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僕は授業中に居眠りをする

今回は光晃が登校してから1時間目が終わった後の休みまでの話です

通常ではありませんが、光晃への罰として教師が指導するところを光晃が手伝うという事にしております

作中に出てくる指導案をザックリと説明すると、葵衣の場合は授業の日時とクラスの人数、その時間にやる勉強の内容等を書いた計画書と思って頂ければ幸いです。

教材研究は授業で使える資料等を他の書籍等で探す事だと思っていただければ幸いです


では、どうぞ

 教育実習生が来て今日で2日目。同時に教育実習生のサポートが決定して2日目でもある。関係あってもなくても僕にとっては迷惑だ。できれば何事もなく終わってほしい


「何だかんだ言っても学校に来ないと単位がもらえないから来るんだけど……」


 学校に来るのは仕方ない。公欠じゃない限りは来なければいけない。教育実習生と関わりたくないから休むなんて事にはならない。そして、憂鬱になりながらも登校している僕の隣りにいるのは──────


「岩崎君!おはよう!」


 水沢先生だ。はぁ、教育実習生に関わりたくない。今日こそ関わらないと意気込んでいた矢先にこれだ。勘弁してほしい


「おはようございます。それでは」


 僕は水沢先生と並んで歩きたくないので、逃げるように歩くスピードを上げた


「あ、待ってよ!」


 歩くスピードを上げた僕を追いかけてくる水沢先生。本当に勘弁してほしい。教師ですら関わるのが嫌なのに、僕達生徒に比較的近い位置にいる教育実習生。僕からしてみれば迷惑だ


「ふぎゃ!」


 場所は違えど水沢先生が盛大に転んだ。幸いなのが今日はスカートじゃないってところだけだ。はぁ……このまま無視してもいいんだけど────


「大丈夫ですか?水沢先生」


 周囲の目があるから無視ができるわけがない。登校している生徒は少ないが、現状で既に周囲からの視線が僕に突き刺さる


「う、うん……」


 はぁ、部活もない僕は本来なら朝早く登校する必要はないが、教育実習生のサポートという罰がある為、僕は朝早くに登校しなければならない


「ほら、砂ほろって」

「うん」


 これじゃどっちが大人かわからない。世話が焼ける……


「大丈夫ですか?」

「うん、大丈夫だよ」


 こんな調子で大丈夫か?僕の心配する事じゃないが、この人はちゃんと指導案とか作っているんだろうか?


「じゃあ、僕はここで」


 校門に着いた僕と水沢先生は一旦、ここで別れる。僕は生徒用玄関、水沢先生は職員用玄関に向かう


「うん、また後でね」


 いや、僕は教室で先生は職員室ですよ?後でも何も授業以外は僕とは会いませんよ


「朝から疲れる……」


 靴を履き替えて教室に向かう。職員の打ち合わせで少なくとも30分は掛かるだろう。その間に逃走すれば1日は見つからないだろ


「おはよう、岩崎」


 玄関から校舎内に入ったところでゴリラもとい、小谷先生に捕まってしまった


「おはようございます、小谷先生」


 無視すると面倒なので、あいさつは返しておく。僕が朝早く登校する羽目になったのはこの人のせいでもある


「うむ、今日から水沢先生のサポートしっかり頼むぞ」


 サポートって言われても具体的に何をすればいいんだ?


「サポートって言われましても具体的に何をすればいいんでしょうか?」


 昨日、サポートをしろって言われたが、具体的には何をすれば聞いてない


「全部だよ。具体的には指導案の作成や教材研究の手伝いをしてやってほしい」

「は?何を言っているんですか?高校生の僕にそんな事任せていいんですか?」


 今、小谷先生が言った指導案の作成は本来なら高校生の僕に任せていいものじゃない。現場の教師が指導するものであり、高校生のできる範囲を超えている


「光晃、君は私の従弟だ。私の教育実習時代を知っていてその様子を近くで見ていた君ならばそれくらいできると思うが?」


 やってやれない事はない。だけど、僕は教師じゃない。しかし、教育実習生のサポートが僕に与えられた罰ならば仕方ない


「僕にどこまでできるかわかりませんが、できる範囲でやってみますよ」


 指導案は真理姉さんが実習生時代に作成しているのを見ているし、真理姉さんが作っているのを見た事あるからまぁ、OKが出るかはわからないけど、作れない事はない


「頼んだぞ、光晃」


 こうして僕は本来なら教師の仕事だろっていう仕事を任されてしまった。教育実習に来るって事は教職課程を大学で履修しているはずだから指導案の作り方くらいは習っていると思うんだけどな……


「できる範囲でしかやりませんからね」


 小谷先生にできる範囲でしかやらないと念を押して教室へ向かう。


「わかっている。とにかく、頼んだぞ」


 無責任だな……教師が指導すべきところをしないで頼んだぞ。か……これも僕の教師嫌いを直すための指導の一環だって言われたらそれまでだから何も言わないけど、一言言わないと僕の気が済まない


「わかりました。これも僕の教師嫌いを直すためかは知りませんが、自分の忙しさを盾に本来すべき指導を生徒に一任する無能に代わって僕がサポートしますよ」

「ぐっ……」


 苦い顔をする小谷先生。従姉だからって容赦はしない。忙しい?忙しくて余裕がないなら教育実習生なんか受け入れるな。僕はただでさえ教育実習生に関わるのは嫌なんだ。


「貴方達教師は口癖の様に教師は忙しいって言いますけど、そんなに忙しいなら教育実習生なんか受け入れなければいいでしょ。忙しさは免罪符にはなりませんよ」


 無言で俯く小谷先生だが、僕は可哀そうだとは思わない。僕はバイトをした事はないが、飲食店の新人教育は時間帯や曜日によっては忙しい中で行われている場合だってある。僕はそんな場面を見た事があるから言えるが、忙しいは言い訳にはならない。特に教育に関してはそう思う


「用がないなら僕は行きます」


 無言のまま俯いている小谷先生を残し、僕は教室へ向かった


「はぁ、結局は教育実習生に関わらなければいけないのか」


 教室に入った僕は早速憂鬱になる。教師の雑用を押し付けられた気分だ。将来教師にだけはなりたくない


「よう!光晃!」


 ただでさえ憂鬱なのに追い打ちを掛けるかのように憂鬱にさせる声が聞こえた。この声は……


「おはよう、秀義」


 やっぱり秀義か……頼むから声のボリュームを落としてくれ


「おう!ところで、昨日の罰はどうなった?」


 どうして秀義が知っている?きっと小谷先生がしゃべったんだろうけど。あの人は口が軽いな


「誰から聞いたか知らないけど、教育実習生のサポートをする事を言い渡されたよ」


 隠してもしょうがないから素直に言ってしまおう。隠して後で知られた方が厄介だ


「なぁにぃぃぃぃぃ!?羨ましいぞぉぉぉぉ!!」

「うるさい」


 だから言いたくなかったんだよ……すぐ騒ぐし


「あ、ごめん。だが、羨ましいぞ!光晃!」


 羨ましいと思うなら代わってほしい。まぁ、無理だろうけど


「羨ましいと思うなら代わってくれないか?」

「おう!って言いたいところだが、教育実習生のサポートなんて荷が重いから嫌だ」


 知ってたよ。秀義はただ教育実習生と一緒にいたいだけでサポートまでしたいと言う奴じゃない事くらい


「知ってたよ。秀義がそういうう奴だって事くらい」

「悪いな!」


 悪いと思うなら大声で話しかけないでほしい。話しかけるなとは言わないけど、せめて声のボリュームくらい抑えてほしい


 僕が秀義を適当にあしらっているうちに担任と水沢先生が入ってきた。何度も言うけど、水沢先生とは2週間の付き合いだし、秀義と教師連中とは高校卒業までの付き合いだ。今耐えればそれでいい。それだけの話だ


「さて、1時間目の用意をするかな」


 1時間目は数学か。まぁ、この時間は水沢先生は他の教室での実習だし、僕は居眠りしてようが関係ない。そういう事でおやすみなさい


「────き!」


 うるさい。僕は眠いんだ。静かにしてくれ


「────さき!」


 しつこいなぁ、静かにしてくれって言うのが解らないのかな?


「岩崎!起きろ!」


 うるさいなぁ……こんな事なら早起きするんじゃなかった……


「ん?もう朝か?」

「もう朝か?じゃない!今は授業中だ!僕の授業はそんなにつまらないか?」


 この教師は何を当たり前の事を……居眠りをするのは苦手な科目か授業がつまらないからって相場が決まっているのを知らないな


「先生、苦手な科目でわからないから居眠りする。苦手じゃなくてもつまらないから居眠りをする。そうは思いませんか?」


 居眠りした事を開き直るわけじゃないけど、居眠りの原因を生徒だけに追及するのはおかしいと思う


「今僕が聞いているのは授業がつまらないかどうかだ!」


 生徒に聞き返されたくらいで自棄になるなんて、そこが知れてるな。この教師


「つまらないですよ。ひたすら座っているだけの授業で生徒への設問もない。せめて問題を生徒に解かせるとかして工夫してくださいよ」


 真理姉さんを見て教師が大変な仕事だっていうのはわかっているつもりだ。だけど、それとこれとは話が別だ。


「ぐっ……授業を再開する」


 これ以上反論できないと諦め、授業を再開する教師。僕に絡んでくるからだ。周囲が僕に注目していたが、授業再開の宣言と共に全員が黒板の方を向く


「バカみたいだ。学校の中で偉そうな顔をしていても無駄なのに」


 僕の意思とは関係なく時は進み、気が付けば1時間目が終わった


「さて、次の授業は社会の公民か……」


 社会科という事は水沢先生が実習でこの教室に来る。考えたくはないけど、十中八九絡まれる。多分


「はぁ……社会のある時間だけサボるか」


 教育実習生と関わりたくない。よって僕はサボる。決意した僕は教室から出た。小谷先生が心配する?そんなの知った事か


「ん?光晃?どこに行くんだ?」


 タイミング悪く秀義に声を掛けられた。こういう時にコイツは空気が読めないと思う


「トイレだよ」


 秀義を適当にやり過ごし、教室を出る。コイツのこういうところは僕は好きだ。僕の言う事を素直に聞くところがね


「サポートだけでも嫌なのに授業見学で同じ空間にいるなんて信じられない」


 僕のサボりスポットで1人愚痴る。従姉の真理姉さん、幼馴染の秀義は僕の事情を理解しているはずなのに必要以上に絡んできたりするし……


「今日は誰が来ようとも絶対に扉を開けない」


 昨日と同様に僕は社会の時間が過ぎるまでこの小屋で寝て過ごす事にした。早起きして眠いし、数学の時間に寝ていたら起こされるしで今日はいい事がない

今回は光晃が登校してから1時間目が終わった後の休みまでの話でした

通常ではありませんが、物語の都合上、教師がやる事を光晃がサポートとしてやる場合があります

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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