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僕は他人からどう思われてるかを初めて聞く

今回は9日目にして初めて3人目の教育実習生が出ます

ハッキリ言って教師や教育実習生が嫌いだったり、教師や教育実習生に興味がない生徒はどんな教師だろうが実習生だろうが覚えないものは覚えない!

では、どうぞ

「あ、なんか、すみませんでした」


 生徒指導室に呼ばれた僕は水沢先生と真理姉さんと教育実習生の女性が仁王立ちの状態で1人床に正座はさせられてないけど、椅子に座らされている。この構図は僕が悪い事をしたかのように見えると思う。現に僕は授業中に居眠りしたから悪い事をしたという部分は間違っていない


「岩崎……実習初日に授業をサボって自己紹介を聞いてなかったのは認めちゃいけないが、この際仕方ない。君が教師や教育実習生嫌いなのは私も理解している。だけどなぁ……」


 真理姉さんが視線を移した先には涙目になって水沢先生に寄り添われている教育実習生の先生がいた。今までの教育実習生は傲慢な態度で接してきたけど、僕がムカつかない、むしろ同情してしまうくらいに哀れな教育実習生は初めて見た。主に自己紹介で失敗した系の実習生は今まで見た事がない


「ううっ……せっかく頑張って自己紹介したのに……私、頑張ったのに」

「よしよし、岩崎君は私達の実習初日に授業をサボってたから仕方ないよ」


 本当に僕が悪いみたいな空気になってる。いや、授業をサボった僕が悪いんだけどさ。教育実習生と教師が大嫌いな僕でもこの時ばかりは罪悪感が生まれる。これで傲慢だったら容赦なく叩き潰せるんだけど、涙目になってて努力を台無しにされたようなものだから本当に居たたまれない


「岩崎……とりあえず謝ろう?な?」


 真理姉さんが諭すように言ってくる。言われなくても謝るよ!今回ばかりは僕が悪いからね。傲慢だったら絶対に謝らないけど、今回は謝る。いや、謝らなければならない


「あの、頑張って自己紹介して頂いたのにも関わらず実習初日に授業をサボって自己紹介を聞きそびれてすみませんでした」


 一先ず謝ってから空気を和ませてから改めて自己紹介をしてもらう。さり気なく自己紹介に持って行く事で初日に自己紹介を聞いてなかったという事実を有耶無耶にしてしまおう。傲慢な態度の教育実習生もめんどくさいけど、ドジな教育実習生や普段は強気なクセに自分の心を砕かれたらすぐに泣く教育実習生も別の意味でめんどくさいな


「岩崎君、本当に反省してる?」


 水沢先生がここぞとばかりに反省したかを聞いてきた。別に教師や教育実習生に興味ないから自己紹介されたところで僕が興味を示さなきゃ自己紹介されたところで意味はないという事を忘れてないか?水沢先生の場合は生徒指導室について来たし、罰としてサポートしろと言いつけられたから覚えただけでそうじゃなきゃ覚えなかったと僕は断言できる


「ええ、反省してます。同時にある結論が出ましたけど」

「「「結論?」」」


 真理姉さん達は僕の言う結論が何かわからないと言った感じで僕の方に視線を移してきた。言ってしまうと真理姉さんと水沢先生も泣かせてしまいそうだけど……この際だから生徒視点からの率直な意見を言ってしまおうかな?多分泣いてしまうと思うけど


「ええ、でも、言ったら皆さん泣いてしまうと思うんで言いません」


 女性3人に男性は僕1人という状況で泣かれでもしたら収集がつかなくなるから言うのを止めて生徒指導室から出る。真理姉さんはこれからも教師生活を続けるだろうし、水沢先生ともう1人の方は教師になった時に自己紹介をする機会が多くなると思う。その時になったら考えるはずだ。考えるという事は人間にのみ許されたもので、他の動物にはない行為だ。存分に考えてもらうとしよう


「待って、岩崎。結論とやらを私は是非聞きたい。もう少しいなさい」


 出て行こうとした僕を真理姉さんが引き止める。泣かれたら面倒な事になりそうだから言いたくないんだけど……これってどうしても言わなきゃダメかな?


「先生方が泣くんで絶対に嫌です」


 僕はこれを言ったら真理姉さん達が泣くのが目に見えてるので絶対に言わない。泣くとは限らないけど、少なくともこの人達がガッカリするのは目に見えている。言った方がいいのか、言わない方がいいのか……


「岩崎君、私達の事ナメ過ぎだよ。君の出した結論を聞いて泣くほど私達のメンタルは弱くないよ?」

「そうだぞ岩崎。私達のメンタルは生徒1人に何か言われたからと言って壊れるほどヤワじゃない」


 水沢先生と真理姉さんは暗に自分のメンタルはそこまで脆くないと言っているみたいだけど、果たしてそうかな? 僕は教師のメンタルを破壊したいわけじゃないけど、結構ショックな事だと思う


「そうですか?本当に聞いても後悔しませんか?」

「「「しないよ!」」」


 3人揃って後悔しないと宣言した。僕としても後悔しないなら遠慮なく言えるからいいけど……泣いたりショックを受けたりしないならいいか


「じゃあ、言わせてもらいますけど、生徒にとっては教師や教育実習生が本人からしてみれば印象深いと思っていても興味・関心がなければ教師や教育実習生の名前なんて覚えませんよ。まぁ、僕は元々教師や教育実習生に興味も関心もないんで授業にちゃんと出て自己紹介を聞いてたとしても先生の名前を覚えていたか怪しいし、水沢先生の事だって小谷先生から言われなかったら気にも留めませんでした。つまり、僕は教師や教育実習生に興味がないんで名前なんて覚える必要がないって事です」


 教師や教育実習生に興味がないので授業をサボらずに水沢先生の自己紹介だろうが、この人の自己紹介を聞いてたとして名前を覚えていたかどうかは正直怪しいところだったと思う


「じゃあ、岩崎君が授業をサボらず、私のサポートを小谷先生から言われてなければ……」

「水沢先生には申し訳ありませんが、僕は水沢先生の名前すら覚えていなかったでしょうね。基本的に絡んでくる教師や教育実習生は大嫌いですが、それ以外の教師や教育実習生には興味ありませんから」

「そんな……」


 膝から崩れ落ちる水沢先生。だけど事実だから仕方ない。僕は絡んでくる教師や教育実習生は大嫌いだけど、無害な教師や教育実習生には興味がない。水沢先生の性格上、誰かに喧嘩を売るような性格じゃないと思う。よって僕はサポートを言われなきゃきっと名前どころか存在を認識すらしてなかった


「つ、つまり私の名前を覚えられてなかったのは……」

「単純に僕の興味・関心がなかったからです」

「そんな……」


 水沢先生と同じように膝から崩れ落ちる教育実習生の女性。そんなって言われても興味がないものは仕方ない。じゃあ、どうしたらいいか?容姿に頼ってしまうのはズルいと思うけど、自分の容姿を最大限に活かして生徒にアピールする他ないと思う。女子生徒なら見た目がいい教育実習生や教師には注目するし、男子生徒なら美人や可愛い教育実習生や教師の言う事はある程度聞く。容姿に自信がないならトーク力を上げろとしか言いようがないけどね


「岩崎、もう少し言い方が……」

「小谷先生も例外じゃありませんよ?興味のない教師に構ってるほど生徒というか、僕は暇じゃなありませんので」

「そんな……」


 教育実習生2人に引き続き、真理姉さんまで膝から崩れ落ちる。仮にも教師と教育実習生なんだから1人の生徒から言われた1つの意見ごときで沈まないでほしいんだけど……しかも、声を押し殺して泣かないでよ……


「いい大人が3人揃って泣かないでくださいよ……」

「「「グスン……」」」


 いや、グスン……じゃなくてね?秀義みたいに教育実習生が来ただけではしゃぐ生徒ばかりじゃないんだよ?僕みたいに教育実習生が来るのが心底嫌だっていう生徒もいるんだし……


「だって、岩崎君……私に興味ないって」


 水沢先生、さっきした仮の話をまだ気にしていたの?仮定の話なのにそこまで沈める水沢先生って発想力豊かだな。


「いや、興味ないって言ったのは僕が水沢先生と関わってなかったらっていう仮定の話です。関わった以上、名前くらいは覚えますよ!僕にとって無害なら」

「そ、そっか……」


 この場面で顔を赤く染められても困るんだけど?というか、僕の今の発言に顔を赤く染める要素あったかな?


「今の発言のどこに赤くなる要素があるかはわかりませんが、実習生や教師が美人だから、イケメンだからといって興味を持つ生徒ばかりじゃありませんよ?」


 水沢先生がこれ以上舞い上がらない為に釘を刺しておく。全員が全員そうだとは言わないけど、ここで調子に乗られても困るからね。まぁ、水沢先生はそんな事にならないだろうし、なっても僕の前だと実習が打ち切られるだけで済む。社会的に死ぬわけじゃないけど別の学校で実習ができるか?と聞かれればできないとは言わないけど、難しいだろうなぁ……


「そう……」


 水沢先生はシュンとしてしまったけど、教育実習生のうちから傲慢になられたんじゃ教員になってから生徒と接する時に大変だ。


「岩崎、水沢先生の事もだけど、こちらの先生に自己紹介をさせてやってはもらえないかな?」

「…………」


 気まずそうにしている真理姉さんと教育実習生の女性。興味も関心もないし、9日目の今日になって自己紹介をされても今更感がある。


「9日目の今日になって自己紹介されても今更感がありますが、知らないよりはマシですのでお願いします」


 9日目の今日になってとは言ったけど、9日目という事は実習は残り5日となるその中のおそらくは11日目か12日目あたりに研究授業がある。その日が近づくにつれて研究授業の準備で忙しくなるだろうからきっと生徒と触れ合う暇があるかどうか……


「うむ!私の名は────」

「あ、そういうのいいんで普通にお願いします」


 長くなりそうというか、ウザくなりそうなので僕は目の前の女性の言葉を遮って普通にしろと言った。この人からは秀義と同じ匂いがする。なんて言うか、無駄に暑苦しく、冬なら暖房器具の代わりになるけど、夏は全く役に立ちそうにない。そんな感じ。男子である僕からしてみれば女性だからまだ許せる範囲だけど。


「あ、はい。えっと、私の名前は羽山美咲(はやまみさき)。葵衣と同じ北南大学4年です」

「これはこれはご丁寧に僕は────」

「知ってるよ。岩崎光晃君。教師と教育実習生が大嫌いで君に絡んだ教師と教育実習生は潰しているんだよね?」


 目の前の女性───羽山先生は僕に対する認識をどう認識しているかは知らないけど、教師&実習生潰しと言ってきた。自分のしてきた事とはいえ人聞きが悪いな……潰してきただなんて。潰してきたんじゃなくて、絡んできた奴が自分でボロを出したり、埃まみれだった奴が埃を出したに過ぎないだけなんだけど……





今回は9日目にして初めて3人目の教育実習生が出ました。

2人目の実習生は光晃に無意味に絡んだ挙句、暴行未遂を働いたので退場しましたが、今回の実習生は実習を最後までやり遂げてほしい

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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