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僕は生徒指導室で採点を手伝わされる

今回は生徒指導室で採点を手伝わされる話です

今回の話について言う事は・・・・特にないです

ではでは

「岩崎、どうして私の授業をサボったか教えてもらおうか?」


 僕は今、生徒指導室で真理姉さんと2人きりでいる。何もない状態での2人きりならいいけど、僕は真理姉さんの授業をサボってしまったという負い目があるから状況は僕の圧倒的不利


「ちょっと海外にいる父親に電話していました」


 身内だからこそ海外にいる親に電話していたという言い訳ができるけど、他の教師ならこうはいかない


「そ、そうか、それで?どのような用件で電話を?」


 真理姉さんは明らかに動揺している。きっと僕が海外に行くという電話をしていたと勘違いしているのかもしれない


「別に?大した用件じゃないんで小谷先生には関係ないですよ」

「…………」


 関係ないと言われて涙目の真理姉さん。今回は海外行きの事で電話したわけじゃないから本当に真理姉さんには関係ない


「涙目で見つめられても今回は本当に関係ない事なんで」

「また黙って海外に行くんじゃないの?」


 教師から従姉の顔になる真理姉さんだけど、本当に海外行きの話はしてないから真理姉さんには関係ない


「行かないよ。今回は別件で電話してたんだよ」

「その内容を教えてくれない?」


 僕には黙って海外に行こうとした前科があるから真理姉さんも今回は手放しで信用できないみたいだ


「別にいいけど、本当に真理姉さんには関係ないよ?」

「関係あるかどうかは聞いてから私が決めるから」


 真理姉さんも頑固だね……今回は本当に関係ないのに。だけど、このままだと堂々巡りになりそうだから僕が折れて正直に白状しておいた方がよさそう


「秀義が海外にいる父に僕に好きな人ができた事をバラしたから確認してたんだよ」


 秀義のおかげで余計な手間が掛かったし、両親の馴れ初めを聞かされるしであんまりいい事はなかったけどね


「そ、そう、よかった」


 ホッとした真理姉さんだけど、僕の好きな人が誰なのかを聞かなくていいんだろうかと思う。真理姉さんの事だから大体はわかっているとは思う


「真理姉さんは僕が誰を好きなのか聞かなくていいの?」


 自分で言っておいてなんだけど、本当に僕は好きになる人を間違っていないかと思う


「光晃の好きな人?水沢先生じゃないの?」


 お見通しって事か……さすがは従姉で一緒に暮らしているだけの事はある


「そうだけど?真理姉さんはおかしいと思わない?教育実習生の先生を好きになる事も教育実習生が生徒を好きになる事もさ」


 生徒からしてみれば教育実習生は所詮歳は近くても教師だし、逆に教育実習生からしてみれば生徒は所詮歳は近くても生徒でしかない。つまり、教育実習生と生徒の恋愛なんて成立するわけがない


「光晃は生徒で水沢先生は教師だけど、それは社会的な肩書きでしょ?人を好きになるのに生徒だ教師だは関係ないよ。好きになってしまったんだから」


 真理姉さんが初めて教師っぽい事をしている。そんな気がした。役に立たなくても教師は教師だったという事かな


「そう。じゃあ、真理姉さんは僕を応援してくれる?」

「う、うん……」


 真理姉さんの元気がないけど、どうしたのかな?風邪?それとも、失恋でもしたかな?


「どうしたの?元気ないみたいだけど?」

「いや、光晃にもようやく好きな人ができたかと思ってね……よかった、本当によかった……」


 真理姉さん、何も泣かなくてもいいんじゃないかな?僕だって人並みに恋をするんだし


「何も泣く事はないでしょ」

「だって、光晃は今のまま進むと一生独身だと思っていたし……」


 真理姉さん、それじゃ親戚のおばさんだよ……


「さすがに僕だって人間なんだから恋くらいするよ」

「光晃は恋とかそういうのとは無縁だと思っていた」


 我が従姉ながら失礼な人だなぁ……僕だって恋とかする。今までは好きになれる人がいなかっただけで僕にだって恋愛感情というものくらいはある


「今までは好きになれる人がいなかっただけで僕にだって恋愛感情くらいはあるし、人を好きになる事だってあるよ」

「そっか、光晃もちゃんと男の子だったんだ」


 ちゃんと男の子だという意味はわからないけど、恋愛感情がある事を理解してもらえて何より


「まぁね。で、そろそろ教室に戻りたいんだけど?」


 サボった理由と電話の内容を話したから教室に戻りたい。本音を言えば生徒指導室にいたくない


「戻ってもいいけど、もう授業始まってるよ?」


 真理姉さんが時計を指差し、僕が時間を確認すると授業はとっくに開始されていた。しまった、電話の内容と後半の世間話で時間を取られすぎた


「じゃあ、授業が終わるまでここにいる」

「遅れてでも授業に出るっていう選択肢はないんだ……」


 呆れた様子の真理姉さん。遅れてでも授業に出る?北南高校以外の学校ならそうするけど、北南高校は別。遅れて授業に出たら先生と話していて遅れましたって言っても信用してもらえないし、憂さ晴らしにどんな罰を与えられたものかわかったもんじゃない。北南高校において僕に遅れてでも授業に参加するという選択はない


「この学校の教師は信用ならない。遅れて教室に戻ったら何を言われるかわからないからここで時間を潰すんだよ」


 本当にこの学校の教師も教育実習生も自分が偉いと思い込んでいる人間が多くて困る


「じゃあ、私もここで過ごす。けど、その前に職員室に行ってパソコン取ってくる」

「行ってらっしゃい」


 真理姉さんは職員室に行くため、一旦退出する。その間僕はやる事がないけど、どうしよう……今あるのはスマホくらいで教科書の類は全て教室の中だ。


「スマホでゲームしているのもいいけど、バッテリーが……仕方ないから寝て過ごすかな」


 ゲームしてバッテリーを消費するより寝ていた方がいい。真理姉さんが戻ってきて起こされるだろうし、寝て過ごしているかな


「起きて光晃」

「起きてるよ」


 戻ってきた真理姉さんは目を閉じている僕を見て寝ていると思っていたようだけど、僕は寝ていない。目を閉じていただけ。


「そうならいいけど、今は授業中だよ?間違っても寝ないようにしてね」


 寝ないように釘を刺す真理姉さん。寝たらダメだって事はスマホでゲームしていてもいいって事になる。僕の中では


「じゃあ、ゲームしてるから」


 僕はスマホを取り出し、ゲームを起動させる。寝てたらいけないけど、スマホでゲームするのには問題ないはず


「ゲームもダメ!」

「じゃあ、僕は何をして過ごしていればいいの?カバンは教室の中だから自習もできないよ?」


 寝たらダメ、ゲームもダメでカバンは教室の中。自習しようにも道具がないならできない。ただ何もせずに黙っている事や暇な時間を持て余す事ほど苦痛なものはない


「私の仕事を手伝うっていうのは?」

「それじゃ真理姉さんの為にならないでしょ?それに、教師や実習生に歯向かう僕に仕事を手伝わせるなんて教師の威厳に関わるんじゃないの?」


 僕に教師の仕事を手伝わせるだなんて今まで以上に反抗してくださいって言っているようなものだけど……ま、教育実習生が1人でやるべき事や教師がすべき事を僕にやらせている時点で威厳なんてないけど


「そ、それはそうだけど……」

「そうだけど何?」

「私達教師も忙しいし……」


 出た。二言目には忙しいだよ……本当に教師って忙しいって言葉好きだよね


「はいはい、本当に忙しい人間は忙しいって言う暇なんてないですからね」


 僕は教師の言い訳を咎めるのを諦め、軽くいなす。教師の忙しいアピールはもう飽きたし、これ以上みっともない言い訳をされるのも哀れに思えてくる


「うぐっ!」


 真理姉さんの心に10のダメージと言ったところかな?どうでもいいけど、真理姉さんは仕事しなくていいのかな?


「ダメージを受けるくらいなら最初から忙しいだなんて言わない方がいいよ」

「うん……」


 教師って学力は高いって意味では頭がいいけど、別の意味で頭が悪いと改めて実感する。


「これ以上言っても始まらないんで、言いません。ですが、僕は何を手伝ったらいいかだけ教えてください」


 言っても無駄な事は言わないけど、僕が手伝う事だけ教えてもらいたい


「じゃあ、採点をお願いできる?」

「わかりました」


 僕はテストの答案とテストの回答を受け取る。本当にこの学校の教師は給料分の仕事をしているのか不安になるけど、僕が生活できているのは目の前にいる真理姉さんの給料のおかげでもあるから強くは言えない


「それじゃあお願いね?」


 僕の前にドッサリとテストが置かれる。このテストの束は何クラス分あるんだろう?


「ま、真理姉さん、1つ聞いていいかな?」

「ん?何?」

「このテストって何クラス分あるの?」

「学年分」


 何クラス分あるの?って聞いて学年分っていう回答が帰ってきた時点で僕は察した。全クラス分だと。学年は……3年のか


「これを僕が1人で採点しなきゃいけないの?」

「そうだけど?私は普段、これを1人でやっているんだし、光晃が教師に辛辣な意見を言うならできるよね?」


 できない事はない。だけど、在学中の生徒の人数が意外と多い事にビックリしている


「できるけど、これっていつまで?」

「今日の放課後」


 これを1時間でできるかどうか……僕ならできるけど


「了解」


 僕は早速作業に取り掛かる。コメントを書くわけじゃないし、○か×かをつけて採点するだけだから簡単だし、すぐ終わる。配点も書いてあるし比較的楽だ。楽だけど僕が採点していいのかどうかは知らないけど


「終わった?」


 最後の答案を採点していると真理姉さんが声を掛けてきた。終わったけど、僕の手は腱鞘炎になるんじゃないか?っていうくらい手は激痛に襲われている


「終わりましたよ」


 採点し終わった答案を真理姉さんに渡して生徒指導室を後にする。今日の僕はまともに授業を受けずにいた。した事と言えば秀義が不穏な事を言われたのでその確認に父に電話したのと真理姉さんの手伝いで採点した事くらい。こうして僕の1日は過ぎていくけど、水沢先生の実習10日目が終了を意味していた

今回は生徒指導室で採点を手伝わされる話です

葵衣の実習も残り4日となりました

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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