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僕は両親の意外な馴れ初めを聞く

今回は光晃の両親の意外な馴れ初めの話です

光晃の父は何を語るのか?

葵衣の実習も気が付けば後4日・・・・

では、どうぞ

「ようやく1時間目が終了か……」


 秀義との割とガチな恋バナを終え、HRも無事に終了した。何かあるHRっていうのもおかしい事だけど、教育実習が始まってから教師や実習生が問題を起こした数が多かった。教師はともかく、実習生が問題を起こす事はどうかと思う。異性関係なら理解できなくもないけど、暴力沙汰はちょっと……


「光晃が寝ないで授業を受けてるなんて明日は雨か!?」


 今日はやけに突っかかってくる秀義。あれかな?僕に八つ当たりでもしたいのかな?どちらにしても迷惑なんだけどね


「秀義は僕に喧嘩を売りたいのかな?」

「いや、俺は嬉しいんだよ。光晃が人並みに恋をしている事がな!」

「君は僕の父親か?僕だって恋くらいするよ」


 本当に失礼な奴だよ。僕を何だと思っていたのやら……


「そうだな!それを光晃の父親に話したら大喜びしていたぞ!」


 ん?今、聞き捨てならない言葉が聞こえたけど?僕の父親?は?どうして秀義が僕の父親と話をする事になるのかな?


「どうして秀義が僕の父と話をする事になるのかな?」

「いや、俺の母親がお前の親父さんの番号知ってたから教えてもらった。それだけだが?何か問題でもあったか?」


 問題だらけなんだけど?どうして僕の父親と秀義が話をする事になるのか僕としては理解不能なんだけど?秀義に聞いても埒が明かないから直接父親に聞いてみるかな


「僕は電話してくるから2時間目サボる」

「お、おう!」


 秀義に授業をサボる事を伝え、教室を出る。どんな話をしたかは父親に聞くのが1番早い。


「さて、僕が知らないところで何を話していたかを教えてもらおうかな?」


 サボりスポットに来るのも久しぶりのような気がする。最近の僕は授業に出ていたからここに来るのが久しぶりに感じるだけ。きっとそう


「もしもし」

『何だ?光晃?』


 僕の父親は暇なのかな?電話を掛けたらワンコールで出るなんて暇に違いない。この人はいつ働いてるんだろう?


「秀義と何を話していたかを教えてもらおうと思って電話したんだけど」

『秀義君と何を話していたか?光晃に好きな人ができた事を話していただけだが?それがどうかしたか?』


 “どうかしたか?”じゃないよ。どうして僕の知らないところで僕の恋愛関係の話をしているのかな?


「どうかしたかじゃないよ。どうして僕が知らないところで僕の恋愛の話をしているのかな?」

『お前が高校生にもなって恋の1つもしないからだ。聞いた話だと教育実習生の先生に告白紛いの事をされて返事は保留にしているらしいじゃないか』


 当たり前だ。教育実習の最中に恋人同士になって学校にバレたら問題になるし、バレなくても無意識のうちに贔屓されて他の生徒に感づかれても困る。好きになるなとは言わないけど、実習中に恋人同士になるのは何としても避けたい


「当たり前だよ。実習中に恋人同士になって学校にバレたら面倒だし、学校にバレなくても無意識に贔屓されてそこからバレないとも限らない。それを回避するためにはこうするしかないってわかってるでしょ」


 僕の言っている事は何か間違っているかな?自分が全て正しいとは言わないけど、水沢先生の教育実習が無事に終わる為にはこうするしかないという事は僕でも理解できる


『それはそうだが……仕方ない。父さんと母さんの馴れ初めを話してやろう』

「別に知りたくはないんだけど?今更自分達の馴れ初めを話して僕に何を伝えたいの?」


 両親の馴れ初めを話されても困る。幼い頃だったらいいなとは思うけど、高校生になって両親の馴れ初めを聞かされても気持ち悪いだけで何とも思わない


『そう言わずに聞け』

「気持ち悪いだけだけど、一応は聞いておくよ」


 両親の馴れ初めなんて聞きたくはないけど、仕方ないから聞く。これで体調を崩したら早退しよう


『気持ち悪いとは酷いな……』

「そう思うなら電話を切るよ?」


 酷いと思うなら話さないでほしい。だけど、僕の父親は無意味な事をする人じゃない。僕に自分達の馴れ初めを話すのには何か意味がある


『ごめん。お願いだから電話を切らないで』

「はぁ……わかったから情けない声で謝らないで」


 僕も将来結婚して子供が生まれたらこうなるのかな?そう思うと自分の将来は絶望的なものだ……


『そ、そうか……話は反れたが、父さんと母さんが出会ったのは高校の頃だったんだ』

「そう。それで?それがどうかしたの?」


 高校の頃に出会ってそのまま結婚しただなんていう話はよくある話だから珍しくも何ともない。高校の頃の先輩・後輩とかでも驚くところはないしね。


『高校で俺は母さんと出会ったわけだが、その頃の俺は高校生だったんだ』

「それ当たり前だよね?出会ったのは高校なんだから」


 当たり前の事を言ってのける我が父。高校で出会ったんだから高校生なのは当たり前の事だけど、それがどうかしたのかな?


『俺は高校生だったんだが、母さんは教育実習生として俺の通っている高校に来た。この意味が理解できるか?』


 理解するも何も今の僕の状況とほぼ同じだ。問題はどちらから告白してきたか?そこがポイントとなる


「理解するも何も僕の今の状況ほぼ同じなんだけど……」

『そうだな。光晃の今の状況と同じだ。しかし、光晃と違うのは俺は母さんの実習中に付き合った。それだけだ』


 僕は実習中に付き合う事はしなかったけど、父は母さんの実習中に付き合った。バレたらどうするつもりだった?とか聞きたい事はいろいろある。だけど、結婚して僕が生まれている以上は聞く事はない


「そう。随分とバカな選択をしたね。学校にバレたらとか、他の生徒に感づかれたら?とか考えないで」

『そうだな。今思い起こしてもバカだったと思う。だがな、光晃。恋愛って頭で考えてるよりもずっと単純なんだよ。告白してきた相手が教育実習生だから今は付き合えないって言うのは単なる言い訳じゃないのか?』


 僕だって同級生だったら返事を先延ばしにするなんて事をしない。だけど、告白してきた相手が教育実習生や教師等の恋人同士になっても手放しで祝福されない相手なら別の話になる


「そうだね。相手が教育実習生だから付き合えないって言うのは単なる言い訳だけど、周囲に関係がバレたら教育実習生の今までの努力が水の泡になるって理解してない人間だからそんな事が言えるんだよ。もっとも、実習中に教育実習生と恋人同士になった人に言っても理解されないだろうけどね」

『それを言われると俺としては返す言葉もないな。けどな、光晃。人を好きになる事は自由だ。それだけは覚えておいてくれ』


 要するに身分の差はあれど人を好きになるだけなら自由だって事を言いたいらしいけど、それを伝える仮定で自分の馴れ初めを話す意味がどこにあるんだろう?


「そう。もう切るよ?」

『ああ、お前も頑張れよ?』

「うん、頑張るよ」


 何を頑張ったらいいかは知らないけど、とりあえず頑張ると言って電話を切った。それにしても、意外だったのは両親の馴れ初めだった。父が生徒で母が教育実習生だったという事。今の僕の状況と似ている部分があるけど、両親の場合は実習期間中に恋人同士になったという事。実習何日目で父と母のどちらから告白したかはわからないけどね。だけど、1つ言えるのは両親は実習期間中に恋人同士になったけど、僕はそんな危ない橋は渡らない


「煮え切らない気持ちを抱えさせるのは申し訳ないけど水沢先生の実習を無事に成功させる為だからね。もう少し我慢してもらうとしよう」


 水沢先生にすぐ返事を言うのは簡単だけど、それじゃ学校にバレた時に言い訳ができない。実習が終わってから付き合う事が決していい事ではないとは思うけど、実習中に付き合うよりかはマシだと思う。主に学校にバレた時の対処が。実習中は教育実習生とは言っても教師だからバレたら大変だけど、実習が終わってしまえばただの女子大生。女子大生と生徒のプライベートな事にまで口出ししてくる学校はないと思う


「実習生の中には終わった後しつこく連絡して嫌がられる事があるみたいだけど、連絡をされた生徒が嫌じゃなく学校に言わなければ何も問題はない。僕自身、教師や教育実習生は嫌だけど水沢葵衣という女性は嫌いじゃないしね」


 僕の両親は出会った当初、生徒と教育実習生だったみたいだけど、それは生徒である父が当時実習生だった母からの連絡を実習終了後にもらっても嫌じゃないから今の状態があり、僕が生まれた。要するに嫌かどうかの問題で嫌だったら学校に言えばいい。そうじゃなかったら学校に言わずに付き合い続ける


「恋愛って意外と単純なのかもしれないね」


 電話が済み、1人で考えていても時間の無駄なので教室へ戻る。ちょうどいいタイミングで終業のチャイムも鳴った事だし、教師は授業が終われば早々と職員室に戻って行くから咎められる事もない


「げっ!2時間目は社会科だったか……」


 授業が終わり教師が出て行ったタイミングを見計らって教室に戻ったけど、クラスメートがカバンに戻している教科書を見て僕は2時間目の授業が社会科であった事を思い出した。社会科って事は教科担当は真理姉さん


「見つかったらなんて言われるか……」

「そうだな。覚悟はできてるかな?岩崎」


 背後から聞こえる声は間違いなく真理姉さんのもの。そして僕の本能が“振り向くな”と告げている。そして、“この場から早く逃げろ”とも告げているけど、身体が動かない。まるで金縛りにあったみたいに


「ボク イワサキ チガウヨ?」


 なぜかカタコトになる僕。真理姉さんの授業をサボるのは何回目になるのかな?きっと真理姉さんは授業をサボった事を怒っているに違いない


「ほう、君が岩崎じゃなかったら誰なのか教えてほしいんだけど?生徒指導室まで来てもらえるかな?」


 変に誤魔化したせいで僕の生徒指導室行きが決定してしまった。サボったのは僕だから甘んじて生徒指導室に連行されましょう


「わ、わかりました」

「うん、素直でよろしい」


 僕は3時間目を生徒指導室で過ごす事になってしまった。授業をサボれた事を喜ぶべきか、生徒指導室で真理姉さんと2人きりで過ごす地獄を悲しむべきなのか……今の僕にはどっちがいいかはわからない


今回は光晃の両親の意外な馴れ初めの話でした

意外な事に光晃の両親は父が生徒で母が教育実習生でした

葵衣の実習も後4日ですが、その前に葵衣には授業をするという一大イベントがあります

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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