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僕は居たたまれなくなる

今回は光晃が居たたまれなくなる話です

どうして光晃は居たたまれなくなったのか?

では、どうぞ

「これからどうしようかな?」


 HRが終わり、いろいろな意味でどうしようかを考える。水沢先生の事、授業までの時間をどうやって潰すか?をだけどね。水沢先生の事は好きだ。どうして好きか?と聞かれればうまくは言えない。だけど、こんな恋心でもいいと思う。恋愛なんて人それぞれだからね


「俺と2人で愛の逃避行しようぜ!」


 秀義(ミラクルバカ)が戯言を言ってきた。お前と愛を語り合った覚えも誓い合った覚えもない。そもそも、何を見てそんな戯言を思いついたんだか……


「冗談は顔だけにして寝言は寝て言え。あ、戯言なら冷やかしがてら職員室で教師に向けて言って来てよ。そうだな、小谷先生なんかはちょうどいいと思うけど」


 我ながら100点の答えだと自画自賛してしまう。秀義の戯言をまともに聞いてる方がバカらしいと思うし、何より僕にそんな腐女子寄りな趣味はない


「光晃……冷たいッ!私とは遊びだったの!?」


 教室のど真ん中で何を言っているんだ?このバカは?この暑さで頭をやられたか……パソコンだって熱に少しは耐性あると思うけど?


「いつにも増してウザいけど、どうしたの暑さで頭やられた?それとも、バカなはずだけど風邪引いた?」


 バカは風邪引かないって言うけど、アレって少し違うと思う。性格にはバカは風邪を引かないんじゃなくて、バカは風邪を引いた事に気が付かない。特に秀義みたいなタイプはそうだと思う


「いや、光晃がようやく自分の気持ちに気が付いたんだなと思ってな」


 バカの動物的な本能は時として恐ろしいほどの嗅覚だと思うけど、今の秀義を見て確信した。バカの動物的な本能は無駄な事には敏感に反応するみたいだ


「僕はまだ何も言ってないんだけど?」


 何も言ってないのにどうして僕が水沢先生を女性として意識してそれが恋愛感情だってわかったんだろう?誰にも言ってないはずなのに


「何となく光晃の雰囲気でわかった!」


 その勘の鋭さをどうして僕が注意した時に発揮しなかったんだろう?そうしたら僕が家出する先は秀義の家になってたかもしれない。


「その勘の鋭さを人間関係に活かせればいいのに」


 人間関係に活かせてうるさくなければ女子からモテモテなのになぁ……癇に障るけど、顔だけはいいんだし……


「そ、そうか?人間関係に活かせれば俺モテるかな?」


 そこまでは知らないけど……そもそも、男子である僕にモテるかどうか聞いてどうする?重要なのは女子の意見じゃないの?


「あー、モテるモテる。だから僕に絡んでないで後輩女子でも先輩女子でも同級生女子でもいいから口説いてくれば?」


 秀義の相手が面倒になってきた僕は適当に返す。誰だってテンションが高い時はあるけど、さすがにオカマのハイテンションみたいな感じで絡まれたら疲れる


「よし!今から女子を口説きまくってくるぜ!」


 教室の中で何を言っているのかサッパリわからないけど、秀義がせっかくやる気になったんだ。幼馴染として応援しようかな


「頑張ってー」


 彼女ができるかどうかは別として、秀義が玉砕する分には面白そうだから応援しておこうと思う。本音を言えば秀義が玉砕してくれたら面白い。後5分くらいで1時間目が始まるけど、静かになるならそれはそれで一向に構わないから特に指摘はしない


「さて、バカがいなくなったところで落ち着いて授業の準備ができる。次からこの手を使うかな」


 男子高校生が全てそうだと言うつもりは毛頭ないけど、彼女がほしいと思う年頃だから女子の影をチラつかせれば簡単に舞い上がる。全員じゃないけどね


「うっとおしい教師を消してきたはいいけど、各学年の教科担当の配分が狂ってるんじゃないかな?」


 年間の指導案はその学年の教師が作成するものだからいくら無能でもいなくなったら困る事になる。校長にチクって教師がいない状態になって初めて気が付いた。教育実習生が1人いなくなったところで実習受け入れ校は何の被害もない。むしろ被害があるのは大学側だけだ。問題を起こした実習生の通学している大学は─────来年からこの学校が実習生を受け入れるのは難しいかなぁ……


「1時間目は社会科か……寝よう」


 歴史や地理はともかく、公民とかは普段新聞やニュースを見ていれば大体はわかるような内容だ。僕的には寝ていても問題はない。


「起きろ!岩崎!」


 授業開始5分で寝て、その僅か数秒後に真理姉さん────小谷先生に叩き起こされた。実習生である水沢先生も後ろで見学しているから2人が手を組んで居眠りしている僕を見つけ出すだなんて簡単な事だけど……この2人に限ってないか


「はいはい」


 完全に眠っていたわけでもないし、夢と現実の間を彷徨っていたわけではないから意識はハッキリしている。だけど、何回も言っているように居眠りする生徒を責めるんじゃなくて、生徒に居眠りさせる教師に問題がある。生徒に私語をする暇を与えない、生徒に居眠りする暇を与えない授業や苦手な教科ならその苦手意識をなくさせるような授業をしなくてはいけないけど……寝ている生徒を咎めている時点でこの学校の教師のレベルが知れている


「岩崎、返事は1回だ」


 家じゃあるまいし、母親みたいな事を言わなくてもいいとは思うけど……真理姉さん含めてこの学校の教師は僕に個人的な恨みでもあるのかな?いや、恨みを買う事はたくさんしてるけどさ


「はーい」


 何となく真理姉さんを煽ってみる。別に煽る意味はこれといってないんだけど、何となく暇つぶしにね


「岩崎、返事は短く!」


 この人は母親か……年上で一緒に住んでいるから母親じゃないけど、保護者には変わりないか……


「こら!教師を煽るな!」

「いでっ!」


 僕はいきなり後頭部を誰かに殴られた。正面にいる真理姉さんは瞬間移動でもしない限りは僕の後頭部を殴るのは無理だし、水沢先生は……1番後ろから動いていない。秀義は……そもそもが席が離れすぎているから無理か。理沙は……自分で手を下す事はしないのは初対面で実証済みか


「いてて……誰ですか?」


 真理姉さんが注意してないところを見ると生徒である可能性は低い。現職の教師が生徒に暴行をするだなんて事は教師1人と実習生1人がしちゃいけない事をその身で証明している。教育実習生や教師が生徒を殴るなんて事はあり得ないとは思うけど……


「私だ!」


 振り向くとスーツを着てノートを持った女性がいた。見た感じ3人目の実習生だろうけど、全く興味がなかった僕は教育実習生は水沢先生以外の人を知らない。結論を言うと、誰だ?コイツ?


「いや、私だと言われても僕は貴女の事なんて興味なかったんで知らないんですけど?」


 私だ!って言われてわかるのは知り合いとかくらいで全く知らない僕は私だと言われてもわからない。この人は自分の名を名乗った人を覚えるというところから始めた方がいいんじゃないのかな?バカなの?


「君は私の自己紹介の時にいなかったのか!?」


 悪戯にいなかったのか!?って聞かれてもいつ、どこにが抜けているので、いましたともいませんでしたとも言えない。教師と教育実習生は主語をつけるという事を知らないバカばかりなのかな?


「いなかったのか?と聞かれましても、いつ、どこにが抜けているのでいなかったのか?という質問には答えられません。いつ、どこで貴女は自己紹介をしたんですか?」


 いつ、どこで自己紹介しようとも興味がない僕は覚えてすらいないけど、今回は本当に自己紹介の時にその場にいなかったのでわからない。


「実習初日に!1時間目の授業で!私は自己紹介した!」


 英語の教科書か国語の教科書レベルの説明をありがとう。だけど、実習初日に僕は授業をサボったので、この人の自己紹介を聞いていなかったし、サボった僕の元へ来たのは真理姉さんと水沢先生の2人だけでこの人の姿を見ていない。その後の生徒指導室に連れてかれたけど、その時にもいなかった。その後も何回か授業はあったと思うけど、この人の姿を見た事がない。いや、いたのかもしれないけど、教師や教育実習生に興味がない僕が覚えていないだけかもしれない


「そうですか。ですが、僕は実習初日の授業はサボりましたし、サボった僕を連れ戻しに来た時にいたのは小谷先生と水沢先生のみでした。貴女の姿は見ていない」


 授業妨害をして申し訳ないとは思うけど、暴行した上に名乗りもしないこの女には状況判断能力を高めてもらおうかな。っていうか、理沙もだけど、周りの生徒もどうして楽しいイベントが始まったみたいな目で見てるの?


「そ、そんな……全員に自己紹介したつもりだったのに」


 目の前の女性は傲慢な教師や教育実習生とは別の意味で絶望した感じになっていた。これはアレかな?生徒全員に印象深い自己紹介をしたつもりがまさかサボっている生徒がいるとは思わなかったっていう感じかな?


「あー、なんかごめんなさい」


 空気的に僕が悪いみたいな感じになっているので、とりあえず謝っておく。いきなり後ろから殴られたとはいえ、覚えやすいように自己紹介したにも関わらずサボってしまいそれを台無しにしてしまった事に対し少なからず罪悪感がある。


「ううん、いいよ。まさかサボっている生徒がいるとは思わなかったから」


 さっきまでの威勢はどこへいった?目の前でションボリしているのを見ると居たたまれない。本当に居たたまれない。罪悪感が凄まじい


「とりあえず、岩崎は後で生徒指導室に来るように」


 真理姉さんが気まずい空気を払拭するかのように僕に生徒指導室に来るように言う。この空気にしたのは他でもない僕なので特に逆らう事はしない。


「わかりました」


 僕が悪い奴みたいな空気のまま授業は進み、その空気のまま授業が終わった。本当に申し訳ない。教師や教育実習生は大嫌いだけど、頑張った人の頑張りを無にするような真似をしてしまった事については本当に申し訳なく思う


「岩崎、この後生徒指導室に来るように。次の授業の先生には私から言っておくから」


 生徒指導室に行くのは納得できるけど、次の授業にまでかかるくらい長い話になるのか……自業自得とはいえ納得いかない部分もある。だけど、今回ばかりは完全に僕の落ち度だから文句は言えない。


今回は光晃が居たたまれなくなる話でした

教育実習生の中にはインパクトのある自己紹介をする人も時々いますが、光晃はそれを聞いてなかったみたいです

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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