

「よかった……」


 僕の返事を聞いて安堵の言葉を口にする水沢先生。本音を言うならサボりたい。通常の授業だって面倒だけど、研究授業となると更に面倒だ。特に後ろで教師連中が見ている事が


「今日は面白いオモチャが来そうな予感もするしね」

「ん?何か言った?」

「いや、何でもありませんよ?」


 僕とした事がつい本音が出てしまった。幸い水沢先生は誤魔化せたみたいだけど。今日は北南大学から面白い巡回指導(オモチャ)が来そうな予感がする。そう、北南高校の教師よりも張り合いがありそうなオモチャがね


「そう?ならいいけど?」

「…………」


 僕が大学から来る巡回指導の担当をオモチャにして遊ぼうだなんて考えている事を微塵も予測してない様子の水沢先生と僕が何かをしでかすんじゃないか?と疑いの眼差しを向ける真理姉さん。


「さて、歯磨きでもしてこうよう。あ、食器は流しに出しておいてね」


 僕は言う事を言って洗面所に向かう。真理姉さんには完全に疑われてるなぁ……僕が何をするかを


「光晃、少しいい?」


 僕が洗面所に入ってすぐに真理姉さんが入ってきた。ん?何だろう?僕に釘でも刺しにきたのかな?


「何?僕は今から歯を磨くんだけど?」


 できれば手短に済ませてほしいけど、真理姉さんのただならぬ雰囲気から察するに手短には済まなさそう


「時間は取らせないよ。私も出勤しなければならないからね」


 時間は取らせないとか、すぐ終わるとかいう人間の話は長くなるって相場が決まっているんだよ。真理姉さん


「そう。じゃあ、手短に済ませて」


 手短に済むとは思ってないけどね。真理姉さんにも時間がないようだから話を始めるように促がす


「水沢先生が北南大学から来た事は光晃も知っているよね?」

「そりゃ、自己紹介の時に聞いたからね。それがどうかした?」

「いや、それは別にいいんだよ。じゃあ、北南高校と北南大学が同じ北南グループ系列の学校だって事は知ってる?」


 真理姉さんの質問は要領を得ないけど、北南大学と北南高校。何となく関係はあるのかなとは思っていたけど同じグループだって事は今知った


「何となく関係があるのかな?とは思っていたけど、同じグループだって事は今知ったよ。それがどうかしたの?それだけなら別に2人きりで話す事でもないでしょ」

「いや、それはそうなんだけどさ……」


 北南高校と北南大学が同じグループだって話は別に水沢先生がいる前でもできる。わざわざ2人きりで話す事……1つは水沢先生本人に関わる事。もう1つは水沢先生の巡回指導員に関係する事だけど……


「何?水沢先生の巡回指導員の人でも潰せばいいの?」

「─────!?」


 真理姉さんの体がビクッと跳ねた。どうやら当たりみたいだね。でも、どうして?


「どうして僕にそんな事を頼むのかな?」

「実は水沢先生の巡回指導の先生はセクハラとパワハラで有名な先生なんだ。それこそ、北南高校の先生だって何人もその被害にあっている」

「そう。で?どうして僕がその人を潰す事になるの?」


 僕に高校の教師を助ける義務もなければ義理もないし、助けたいと思う人間は北南高校の教師連中にはいない。セクハラ?勝手に受けてろ。パワハラ?そんな事知るか

今回は光晃達の起床から学校の用意をするまででした

朝から厄介な事を頼む真理。さて、光晃はどうするんでしょうか?

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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