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僕は実習生の手伝いを終わらせた

今回は光晃が美咲の手伝いを終わらせる話です

学校の至らなさも同時に追求しますが……

では、どうぞ

「お、終わった……」


 どうして僕が教師の代わりに教育実習生の指導案作成を手伝わなければいけないんだと思いつつも何とか授業時間内に指導案は作り終わった。


「お、終わったね……」


 僕と同じようにグッタリしている羽山先生。今回だけはお疲れ様でした。と言ってあげたいけど、これだけじゃ終わらない。まだ教材研究が残っている


「2人ともお疲れ様」


 真理姉さんが人数分のマグカップを持って現れた。労いの言葉をかけるくらいなら自分が羽山先生の指導をしたらどうなんだと思う。思っても言わないのは教師の言い訳は聞き飽きたから言わないだけ。ただそれだけ


「2人ともお疲れ~」


 水沢先生も真理姉さんと同じように労いの言葉をかけてくれるけど、水沢先生の指導案も僕が手伝ったのは忘れてないよね?


「水沢先生はともかく、小谷先生は羽山先生の指導案の添削が残ってますよ?」


 嫌味じゃないけど、真理姉さんの担当は社会科の公民だし、羽山先生の教科指導がいないのなら真理姉さんが添削するのが手っ取り早い


「え?いいのかな?私が添削しても」

「いいも何も羽山先生の担当が病欠で本来ならすぐに同じ教科担当で代わりの担当を決めなきゃいけなかったのに今までそれをせずに羽山先生を放置してたのは一体どこのどなた達でしたか?」


 ここまで言われて教師は忙しいとか言ったら僕は本当に海外の両親のところへ行こう。教師の仕事を少しでも減らそうとする僕って優しい


「それを言われると反論できない……」

「そりゃそうでしょうね。僕は教師の常套句である忙しいって言い訳を潰しに行ってますから」


 仕事しない教師が忙しいって言っても説得力はない。教師の忙しいって何?教師の忙しいっていうのはテストの採点とか無駄なプリント作成とかでしょ?


「ま、まぁまぁ、岩崎君も落ち着いて!」


 不穏な空気を察したのか、水沢先生が止めに入った。へぇ、この人も意外と空気読めるんだ。ただのドジとアホのハイブリットじゃなかったのか


「そうですね。ここで教師イジメをしても面白くも何ともないし、落ち着きますか。小谷先生は指導案の添削よろしくお願いします」

「わ、わかった」


 真理姉さんは僕と言い争いを続けたら何を言うか理解しているのか、それ以上は何も言わなかった


「さて、僕達は添削していただいてる間に教材研究でもしてましょうか」


 教材研究をすると言ってもネットでいろいろ調べるくらいしかできないけど、公民で法律関係の授業をするなら教師に相談するよりもネットの弁護士ブログや授業内容に関連した事件と弁護士の見解を見た方が早い。ネットだから当然、本当の事半分、嘘が半分と言ったところだけど


「で、でも、ここには法律関係の本なんてないし……」


 羽山先生……仮にも大学4年ならインターネットくらいした事あるでしょうに……


「本来は本も読んだ方がいいんでしょうけど、時間がないので一通りの知識はネットから仕入れて情報を整理しましょう」


 真理姉さんがいる手前、あんな事を言ったけど本音は1人の実習生を今の今まで担当の後任を決めずに放置してきた教師の何を信用したらいい?僕が羽山先生の立場なら何も信用できない。言い方を変えると北南高校の教師の意見はないも同然だという事だ


「そ、それっていいのかな?」

「そ、そうだよ、一応は本も読まないと!」


 羽山先生と水沢先生の言う通りだけど、この2人は状況を理解していないみたいだね。時間があるなら本を読む事もできた。それに、今時の本は紙の本だけじゃない。電子書籍がある今は本=紙とは限らない


「先生方は今の状況を理解できていないみたいなので言いますが、研究授業まであまり時間がありません。それは理解してますよね?」


 本を読まなきゃいけないとかそんな事をこの状況で言ってる場合じゃない。時間がないのでネットの情報を仕入れてそれを厳選する他ない


「そ、それは理解してるけど……」


 羽山先生は不安そうにしているけど、その不安って教師に後で文句を言われるんじゃないか?っていうものなのかな?そんなの指導しきれなかった学校に非があって羽山先生に非があるわけじゃない


「羽山先生は教師にバレたら文句を言われるんじゃないか?なんて不安を抱えているようですが、羽山先生は何も気にしなくて大丈夫ですよ?」

「それはどうしてかな?岩崎君?」


 水沢先生……その質問は冗談ですよね?水沢先生の担当が真理姉さんだし、真理姉さんは病気で入院したとかじゃないから気持ちは理解できないとは思うけど


「何でもそうですけど投げ出した人間に文句を言う資格があると思いますか?教育実習生を受け入れた以上は実習最後まで指導しなきゃいけないんじゃないかと僕は思うわけですよ。それが忙しくて後任を決められずに教育実習生を放置してました。だなんて大学に言ったり、ネットに書き込んだら世間は何て言うと思います?」


 この学校の教師は指導と言うのにはあまりにもお粗末で口がダメなら暴力や権力に訴えるだけの能無し集団だと思う。生徒を力で屈指させようするのもそうだけど、指導力のなさは教育実習生にまで及んでいたとは


「それは……いい加減な学校だなと」


 水沢先生の思う事は合ってるし、間違ってない。だけど、他にも思う事はあるはずだよ?水沢先生


「間違ってはいないと思います。ですが、北南高校を受験しようとしている中学生の保護者や中学校の教師の立場から考えてみてください。あ、先生達の大学の後輩の立場でも構いませんよ」


 北南高校受験を考えている保護者やその生徒が通っている中学校の教師、来年この学校で教育実習を考えている学生の立場から考えると答えは見えてくる


「し、指導力のない学校だなぁ……私ならそう考えるけど?」


 羽山先生、惜しいです。指導力のない学校なのは間違ってないけど、それはあくまでも大学生や教師の視点からのものであって保護者や生徒の意見じゃない


「惜しいです。今のは大学生や教師の意見です」


 焦らすわけじゃないけど、僕の求めている答えじゃない。さて、そろそろ答え合わせといきますか


「岩崎君、いい加減に答えを教えてくれないかな?」

「そうだよ、焦らされるのは私も好きじゃないかな……」


 水沢先生も羽山先生もここらが限界のようだし、答えを発表しますかね


「答えは指導力のない教師に自分の大切な子供を任せられない。そう考えた保護者は北南高校を受験させるのは避けます。結果、入学希望者は減ります。これはあくまでも僕個人の意見です。次に教育実習を希望する学生ですが、羽山先生の現状が大学に知られたらみんな他の学校を希望するだろうし、学生のネットワークで今の状況を知られたら学校の信用もどうなる事やら。この2つは僕が個人的に思う事ですけどね」


 水沢先生と羽山先生、真理姉さんにも言ってなかったけど、学校の口コミサイトっていうのもある。だから他の教師にこの状況がバレても大した問題にはならないけど、生徒に知られたら学校としてマズイ事になる


「岩崎、この事を黙っておくことはできないかな?」


 真理姉さん、学校の保身に走るか……勤務している人間の行動としては当たり前だけど、頼むのは僕だけじゃないでしょ?


「僕は別に黙っていようが世間に公表しようがどっちでもいいんですけど、水沢先生と羽山先生には黙っておくように言わなくていいんですか?」


 僕に言う前に水沢先生と羽山先生に言わなきゃいけない。2人の友人が同じ大学にどれだけいるかは知らないけど、1人にバレたら終わりだと思っていい


「水沢先生、羽山先生。この事は内密にお願いします!」


 真理姉さんが2人に頭を下げる。水沢先生はともかくとして羽山先生には保身より学校の不備を謝罪するべきなんじゃないの?


「はぁ~、本当にこの学校の教師はどうしようもないですね」


 ここまで腐ってると怒りを通り越して笑える。別に真理姉さんがバカだと言っているわけじゃないけど、アレかな?朱に交われば赤くなるっていうのかな?腐った教師と一緒に仕事していると最初はまともでも腐っていくのか……


「「「え……?」」」


 3人揃ってポカンとしてるけど、僕にはポカンとする意味が解らない。どうしてポカンとしてられるの?


「“え……?”じゃなくて、小谷先生は学校の至らなさを最初に謝罪するべきなんじゃないんですか?それを学校の保身を最初にするとは……腐った人間と一緒にいると小谷先生まで腐っていく事はよく解りました」


 このまま真理姉さんと一緒に暮らしていると僕まで腐っていきそうだし、家を出て行くかな……


「い、岩崎君、私は別に小谷先生に謝ってほしいわけじゃないよ?」


 羽山先生、誰に謝ってほしいとかそういう問題じゃないって事を理解しているのかな?してないだろうけどね


「羽山先生、誰が謝るとかそういう問題じゃないんですよ。今の問題は謝罪より先にどうして学校の保身を優先されたか?を言っているんです」


 この学校の名誉なんてだかが知れてる。そんな無意味なものより人として1番大事な事。謝罪が先なんじゃないのかな?


「す、すまない、羽山先生……」


 僕に指摘されて慌てて謝罪する真理姉さん。言われて謝罪するとは……この学校の教師の人間性がよく解る


「い、いえ、私は気にしていませんから……」


 本人がいいって言ってるなら僕は別にいいけどね。さて、教材研究はも真理姉さんが指導案の添削中に終わらせたし、僕はさっさと休むかな?


「教材研究も終わった事ですし、僕は少し休みます。本来なら僕が手伝う義務がない指導案を手伝ったんですし文句はありませんよね?」


 学ぶ気がない人間に勉強しろというのは酷だけど、僕は学ぶ気がないんじゃなくて指導力のない指導者に指導されても意味がない


「あ、ああ、文句はないよ。ゆっくり休むといい」


 文句を言わない辺り真理姉さんは賢い。その辺はこの学校の教師の誰よりもマシだね。


「い、岩崎君……」

「何ですか?」


 実習9日目になってもオドオドするところは変わってないか……最近見てなかったから忘れてたけど、人間そう簡単に変わるわけないか


「ほ、放課後の約束忘れてないよね?」

「忘れてませんよ?」


 水沢先生は約束を守れって催促しているわけじゃない。だけど、僕の真理姉さんへの態度を見て不安になったってところかな。僕はできない約束はしない主義だからね。水沢先生との約束は守る

今回は光晃が美咲の手伝いを終わらせる話でした

教材研究なんていつの間にしてたんだよ……光晃

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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